感染症・リウマチ内科のメモ

静岡県浜松市の総合病院内科勤務医ブログ

シェーグレン症候群と神経系障害

2018-01-18 | 免疫

 今回はシェーグレン症候群における神経障害についてです。当科でもこの疾患にて通院例は増えておりますが、手足の疼痛の訴えも多く、関節炎症状でない場合、神経の症状ではないかと考える必要があり、その特徴を捉えておくことは大変重要です。末梢神経障害および中枢神経障害それぞれについては次回以降にまとめます。

 

まとめ

 

・原発性シェーグレン症候群(以下SjS)は、抗核抗体、特にRo/SSAおよびLa/SSBの設定における外分泌腺(すなわち、唾液腺および涙腺)の単核リンパ球浸潤を特徴とする自己免疫性炎症性疾患である

・患者は、関節、筋肉、肺、腎臓、および皮膚の病変などの腺外徴候を発症し得る。 いくつかのレビューやケースシリーズなどはSjSの多様な神経学的症状を報告。

・SjSの神経症状は8%から49%に及ぶ。ほとんどの研究は20%あたりの罹患率を示唆している。

・SjS神経系合併症は、2つのカテゴリー、末梢神経障害および中枢神経系(CNS)に分類することができる

神経系は、最も一般的な腺外病変部位の1つであり、患者の一部においてSicca症状に先行すると報告されている

・神経学的症状は患者の81%にてSjSの最終診断に先行し、関連する神経学的疾患を有する患者のわずか21%で発症時での抗SSAまたは抗SSB抗体を有し、かつ43%が、次の7年間で最終的に抗体陽性となるのみ。

神経系が関与する症例でのSS-AおよびSS-B抗体検査の低い感受性(40%)は以前にも報告されている[Medicine. 2004;83(5):280–291.]

神経学的徴候の開始(特に中枢神経系の場合に)で我々の患者の46%で乾性角結膜炎の症状の欠如していた [J Neurosurg. 2008 May;108(5):1024-7.]

・SjSに伴う神経・筋障害は,乾燥症状が明らかでない場合が多いため,問診や自覚症状のみでSjSを安易に否定することなく,眼科,耳鼻科,口腔外科領域にわたって積極的に検査を施行し,慎重に診断をすることが大事。

・これらから、神経疾患の鑑別診断においてシェーグレン症候群を考慮することの重要性を強調

・すなわち、感覚運動軸索の多発性神経障害、純粋な感覚神経障害、脳神経の関与(特に蝸牛および三叉神経)、急性または慢性脊髄症、または多焦点中枢神経系、 年齢50歳以上の発症において、SjSのためのスクリーニングの有用性を強調

・全ての(明らかに小さい)症例シリーズは、非血清学的補助検査が、シェーグレン症候群関連神経障害における血清自己抗体よりも敏感であることを示唆している。 まず神経障害を有する患者の初期評価の一部として、抗SSA、抗SSBおよび抗核抗体を送ることを推奨するが血清学的検査が陰性である場合は、口唇の唾液腺生検を推奨する。

 


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