くろにゃんこの読書日記

マイナーな読書好きのブログ。
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よしきた、ジーヴス P・G・ウッドハウス

2005年07月31日 | P・G・ウッドハウス
比類なきジーヴス」に引き続き「よしきた、ジーヴス」です。
「比類なき」は、連作短編集でしたが、「よしきた」は長編としてじっくり笑え、いや読ませます。

カンヌ旅行から帰ったバーティーを待っていたのは、
ジーヴスと白いメスジャケットによるワードロープ戦争。
それ加え、学生時代の学友、イモリ愛好家ガッシー・フィンク・ノトルの赤いタイツをはいたメフィストフェレス姿でした。
ガッシーは、恋の悩みをジーヴスに相談にきていたのです。
ジーヴスの揉め事解決の目覚しい成果は、バーティも認めるところですが、周囲の人々が、ジーヴス、ジーヴスともてはやすもんだから、バーティは少しおかんむりです。
メスジャケットのこともあるし。
その後、一緒にカンヌ旅行に行っていたダリア叔母さんの家に場所を移し、あらゆる問題ごとがバーティーが良かれと思ってやることなすことによって、ますます悪化してしまい、バーティーは頭の中がメルヘンでできているような娘と不本意な婚約までしてしまいます。
ジーヴス、何とかしてくれ!
そして、メスジャケットの行く末は如何に?

「比類なき」を読んだときも感じたんですけれど、「よしきた」も文章の間が、マンガを読んでいるような面白さ、次のコマに進んだときに、あっと言わせるものと同じものがあるんですよね。
登場人物たちの個性も、一人一人が恐ろしく誇張して書かれているもんだから、いっそうコミカルだしマンガチック。
そこを最大限の想像力でもって読んでいくのが、
本書の楽しみかたのひとつなんじゃないかな。

「よしきた」で私のはまったツボはこちら
バーティーが、頭がメルヘンしているバセット嬢と庭を散策しているところで、逃避のためか池の水草をもぐもぐ食べるアヒルを眺めて、ほうれん草と比較するシーン

バーティーとジーヴスの愉快な眉毛の会話シーン
さすが外国人の眉毛はよく動く。
アトウッド「昏き目の暗殺者」のなかで、上流階級の人間は眉毛で意思を伝えるとかなんとか あったような。

天窓から覗くガッシーの顔という珍事に、駆けつけるダリア叔母さん、バーティー、叔母さん  宅の執事セッピングスを競馬に見立てるシーン。
どう考えても、バークリー「レイトンコートの謎」の牛のシーン。
いや、バークリーの方があえてやっているわけだけど。

大団円にいたるには、もちろんきつ~い皮肉がバーティーを待ち受けています。
これを読んで、世界の平和には宇宙人が必要だと思った私でした。

よしきた、ジーヴス


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