最近の若い産婦人科医では女性医師の占める割合が圧倒的に多くなり、今後もその傾向は変わりそうにないので、女性医師が辞めずに働き続けられる柔軟な勤務体制を整備することが、今後の産婦人科生き残りのための必須条件となると考えています。
****** 読売新聞、2005年11月24日
激務と出産・育児 悩む女性医師
「辞めざるを得ませんでした」
名古屋市内の産婦人科病院に勤務する40歳代の女性医師は、4年前まで愛知県西部の公立病院にいた。産婦人科に在籍していたが、同科の医師は計5人で当直は5日に1回、緊急の呼び出しもあった。結婚し、妊娠を機に勤務条件の緩和を希望したが、病院側は「頑張ってくれないか」というだけ。「結局、激務の中での出産が不安になり、退職しました」という。
現在、この医師の同僚で30歳代の女性医師も、かつてつらい経験をした。県内の大学病院で研修医をしていた6年前のことだ。
初めて妊娠したが、当時は医師が3人で、月に10回の当直という激務だった。「私自身が大きなおなかのまま、出産に立ち会ったこともある」という。女性医師は激務が影響したのか、予定より数週間早く出産する切迫早産になった。
2人とも今の職場では、当直や呼び出しを免除されている。「育児や家事ができるように」という配慮だ。「産婦人科の医師不足で、女性医師も激務になる。そして出産、育児、家事に支障が出て、辞める。そうすると、また産婦人科医が足りなくなる。悪循環が続く」と2人は口をそろえる。
国の統計では、女性の産婦人科医は2000年末で1878人、02年末では2202人と増えている。また、国の調査に合わせて統計を取っている愛知県でも、00年末の産婦人科の女性医師は123人、02年は142人だった。しかし、統計に表れないところで、激務と出産、育児を両立させられず、退職していく女性医師がいることも事実だ。
仮に、子育てが一段落して、出産から数年後に復帰しても、その間の医療技術の進歩に追いつくには大変な努力がいる。働きにくい環境が、女性医師を現場から遠ざけ、結果的に医師不足に拍車をかけている。
(以下略)
仕方なく残業や超過勤務が出るのでなく、初めからどうがんばっても過労に陥るような仕事の組み方は違法行為であることを医師および医師を雇用する立場の者は認識すべきである。
今でも「産休・育休」の取れない職業はいっぱいあります。
これはもう、社会全体で認識を変えていかないと実現は難しいのではないかと思えてしまいます。
確かに女性は、男性にはできない「妊娠・出産」というモノがあります。
これはどんな職業でも、空白の時間を作ってしまうという、かえようのない事実です。(法律が働く事を制限していますしね)
妊娠・出産・育児のある女性一人が男性一人と同じように働く事が難しいならば、そのような環境の女性2~3人で男性一人分と考えて働く事は難しいのでしょうか??
(パートタイマーと言うか、非常勤と言うのか不明ですが)
そしてその後、現場に常勤として入れば医療の進歩にも大きな遅れを取らずに復帰できるのではと思うのは、浅はかなのでしょうか??
男女・職種に関わりなく、家庭生活を犠牲にしなければ維持できないような勤務システムであれば、今後長期的に維持してゆくことは非常に困難と思われます。
特に女性の場合には、それぞれの長い人生のライフステージの中での何年かは、出産・育児が中心となり、仕事にかけるエネルギーをある程度セーブせざるを得ない時期があるのは当然で、その何年かの時期を無事に乗り切ることができれば、再び、フルタイムで仕事に参加することも期待できます。難関の大学受験、医学部の進級・卒業試験、医師国家試験、専門医試験などの多くの試練を突破して、非常に長期間をかけて習得したせっかくの貴重な知識・技能なんですから、それを「ペーパー免許」「たんす免許」にして埋もれさせてしまっては大きな社会的損失です。
ぶろっこり~・様のおっしゃるように、フルタイムで1人分働けない時期には、2~3人の女性医師のグループで、それぞれの都合を調整しあって、全体で1人分の労働をするというような制度を創設するとか、数年間はパートで働いてもらって時期が来たらまたフルタイム勤務に戻ってもらうとか、いろいろ知恵を絞って女性医師が辞めないでもすむシステムをつくってゆく必要があると思います。
男性医師達にとっても、女性医師達が全員途中で辞めていなくなってしまったら、勤務状況は今よりさらに激務になってしまって維持できなくなってしまい、職場を閉鎖せざるを得なくなって非常に困ることになります。また、いくら気力・体力の充実した男性医師でも、中高年世代になれば誰でも体力的衰えから若い時のような無茶な勤務はできなくなります。ですから、長期的に維持可能な柔軟な勤務システムに変えてゆく必要があることは、男女とも同じだと思います。
産婦人科医がちゃんと管理していて過失がない場合でも結果が悪ければ担当医が逮捕される御時世だというのに、助産師だけで分娩を取り扱って適切な医療介入ができず結果が悪かった場合に助産師が逮捕されずに済むという補償は全くありません。場合によっては、病院管理者が管理責任を問われて逮捕される可能性だってあるのかもしれません。
地域の貴重な人的医療資源である7人の助産師達が今までの経験を生かして今後も働けるように、地域内の産科医、助産師が集約される中核病院に貴院の助産師達を円満に再就職させるよう全面的に支援することをまずは考えるべきだと思います。広域医療圏内で関係者が集まってよく話し合ってみる必要があると思います。
(貴院の状況もわかりませんし、院内助産院が法的にどういう場合に許可されるのか?についての知識も全くありませんので、かなり的外れのコメントになっているかもしれません。)