最近は、産科病棟閉鎖のニュースがよく報道され、非常に大きな問題となっていますが、今はまだまだほんの事の始まりでしかないと多くの人が考えています。
残り少なくなってきた産婦人科医が、援軍もなく、補給路も絶たれ、少人数づつに分散したままで、各自の持ち場を死守している現在の状況が続けば、どの病院の産科も人手不足で継続困難となっていき、力尽きた病院から順番に産科閉鎖に追い込まれていって、結局は県内総崩れとなってしまうのかもしれません。
一面焼け野原になってしまって、ゼロから再出発して復興への道を模索するのも大変なことです。
県内総崩れへの道を、このまま、まっしぐらに突き進んでしまっても本当にいいのでしょうか?
****** 信濃毎日新聞、2007年9月3日
産科医不足 役割分担を急がねば
(略)
全国的に産科医不足は深刻で、大学の医局に派遣を求めても、募集をしても医師はなかなか集まらない。国は医学部定員を増員する方針を打ち出したが、効果が見えるのは随分先の話になる。
これ以上産科を減らさないためには、医師の負担を軽減するよう、役割分担を急がねばならない。
一つは医療機関の連携だ。飯田・下伊那地区ではお産を主に飯田市立病院で、妊婦健診を他の病院や診療所で分担するシステムを行っている。妊婦にとって複数の病院にかかる負担はあるが、やむを得ない措置だ。地域の実情に合わせて、医療機関のネットワークを整えたい。
二つ目は助産師がお産にかかわる場を広げることだ。正常産は助産師だけでも対応できる。医師に代わって妊娠の経過を診る助産師外来も広がってきた。
県は助産師支援検討会を開き、本年度中に助産師対象の研修会を開く予定だ。超音波診断など助産技術の向上を図り、いずれは県内の病院でも助産師の介助で出産できる院内助産所を開設できるようにしたい。数は少ないが、開業助産所と医療機関の連携も大事になる。
産科医は女性の割合が高くなっている。妊娠、出産をはさんでも働き続けられるよう、時短勤務やワークシェアといった工夫も必要だ。
(以下略)
(信濃毎日新聞、2007年9月3日)
飯田市立病院の医療費未払いが2005年度は約1045万円に上り、04年度より200万円余増えていることが、 4日開会の市議会に提出された2006年度決算から明らかになった。01年度からの累積未収金は3206万円。 診療費未払いは全国的に増加傾向にあり、市立病院でも厳しい公立病院会計にあって 経費節減に懸命に取り組んでいる折、頭を悩ませている。
市立病院によると、未払いは外来、入院問わずあり、件数、金額ともに増えている。最も多いのは、 未払いのまま患者の行方が分からなくなり、請求すらできないケース。途中で生活保護対象となり、 対象となるまでの医療費を払えないまま死亡するケース、支払い能力がないケースも多いという。
未払いの患者には、文書や電話で督促し、支払いがない場合は、自宅を訪問する。 市立病院では専門の徴収員が徴収に努めるが、「毎月訪問している患者もいるが、なかなか支払ってもらえない。 怒鳴られたり、支払い義務はないと言われたり。常習的な患者もいるが、医療の提供を断ることはできず、何ともならない」と困り顔だ。
未収金は経営を圧迫する一因でもあり、厚労省は本年度から「医療機関の未収金問題に関する検討会」を立ち上げ、 解決に向けた方策を検討している。
飯田市立病院の06年度決算によると、医業収益は前年度より9.4%増え、83億4700万円。医業損益は1億2300万円の損失、 経常損益は3億2500万円の損失で、5年連続の赤字ながら、前年度より3億6000万円の収支の改善がみられた。
お産件数は飯田下伊那地方のお産の核となる「セミオープンシステム」により1003件と81.7%増えた。 (石川才子)
ただし、
1)医師による研修制度を義務化する
(すでに研修をやっているところもあります)
2)超音波OKは、厚生労働省看護課の恣意的な解釈に基づく行政通達でなし崩し的にやるのではなく、医師法と保助看法のすみわけをきちんと立法府で審議して法改正を行い、実施すること
という2点はきちんとすべきだと思います。
特に2)がきちんとしないことは、三権分立を旨とする民主国家の自殺に等しいです。
つまり、超音波を行うことの是非は別として、「超音波診断」は法律違反なのですが、良いんですか、信濃毎日新聞さん?
自分たちの生産性向上の工夫ができるのであればともかく、そうでないのであれば、産科医師よりも早く、押し寄せる分娩の波に耐えきれずに自滅していくことになります。
助産所こそ計画的に集約化して行かないと、あっという間に自分で自分の首を絞めることになってしまうことが目に見えています。