1分娩施設あたりの産婦人科医数は、米国が6.7人、英国が7.1人に対し、日本はわずか1.4人に過ぎません。少人数体制だとどうしても勤務が過酷になってしまい、離職者がますます増えてしまいます。分娩施設を集約し、少なくとも産婦人科医5~6人体制に強化することにより、分娩の安全性が向上し、過酷な労働環境も改善できます。常勤医師の離脱もある程度はくい止められると思います。新人も入ってきやすくなると思います。
また、現在の若い産婦人科医は50%以上が女性医師です。女性医師達が勤務と出産・育児とを両立できず次々に辞めていくようでは、産婦人科医数はますます減る一方です。産婦人科の職場環境を、子育て中の女性医師が勤務しやすい環境に変革していく必要があります。そのためにも、分娩施設を集約し、1施設あたりの常勤医師数を増やす必要があると思われます。
ただ、分娩施設の集約に際し、施設がなくなる地域の自治体や地域住民の理解を得るのは非常に難しいと思います。現場で働く医師達は、分娩施設の集約化を推進できる立場にありません。おそらく、各大学病院産婦人科教授や県知事などの立場にある人が、全県的な医師配置のバランスを考慮して、リーダーシップを発揮していくことになると思われます。
しかし、産婦人科を選ぶ若い男性医師の多くが産婦人科の開業の先生の御子息で、基幹病院を支えて大活躍してます。時代が変わり親と勤務形態は違いますが、広い意味では親の跡を立派に継いでいる人が多いと思います。