ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

平日夜間および休日における超緊急帝王切開への取り組み

2011年08月11日 | 周産期医学

第63回日本産科婦人科学会学術講演会 一般演題抄録

【演題名】 平日夜間および休日における超緊急帝王切開への取り組み

【目的】 当院では、平日夜間および休日(時間外)の緊急手術は自宅待機の手術室スタッフを招集して実施している。そのため、時間外では超緊急帝王切開であっても帝切決定から児娩出までに1時間以上かかる例も少なくなかった。そこで、時間外において超緊急帝切の準備が短時間にでき児を安全に娩出するために、院内にいるスタッフを緊急招集して手術を開始するシステム(新システム)を構築し、定期的にシミュレーションによるトレーニングを実施している。新システムの実績について報告する。

【方法】 2003年1月から2010年12月までの8年間に当院で分娩した6496症例の中で超緊急帝切となった症例について、頻度、適応、手術を実施した時間帯、帝切決定から児娩出までの時間などについて調査した。

【成績】 超緊急帝切は計18例で、施行率は0.28%(18/6496)、全帝切例の1.1%(18/1602)であった。適応は重症の常位胎盤早期剥:8例、重症の持続性胎児徐脈:7例、子宮破裂:2例、臍帯脱出:1例であった。麻酔方法別では、全身麻酔が16例、腰椎麻酔が2例であった。36週未満が6例、胎児発育不全が2例、陣痛促進中が2例、リトドリン点滴中が2例、時間外に実施した手術は9例であった。新システム導入後の時間外の超緊急帝切は4例で、いずれの症例でも帝切決定から児娩出までの時間は30分以内であった。

【結論】 当院における超緊急帝切は、関連各科の協力体制により、時間外でも帝切決定から概ね30分以内に児が娩出されている。超緊急帝切の適応疾患は分娩360例に1回の頻度で発生しており、その約半数は時間外に実施されている。各病院の事情に応じて、24時間体制で超緊急帝切に対応するための院内のシステムを整備しておく必要がある。

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超緊急帝王切開(extremely emergent cesarean section)とは、方針決定後、他の要件を一切考慮することなく、全身麻酔下で直ちに手術を開始し、一刻も早い児の娩出をはかる帝王切開である。  

超緊急帝王切開の適応となる疾患: 重症の常位胎盤早期剥離、子宮破裂、持続性徐脈、臍帯脱出、前置血管破裂など


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1 コメント

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産科の緊急事態が夜中に発生した場合、産婦人科医... (管理人)
2011-09-05 00:33:53
当院でも、数年前に、常勤麻酔科医2名!という厳しい状況を経験しましたが、現在は常勤麻酔科医も7名まで増えて、麻酔科の先生方は緊急時にすぐに対応してくれ、非常に助かってます。

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