ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

加西病院:産婦人科医、来月からゼロに

2006年05月28日 | 地域周産期医療

****** コメント

『公立・公的病院の産婦人科は常勤医師3名以上を原則とする!』という内容の緊急提言が、最近、日本産科婦人科学会より公表された。従って、今後は、常勤の産婦人科医が1~2名の病院の産婦人科はほとんどが廃止され、一部の病院が常勤の産婦人科医3名以上に増員されて残ってゆくことになると考えられる。

現状では、年間分娩件数120件の病院に産婦人科医を3名以上配置することは到底できるはずがないので、この病院が産婦人科廃止の対象となってしまうのも止むを得ないことなのかもしれない。

参考:

緊急提言(日産婦委員会):ハイリスク妊娠・分娩を取り扱う病院は3名以上の常勤医を!

****** 毎日新聞、2006年5月28日

加西病院:産婦人科医、来月からゼロに 出産医療継続を要望、2万人署名提出/兵庫

 ◇市連合婦人会、2万人署名提出

 加西市立加西病院(山辺裕院長)は6月から、産婦人科の出産医療を休止することを決めた。同科の常勤医師2人が今月末で他の病院に異動し、後任が決まっていないことが理由。市内には出産できる施設は他になく、今回の事態を受けて市連合婦人会(板井ちさ代会長)のメンバーらは26日、市役所を訪れ、出産医療の継続を求める署名2万812人分を中川暢三市長と山辺院長に提出した。

 同病院ではこれまで、神戸大から派遣された医師が同科の診療に当たり、年間約120人が出産してきた。しかし全国的に深刻化する医師不足を理由に、神戸大は今年度の派遣を見送った。同病院の強い要望により、婦人科の外来診療は非常勤医師が週1回行うが、産科については再開の見通しが立っていない。ホームページ上でも産婦人科医を募集しているが、応募者はないという。

 同病院は、院内の掲示板や市の広報誌を通じて出産医療の休止を市民に伝える一方で、入院患者には小野市や西脇市への転院を促してきた。

 これに対して、出産医療の継続を要望する同婦人会のメンバーらはこの日、市役所を訪れて、市民や市外に住む同病院利用者から集めた署名簿を提出。板井会長は「出産は緊急性が高く、時には母子の生命にかかわる事態もある。市内唯一の産婦人科の存続は全市民の願いです」と訴えた。

 受け取った中川市長は「要望を無駄にしないよう最大限努力する」と応じ、山辺院長も「医師不足は北播磨地域の全公立病院が抱える問題だが、診療体制を再構築するため、今後も医師の確保に努める」と話した。【松田栄二郎】

(毎日新聞、2006年5月28日)


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2 コメント

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署名活動は効率良く行いましょう。 (一郎)
2006-05-28 23:58:18
 加西市の皆さん2万人の署名を集めるのは大変だったと思います。しかしその提出先が市町と院長では意味がありません。戦をするなら効率良くしなければいけません。そして勝たなければなりません。無駄な時間と労力は費やすべきではありません。

 余っている産科医は全国どこにもいません。高額な報酬を提示しても赴任はほとんど期待できません。産科医をまず全国的に増やさなければ加西市に産科医は来ません。産科医を増やすには、まず産科医が安心して医療活動できる法整備をしなければ行けません。最近は医師に全然責任がないのに、医師に責任を押し付け高額な賠償金を支払わなければならない訴訟が多すぎます。これが産科医を減らす大きな理由です。ですから民事訴訟の最高額は2000万円までにして下さいという要望書を書きます。
 大野病院での加藤先生不当逮捕不当起訴事件は産科医療に原始爆弾を落としてしまいました。結果が悪ければ逮捕起訴される事態になってしまいました。この状況で産科医を目指す医師は更に減少します。来年は更に悪化します。ですから通常の医療行為で、結果が悪くても医師は刑事訴追免責とする。

 以上の二つの要望に対する署名を集めて署名を提出します。提出先が重要です。意味のない所に署名を提出しても時間と手間隙の無駄です。提出先は次の所です。
1国会議員。国会議員は署名が多いとそれを無視すれば当選が危うくなりますから、無視できません。
2自民党党本部。大野病院の産婦人科加藤先生救出や産科崩壊防止の要望書は出されていますが、今の所何の反応もありません。妊婦の署名が多ければやっと重い腰を上げるかも知れません。
3民主党党本部。自民党より今産科崩壊防止に熱心です。今のところこの民主党が一番頼りになります。
4厚生労働省。医師個人にばかり責任を押し付ける制度を厚生労働省は作成してしまいました。これも産科減少を促進しました。厚生労働省の失政です。これでは産科医は増えません。署名が多ければ、そして大勢押しかけて要望すれば産科医を増やすための法律を整備してくれるかも知れません。

戦はまず情報戦に勝つこと、そして効率良くです。無駄なことをして自己満足で終わってはいけません。
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市長への助言:産科医の給与を今の5倍くらいにす... (とおりすがり)
2006-06-01 02:47:31
市長への助言:産科医の給与を今の5倍くらいにすれば、来る医者もいるかもしれません。
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