ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

なぜ新生児蘇生法を学ぶ必要があるのか?

2010年07月10日 | 周産期医学

約10%の新生児が、規則正しい呼吸を開始するために何らかの助けを必要とする。

約1%の新生児が、救命のために積極的な蘇生手段(バッグ・マスクを用いた人工呼吸、気管挿管、胸骨圧迫、薬物治療)を必要とし、適切な処置を受けなければ、死亡するか、重篤な障害を残す。

新生児蘇生が必要かどうか、出生後直ちに(分娩後30秒以内)判断する必要がある。

もし児が刺激に反応して呼吸を始めなければ、児は続発性無呼吸の状態にあり、人工呼吸を始めなければならない。

すべての分娩に新生児の蘇生を開始することのできる要員が少なくとも1人、専任で新生児の担当者として立ち会うべきである。

ハイリスクが予想される分娩には、新生児の蘇生に専任の最低2人の熟練した要員が分娩に立ち会うべきである。

すべてのハイリスク児の出生予知は不可能であり、まったく順調な妊娠を経過した場合でも、子宮外生活への適応障害が突然出現することはまれではない。

現在、ほとんどの分娩が医療機関内で行われ(日本では99.8%)、それに関与するスタッフは非常に限られているので、新生児を取り扱うすべての医療従事者(小児科医、産科医、助産師、NICU看護師など)が新生児蘇生法に習熟すれば、その意義は非常に大きい。

わが国では、日本周産期・新生児医学会を実施主体として、新生児蘇生法普及事業が展開されている。新生児蘇生法の講習会として、「一次」コース(Bコース)、「専門」コース(Aコース)、「専門」コースインストラクター養成講習会(I コース)が開催され、コース修了者を学会が認定している。修了認定者が活動する領域に応じて、適切なコースを選択することが望ましい。

新生児蘇生ガイドライン(AHAガイドライン2005)  原文

日本版救急蘇生ガイドラインに基づく新生児蘇生法テキスト

日本版救急蘇生ガイドラインに基づく新生児蘇生法の概要