紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

葉加瀬太郎&フォーエヴァー・タンゴ~タンゴ・ノスタルジア

2007-05-20 23:54:27 | イージー・リスニング
今日夕方にFN横浜で、アコーディオン奏者のコパさんの特集をしていました。
ですから、今日はコパさんのアルバムから一枚紹介を…と思ったのですが、余りにもベタなので、アコーディオンと言う楽器から連想すると、カスルと思われる「タンゴ」の特集されているアルバムにしようと思い、ずばりこのCDに決めました。

アルバムタイトル…タンゴ・ノスタルジア

パーソネル…リーダー;葉加瀬太郎(vl)
      Lisandro Adrover,Victor Lavallen,Miguel Varvello and 
      Juan Carlos Nisei(bandneons)
      Alexander Sechkin(viola)
      Luis Bravo(cello)
      Fernando Marzan(p)
      Mario Araolaza(key)
      Lisandro Adorover(orchestra director)

曲目…1.ワタシ、2.ラ・クンパルシータ、3.グリセール、4.リベルタンゴ、5.ノスタルジア、6.ジェラシー、7.父に捧げるプレリュード、8.わが両親の家、9.酔いどれたち、10.エバリスト・カリエゴに捧ぐ、11.想いのとどく日

演奏(曲)について…アルバム収録の中の推薦曲だが、まずベスト1は7曲目「父に捧げるプレリュード」が白眉の名演。
理由としては、編曲がこの曲の作曲者であり、フォーエヴァー・タンゴの音楽監督である「リサンドロ・アドロベール」である事が大きい。
全収録曲中、一番長い演奏時間8分27秒を費やし、出だしのピアノと続く本人のバンドネオン、そして葉加瀬の悲しい調べに、胸が締め付けられそうな美しくはかない演奏から始まる。
その後も葉加瀬のヴァイオリンと自らのバンドネオンとの素晴らしいエロスの様な絡みに加えて、意思疎通も完璧な、バックのオーケストラの強弱と緩急がバランスよく演奏され、非常に劇的な表現がなされている名演奏である。

次いでは10曲目の「エバリスト~」も知情意のバランスがとれた名演で、ここでもピアノの和音に導かれ、葉加瀬が官能的な演奏をし、それにバンドネオン群が熱く燃える炎のように音を紡いで重ねてゆく。

名曲群では、2曲目の「ラ・クンパルシータ」は多人数の楽団よりもこの精鋭部隊の演奏の方が、精緻で統率が取れているが、クレシェンドの場合などは音が塊となって出てくるので逆に迫力がある。

4曲目の「リベルタンゴ」は、葉加瀬がこれ以上に無い熱い表現のヴァイオリンを奏でる。
急速調の演奏に追従するバックバンドも素晴らしい演奏をしている。

5曲目「ノスタルジア」も、葉加瀬のヴァイオリンの技量に魅力たっぷり。

しかしながら、名曲群(タンゴスタンダード)の中のナンバー1は、6曲目の「ジェラシー」で決定的。
ここでの葉加瀬の演奏は正しく超絶技巧で、クラシックのメンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトを奏でているような錯覚を感じる。
演奏表現も知情意のバランスも優れ、7曲目「父に~」と双璧の超名演です。