紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

マンハッタン・ジャズ・クインテット~オータム・イン・ニューヨーク

2007-05-07 23:11:01 | ジャズ・トランペット
今日は日本が企画して生まれた、現存するスーパー・ジャズ・コンボのマンハッタン・ジャズ・クインテットのアルバムを紹介します。
このアルバム、やはり曲良し、演奏良し、録音良しの3拍子が揃った名盤です。
では詳細を…

アルバムタイトル…オータム・イン・ニューヨーク

パーソネル…マンハッタン・ジャズ・クインテット(グループ)
      ルー・ソロフ(tp)
      ジョージ・ヤング(ts)
      デヴィッド・マシューズ(p)
      チャーネット・モフェット(b)
      ヴィクター・ルイス(ds)

曲目…1.ワン・アップ・ワン・ダウン、2.処女航海、3.マシュ・ケ・ナダ、4.コルコバード(静かな夜)、5.ウォッチング・ザ・リバー・フロウ、6.ファンキー・ママ、7.オータム・イン・ニューヨーク

1993年4月20日、21日録音

演奏について…まず、93年の録音だけに本当に音が良い。
新しい(と言っても15年前ぐらいだな)録音と、60年代辺りの名盤とどこがそんなに音が違うのか?と聞かれたら、「まずベースとドラムスだよ。」と答える。
勿論、ピアノの一音一音の粒立ちや、ホーンセクションの余韻などの違いも顕著なのだが、ベースのふくよかさと締まりの両面性と、ドラムのシンバルやブラッシュワークの繊細さやキレは、圧倒的に差がでる分野です。
この盤では特に「モフェット」のベースの音に着目されると楽しいですよ。

さて、曲ですがラストを飾るタイトル曲「オータム・イン・ニューヨーク」などのスタンダード曲と、「マシューズ」の自作曲が半々にちりばめられた編成となっています。

「マシューズ」の自作曲は、オープニングの「ワン~」5曲目の「ウォッチング~」、そして6曲目「ファンキー~」の3曲です。
この中では、オープニングの「ワン~」が一番のお薦めです。
2ホーンのユニゾン演奏の始まりが、昔の名演(名盤)例えば、「ベニー・ゴルソン」のジャズテットなんかを彷彿させます。
その後の「ソロフ」のアドリブが最高に行けていて、非常に都会的なハイセンスな演奏で、これぞマンハッタン・ジャズ・クインテットと言いたい演奏です。
5曲目、6曲目は曲調にもよるのですが、寛ぎと遊びと楽しさが演奏の随所に見てとれて、これはこれで魅力があります。

それから、スタンダード曲の方ですが、率直に言って個人的にはやはりこちらの演奏の方が好きです。
特に、2曲目「処女航海」3曲目「マシュ~」4曲目「コルコバード」と続く名演の3連荘、確変?はこの盤のクライマックスでしょう。
「処女航海」はまじカッコイイ演奏で、ここでの主役が先ほど言った、「モフェット」のベース音、演奏なんです。
もう一つのお薦め楽器、タイトに敲く「ルイス」のドラムも又良いんです。
普段花形のペット、サックス、ピアノがここでは脇役になっている所がすごい!

「マシュ・ケ・ナダ」はオープニングはあまりラテンっぽくはなく、ジャズロック的なリズムで始まり、その後の「ソロフ」、「ヤング」のソロも完全に急速調8拍子のジャズで随時進行する。
ただし途中から、「マシューズ」がラテン調のピアノをかましてから、ラテンに変じてこの辺がとても趣きがあって最高!

「コルコバード」もリズムは基本通りですが、実はあまりボサ・ノヴァっぽくない演奏です。
どちらかと言うと、ブルーベックの変拍子ジャズ的な演奏なのですが、この非常に都会的なボサ・ノヴァは、正しく「ニューヨーカーの演るボサ・ノヴァ」なんでしょうね。
ここでは「ヤング」のソロが一番カッコイイかな。

素晴らしい3拍子アルバム、聴いて下さい。