紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

最高にかっこいい演奏…フィル・ウッズ&ヨーロピン・リズム・マシーン

2007-05-14 22:07:44 | ジャズ・アルト・サックス
今日は最高にかっこよく正に「決まり物」の代表的なアルバムを紹介します。

リーダーアーチストは、「フィル・ウッズ」。
「チャーリー・パーカー」直系の白人アルティストです。

このアルバムは、ウッズがアメリカを発ち、新転地ヨーロッパで新たに自己のグループを発足させて、吹き込んだ第一弾の記念すべきアルバムです。
何故そんなにカッコイイのか、それでは紹介して行きましょう。

アルバムタイトル…「フィル・ウッズ&ヨーロピン・リズム・マシーン」

パーソネル…リーダー;フィル・ウッズ(as)
      ジョルジュ・グルンツ(p)
      アンリ・テクシェ(b)
      ダニエル・ユメール(ds)

曲目…1.若かりし頃、2.アライヴ・アンド・ウェル、3.フリーダム・ジャズ・ダンス、4.ストールン・モーメンツ、5.ドクシー

1968年11月14日&15日録音

演奏(曲)について…結論から言うと、このアルバムの白眉は冒頭の「若かりし日」で決定である。
作曲はウッズのオリジナルなのだが、この曲は故ケネディ大統領への「レクイエム」として捧げられ、作曲された曲との事。
曲自体は、序章…展開…カデンツァ…アドリブパート…絶叫…〆。と見事なまでに、作曲に「起承転結」がなされており、非の打ち所が無い名曲・名演である。
この曲の聴き所と各プレイヤーの演奏について言うと、序章・導入はピアノとベースの悲しい調べで導かれたウッズが「泣き」と「悲壮感」を非常に美しい表現で吹く。
それからボサ・ノヴァのリズムに乗って、ウッズが演奏に高揚を見せ始める。
当然、ドラムス「ユメール」、ベース「テクシェ」もラテンのリズムで盛り上がり
に追従する。
この後からウッズはフリーキーなブロウに展開し、バック3人はモーダルなプレイで応戦&後方支援の両面攻撃を見せる。
その後、今度はピアノの「グルンツ」がリズムはラテンながら、とても繊細でセンス抜群なアドリブを奏で、リズムの二人も自己のトランス状態に入る。
まるで、煩雑な公務に追われる、「J・F・K」の仕事を表現しているかのようだ。
ここからは、「ウッズ」と「ユメール」の激しいアドリブのジャブ合戦が始まり、それがピタリと終わると、今度はベースの「テクシェ」の独壇場のソロである。
まるで、コルトレーンカルテットの「ジミー・ギャリソン」のロングソロを彷彿させる素晴らしい演奏である。
そして突然、ウッズが激しいフリーキーな絶叫を一吹きする。
これは、ケネディが凶弾に撃たれた瞬間を表現しているのだろう。
最後にもう一度レクイエムに戻り、約14分の劇的な演奏は終了する。

次いで素晴らしい演奏は、4曲目「ストールン~」である。
この曲はO・ネルソン作曲の変形モード・ブルースなのだが、マイルスの名盤に出て来そうなセンス良いリズムの導入から、ウッズのやや鉛色がかったアドリブが演じられ、やはり段々高揚し始め、鉛色からシルバー、プラチナへと音色も変貌を始める。
ピアノ「グルンツ」は、マッコイとウィントン・ケリーを足して2で割ったような、モーダルだがブルージーで、それでいてどこか哀愁を漂わせる好演をして、この曲を彩る。
ここから又、ベース「テクシュ」の長めのソロが入り、ドラムの「ユメール」のソロも入る。
最後は4人で静かなフィニッシュを遂げる。

それ以外の曲だが、2曲目「アライヴ~」、5曲目「ドクシー」は両曲とも短い曲だが、とてもカッコイイ演奏で、3曲目「フリーダム~」は早めの4ビートでグングン突き進む4人に拍手したい。
この曲では特にピアノの「テクシュ」が非常にモーダルな演奏をし、リズムの二人もモードの極地の様な、ハイセンスな演奏をしている。

とにかく全編「カッコ良さの塊」の様な演奏です。