紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

木住野佳子~フェアリー・テール

2007-10-17 22:21:38 | ジャズ・ピアノ・コンボ
今日は、またまた邦人女流ジャズ・ピアニストの才媛を紹介しましょう。
演奏しているアーティストは、「木住野佳子」…パワフルな「大西順子」やアクティヴな「上原ひろみ」等と異なって、いかにも女性ピアニストらしい、繊細で柔らかいピアノを弾きます。
このアルバムは、そんな彼女のデヴュー盤で、オーソドックスなピアノ・トリオ演奏や、今年突然の訃報が有ってショックを受けた人が多いと思われる「マイケル・ブレッカー」参加の演奏曲等、聴き所が満載です。
では、詳細を…。

アルバムタイトル…フェアリー・テール

パーソネル…リーダー;木住野佳子(p)
      エディ・ゴメス(b)
      ルイス・ナッシュ(ds)
      マーク・ジョンソン(b)
      ピーター・アスキン(ds)
      マイケル・ブレッカー(ts)

曲目…1.ビューティフル・ラヴ、2.フェアリー・テール、3.ジ・アイランド、4.いつか王子様が、5.ファンカレロ、6.星影のステラ、7.オンリー・トラスト・ユア・ハート、8.誓い、9.ラフィット’82、10.ゴーン、11.ウィズ・ア・リトル・ソング

1995年4月17、19、20日 NYにて録音

原盤…MCAビクター  発売…ビクター・エンタテインメント
CD番号…MVCR-30001

演奏について…私が大好きな演奏は、3曲目「ジ・アイランド」。
非常にロマンティック&センチメンタルな、女性美が満ち溢れた好演が、胸を討ちます。
バックはスローのラテン・リズムを終始キープして、それを背景に「木住野」がライトなボサ・ノヴァ的なお洒落なタッチで、次々に美しいフレーズのアドリブを作り出す。
いつまでも、本当にいつまでも聴いていたい、心地良いメロディです。
このアルバムの中で、ベスト1の名演ですね。

7曲目「オンリー・トラスト~」は、正に「木住野」の真骨頂。
とてもロマンティックで、叙情性にあふれた穏やかなアドリブ・ソロから、急速調に変調すると、粒立ちの良いピアノ・トーンで、華麗に鍵盤を走らせる。
バックのベース「ジョンソン」は、実直に弾き続け、ドラムス「アースキン」は、お洒落なタイム感覚で、チョコッと自己主張をするのがミソかなぁ。

オープニング「ビューティフル・ラヴ」…1曲目から「木住野」が駆ける!
チョット「ビル・エヴァンス」が入った感じの、クール・ビューティさが良いね。
「ゴメス」の推進力と、「ナッシュ」のきめ細やかなドラムが、「木住野」をより一層際立たせる。
その後の「ゴメス」のテクニック抜群のソロ・インプロビゼーションと、「ナッシュ」と繰り広げる、音の会話がものすごい。
二人は「木住野」親衛隊と化して、アルバムの1曲目を成功へと導く。
うーぅーん「木住野」はバックメンバーに恵まれているね。

2曲目「フェアリー・テイル」…アルバム・タイトル曲と言う事もあり、流石のサプライズ・ゲスト、「マイケル・ブレッカー」が参上して、音を合わせてくれるのだが、「ブレッカー」は完全にサイド・メン演奏に従事している。
「木住野」は雄大で、ゴージャスな雰囲気のソロを弾いて、「ブレッカー」のアシストも手伝って、大河の流れの様に落ち着いた、そしてデンと構えたピアノが大物の予感がします。

8曲目「誓い」も「木住野ワールド」全開で、ゆったりとした音空間を作って、繊細さと美しさが溢れ出るアドリブ・メロディを紡いで行く。
「木住野」の世界は住み心地(聴き心地)が良いのです。

5曲目の「ファンカレロ」は、彼女のこのアルバム中では、かなりハードで硬派な演奏ですね。
ピアノのタッチも粒立ちをかなり立たせた、言うなれば「尖った音」でプレイしているんです。
「ゴメス」も野太いベースをガッツりと弾いて、「ナッシュ」はとてもセンシティブで、クリアーなドラミングで、彼女をサポートします。

6曲目「星影のステラ」…ゲスト、「マイケル・ブレッカー」が、非常に男の色気を纏わせた音色のテナーの序奏から始めると、「木住野」も雄大なイメージのピアノで対抗する。
その後「ブレッカー」が限定解除して、バリバリと吹き始めるのだが、又、曲が緩小節にチェンジして、「ブレッカー」、「木住野」とも、落ち着きと余裕の有る、大人の演奏で曲を纏める。

4曲目「いつか王子~」では、「木住野」がローマン調のブロック・コードで、「ゴメス」のベースをしっかり、いや、やんわりアシストするのが良いんです。
「ゴメス」が、骨太ながら温かみのあるアドリブベースを気持ち良く弾いてくれます。

10曲目「ゴーン」…美しく哀愁調のテーマ・メロディからして、耳を傾けなくてはいけないね。
この曲のリズムはワルツなんだなぁ。
とても静寂な、静かな冬の湖の水面を眺めている時の雰囲気に感じが似ている。
静寂のバラッド演奏が、貴方の心に青白く燃え続けるでしょう。
最後に「ブレッカー」が一吹きしにやって来る。
そうだ、この水面に一羽の白鳥が舞い降りて、美麗な翼を拡げて求愛しているのでしょうか?

11曲目「ウィズ・ア・リトル~」も、10曲目に近い落ち着いた曲調のピアノ、バラードです。
その違いは…「ブレッカー」がいない事…だけじゃない。
この演奏はピアノ・ソロなんです。
クラシック畑出身の「木住野」にとっては、ソロ・ピアノ(アドリブ)はお手の物。
「ジョージ・ウィンストン」の様にとても美しいソロピアノ演奏で幕が閉じます。


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2 コメント

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Unknown (garjyu)
2007-10-18 21:35:20
こんばんは。
木住野については、まだ中古で買った《テンダネス》しか聞いたことがないので、ちょっと態度保留中です。ピアノの音がきれいだなあという印象はあったのですが、バラード集で、アレンジが少しポピュラーポピュラーしているところもあったので・・。
この《フェアリー・テール》あたりから、聴きなおした方が良いかなあと思っています。
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確かに…そう言われてみれば、そうかも…。 (えりっく$Φ)
2007-10-19 16:24:28
「木住野」の演奏は確かにジャズ・ピアノとして見ると、音がきれい過ぎるかもしれませんね。
元はクラシック畑出身なだけに、余計にそう感じるのかもしれないですけど。
しかし、私的にはポップス寄りの、演奏、アレンジも大いに有りなんですが…。
私とは比べ物にならないくらいにクラシックに造詣の深いgarjyuさんからすると、一寸俗的に過ぎるかもしれませんね。
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