紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

70年代を代表する、マッコイ・タイナーの名盤、最も極上のフュージョンだ!

2007-06-18 23:58:33 | フュージョン
今日は、非常にアコースティックで、色彩豊かな極上のフュージョンアルバムを紹介しましょう。
この盤は70年代を代表し、且つコルトレーン・サウンドから卒業した?「マッコイ・タイナー」の素晴らしきリーダーアルバムです。
フュージョンと言っても、コマーシャリズムに染まった企画、演奏とは一線を画し、アコースティック好きな、硬派のジャズ好きにも充分満足をして頂ける内容だと思います。
メンバーも下記の通り、70年代に考えうる、最強ラインナップですので、是非、ご一聴をお薦め致します。

アルバムタイトル…フライ・ウィズ・ザ・ウィンド

パーソネル…リーダー;マッコイ・タイナー(p)
      ヒューバート・ローズ(fl、afl)
      ポール・レンツィ(piccolo、fl)
      ロン・カーター(b)
      ビリー・コブハム(ds)
      レイモンド・ダステ(oboe)
      リンダ・ウッド(harp)
      ギレツミ・フランコ(tamb)
      ウィリアム・フィッシャー(arr、cond)
      ウィズ・ストリングス

曲目…1.フライ・ウィズ・ザ・ウィンド、2.サルヴァドーレ・デ・サンバ、3.ビヨンド・ザ・サン、4.ユー・ステップト・アウト・オブ・ア・ドリーム、5.ローレム

1976年1月19日~21日 バークレー録音

演奏(曲)について…まず、LPで言ったらA面2曲がまじにすごい出来です。
アルバム企画コンセプトは、完全にトップ・ヘヴィーな出来栄えです。
しかし、私はB面に配置された曲も非常に良い出来で、実は捨てがたい。

表題曲「フライ~」は、クラシックの管弦楽曲を思わせるイントロから、すぐさま激変して、この強固なメンバーの演奏が一気に爆発する。
ピアノ・トリオ「マッコイ、カーター、コブハム」の各メンバーを煽る推進力&ドライヴィングは半端ではなく、とにかく鼓舞しまくる。
特に「カーター」と「コブハム」は何かにとり付かれていると思える程、普段では想像出来ない様な、パワー演奏で押し捲る。
最後まで突き進む「完全一致」の演奏は、本当に素晴らしい。

2曲目「サルヴァドーレ~」は、表題曲以上に素晴らしい出来栄えで、このアルバムのベスト1だろう。
とくに、モーダルで、ラテンチックな美しいソロを弾く「マッコイ」に、アーバナイズされた締まったドラムで推進する「コブハム」、そしてここでの主役は、ずばりベーシストの「カーター」である。
彼にしては、珍しいぐらい野太いパワー系のベース音で、この大編成のコンボ(オケ)をぐいぐいと引っ張り、ものすごいインプロビゼーションを書き立てる、スーパー・エンジンと化している。
中間部分でソロを演じる「ローズ」のフルートも非常に良い出来で、この名演に花を添えている。

3曲目「ビヨンド~」は、美しいクラシック曲そのもので、個人的には大好きである。
まるで、ドビュッシーの様な印象派的な描写がなされた曲で、オーケストのヴァイオリンの美しい響きに、ローズのフルート、リンダのハープがこの絵画を描き切り、皆を夢の世界へと旅立たせる。

4曲目「ユー~」は、ラテン調のリズムのマッコイが素晴らしいピアノ・ソロをかまして、全員の集中力も途切れる事無く曲は進むが、中途でローズ幻想的なソロで皆を煽る。
ここでもリズムの中核、「コブハム」と「カーター」のガチガチ硬派な、タイム・キーピングは見事で、この曲(アルバム)を貧弱で軟派なフュージョンアルバムから、根絶しているのだ。

5曲目「ローレム」は、モード色全開の佳曲で、マッコイの華麗なピアノに、例によって最強リズムの二人がガッチリサポートをする。
一言で言えば、かなりマッチョなピアノ・トリオ演奏が終始演奏されており、オケやローズのフルートは、ここではほんのアクセント・スパイス程度として使われている。

最後にマッコイの代表的なアルバムと言ったが、「裏番」は間違いなく「ロン・カーター」だ。
私はカーターの参加したアルバムも多数所有しているが、ここでのカーターは彼の生涯膨大な録音の中で、最もハードで硬派な演奏をしているのは異論がない。


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2 コメント

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これいいですよね (garjyu)
2007-06-20 16:39:23
はじめまして。
クラシック音楽を中心にCDレビューをやっておりますgarjyuと申します。ちょっと手を広げてジャズなども昨年あたりから再挑戦中です。
マッコイ・タイナー リーダー作としてはこれしか持っていないのですが、コルトレーンと一緒にやっていたときのイメージとはだいぶ違いますね。
本格派ジャズファンからは、ちょっと“分かり安すぎる。”という評価のようですが、“ルパン三世のテーマ”をカッコよくしたような1曲目からメロメロになりますね。
『カッコ良くて、分かりやすいののどこがいけないんだ。』ということでお粗末さまでした。
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Unknown (えりっく$Φ)
2007-06-21 00:36:49
garyuさん、コメントありがとうございます。
私は、かなり本格的なジャズのアルバムから、クラシック、ラテン、をメインに、時にはロックやJ-POP、ワールドM等まで、音楽雑食派を自認して紹介しております。
ジャズはメインにしておりますが、「分かりすぎる」は大いに結構、分かり難いは×ですよ。
気楽にコメント下さいね。
今後とも宜しくお願いします。

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