紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

モーガンのファンキーなアルバム…ザ・クッカー~リー・モーガン

2007-12-12 23:17:46 | ジャズ・トランペット
ブルー・ノートの誇る、天才トランペッター、「リー・モーガン」が素晴らしいメンバーによって組まれたコンボで、天賦の才を余す所無く見せ付ける、痛快なアルバムです。

特に「肝」になっている、キー・パーソンは、バリトン・サックスを駆る「ペッパー・アダムス」だと信じて疑いません。
「ボビー・ティモンズ」、「ポール・チェンバース」、そしてドラムス「フィリー・ジョー」のリズム・セクション3人の実力・実績は言わずもがなで、衆目が一致する所なので、敢えて語る必要性は無いでしょう。

「モーガン」の煌くアドリブ・フレーズと、「アダムス」の渋く、硬派な重低音のバリトン・サックスに今宵は酔いましょう。

アルバムタイトル…ザ・クッカー

パーソネル…リーダー;リー・モーガン(tp)
      ペッパー・アダムス(bーsax)
      ボビー・ティモンズ(p)
      ポール・チェンバース(b)
      フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)

曲目…1.チュニジアの夜、2.ヘヴィー・ディッパー、3.ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・ソングス、4.ラヴァー・マン、5.ニュー・マ

1957年9月29日

原盤…BLUE NOTE 1578  発売…東芝EMI
CD番号…TOCJ-1578

演奏について…ぴか一演奏は、やはりオープニング曲「チュニジアの夜」で決まりです。
「フィリー・ジョー」が奏でる毒々しいラテン・リズムから、期待値100%で胸が膨らみ、その後のメロディを奏でる「アダムス」の重厚なバリトン・サックスと、ブリラントな音質で、声高らかに吹く「モーガン」のアドリブ・ソロにいきなりのノック・ダウンを取られます。
「モーガン」のハイ・スピードで次々繰り出される運指とテクニックの素晴らしさは筆舌に値しますが、それ以上に、このエキゾチック・サウンドにハマリ役なのが、「アダムス」のカデンツァ…究極的なアドリブです。
この演奏の素晴らしさの魅力を倍増させているのが、紛れも無く「バリトン・サックス」と言う楽器です。
この音色は、まじに「チュニジアの夜」にベスト・マッチではないでしょうか?
この二人の抜群の出来のソロを受けて、ファンキー・ピアニストの「ティモンズ」も軽やかなアドリブで疾走をします。
ヘヴィな管楽器の攻撃を、ピアノで軽く受け流し…その後のスーパー・テクニシャン「フィリー・ジョー」のチョイ・ソロも短いが聴き物です。
最後はお似合いのカップル、「モーガン」と「アダムス」が〆を決めて、フィニッシュなのですが…ヤッホー!!とにかく最初から最高の演奏です。。。

2曲目「ヘヴィー・ディッパー~」…序奏の2管のユニゾンと掛け合いから、興味をそそられる、ファンキー・チューンです。
渋く決める「チェンバース」のドライヴィング・ベースに「モーガン」が引っ張られて、抜群のソロを吹けば、「アダムス」もイマジネーション豊かに、しかし原曲のメロディを活かしたアドリブで応えてくれます。
「ティモンズ」は、ここでもライトなタッチで、管楽器を邪魔しません。
あくまでもサイド・メン的な伴奏から発展させたソロで受けます。
「チェンバース」「フィリー・ジョー」のアドリブは、お決まりでは有りますが、とにかく上手いです。
こう言うライトなナンバーを演っても「モーガン」は合うよね。

3曲目「ジャスト・ワン~」…「コール・ポーター」の曲ですが、この曲もいかにもブルー・ノートらしい演奏解釈で、早めの4ビートで疾走していくイメージです。
「アダムス」が、かなりシャウト気味の演奏で、3曲目にも入り、高揚して来た感じもします。
「モーガン」も速射砲の如く、高速のアドリブ・フレーズを湯水の如く吹いて、実力を見せ付けます。
こう言う、疾走ナンバーになると、流石の「アダムス」も「モーガン」にはお手上げ状態でしょうか?
とにかく「モーガン」の超絶技巧に圧倒されます。
「ティモンズ」も高速の指使いで、疾風のソロを受けて立ちます。
終盤には、「フィリー・ジョー」も高速ドラミングで、バトルに参加してくれて…複数の天才が正しくガチンコ・バトルで演り合うベスト演奏です。
「チュニジアの夜」と双璧か?もしかすると、この演奏の勝ちかも???

4曲目「ラヴァー・マン」…「モーガン」の天賦の才が煌く、もう一つの顔…それがこう言うバラッド演奏です。
「マイルス」が知的で抑制された、ミュート・トランペットの美学的な、神の精神的バラッドだとすれば、「モーガン」は真に正統的な、トランペットと言う楽器の美音を余す所無く伝える、「貴公子」の歌声と言ったら過言でしょうか?
いずれにせよ、胸にビビッと来る演奏には違い有りません。
「アダムス」のバラード演奏も結構行けますし、何より「フィリー・ジョー」のブラッシュ・ワークが、見事に彼等をサポートしてくれます。

ラスト曲「ニュー・マ」…「モーガン」のオリジナルで、いかにも…のマイナー調ブルーズ。
まず「ティモンズ」が、日本の演歌の様に、泣き節を入れながらソロ演奏をして、ブルースの真髄を表現したくれます。
それから「チェンバース」…こう言った地味?目のベース・ラインの見事さと、ソロ演奏での生真面目さ…似合っていて大好きです。
「アダムス」も抑制気味だが、渋くブルース・フレーズを決めてくれて、ラストの舞を見せ付けてくれます。
今回のアルバムの最高殊勲選手ですね。
「フィリー・ジョー」の見せ場も勿論有りますよ。
そして最後は、「モーガン」がバッチリとブリリアントにソロをやり遂げて、最高のフィニッシュを見せてくれて…カッコ良く決めてくれます。

全5曲とも駄演が無く、50年代後期のブルーノートの最高に行けてる時代をしっかり捉えた、好アルバムですね。


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4 コメント

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渋いアルバムを・・・。 (加持顕)
2007-12-13 08:25:41
このアルバムはやはり、「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・ソングス」が好きですね。
「ラヴァー・マン」も捨てがたいかな。

そういえば大学時代の先輩もこのアルバム、好きだと言ってたなあ。
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まいどおおきに… (えりっく$Φ)
2007-12-15 01:14:40
渋いアルバム…ですかね。
加持さんから渋いと言われると…まじに嬉しいです。
裏を返せば…加持さんぐらいジャズを熟知していらっしゃらないと、分んない…って事になるんですかね。
それも、一寸やばいなぁ。(笑)
もう少し、俗的なヤツで行きましょうか?
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ようやく更新出来たので。 (加持顕)
2008-01-29 19:07:45
こんばんわ。

コメントの続きから記事にまとめましたので、トラックバックさせていただきまーす(笑)。
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どうぞ…どうぞ。 (えりっく$Φ)
2008-01-29 21:55:41
トラック・バック…大いに歓迎です。
☆但し、人は選ばさせて頂きます。(笑)
加持さんなら、ノー・プロブレムです。
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