SpiMelo! -Mie Ogura-Ourkouzounov

L’artiste d’origine Japonaise qui mélange tout sans apriori

基礎練習の大切さ

2010-06-11 18:19:10 | Essay-コラム


今朝は久々にジャック・ゾーンのモーツァルトのコンチェルトを聴いています。
うわお~!今日はクラシック・フルートの話題ですぞ!
当たり前か
しかし、なんなんだろう、このアーテキュレーションの豊かさ、クリアーさは!
こんな速いデンポだと、ふつうならこんなに発音できないでしょ!
世界中で、彼にしか、できないよね。きっと。

バックのオーケストラは、ソロに対していささか伝統的すぎて、ちょっと戸惑い気味にきこえる。
フルートパートに素晴らしく斬新な試みがあるのに、このCDがいまいち聴きにくい原因なのかな?
でも、よーく聴くと、そういう両者の思惑の差が聴こえるのが、醍醐味かも。

私のモーツァルトの個人的な趣味になるけど、ホロヴィッツの弾く、ピアノ・コンチェルト23番(ジュリーニの指揮)が好きである。
(といったら、「え~!あれでしょ?最悪!」と言われたことも何度かあり。
言葉であえていうと、わんぱくさのなかに神聖さを隠し持ったようなのが、すきなのである。


レングリも、レッスンで常に、「歌詞を歌うような発音」を強調していらっしゃったが、
まさしく、これはありがちな「フルーチストがコンクールで吹くコンチェルト」じゃなく、歌手が歌う、「モーツァルトのオペラ」だね!
たしか、このジャックが吹いてるフルートは、彼がのみの市かなんかで見つけて来た円錐管に、キーを自分で付けて作った、とか言っていたアレだよね。よくそんなことやるな~。しかも、自分で工作した楽器で、誰もやったことがないような解釈をやる。いったいクラシック演奏家のなかの何人がこんな斬新な考え方ができるんだろうか。

斬新さ、とひとことに言うけど、それには「基礎」が不可欠であることは言うまでもない。

それは本当の意味でスタイルを知り尽くした上でできることで、ただ「斬新さ」を故意に目指しただけのパフォーマンスは、奇抜なだけの薄っぺらでカラッポなものになってしまう。

私はレッスンの中で、ひとりひとりの基礎を作ることが一番重要だと思っている。先生というのは自分の吹き方を教えるためにいるんじゃなく、その生徒をいかに遠くまで行かせられるか、だと思うから。

呼吸法、または音作りは、弦楽器でいう「弓使い」なので一番基本。弦楽器奏者を思い浮かべて欲しい。彼らが弓を音楽的に滑らかに、隅から隅まで使えるようなボーイングの練習
を毎日するように、私にとっても呼吸を意識したロングトーンの練習は毎日欠かせない。

呼吸と音は、コインの表裏のように、一体である。

指に関しては、これは全ての音階を自由に行き来できるように一生のうちで有る時期は、基本的な音階を徹底的に練習すべきだと思っている。もちろん有る程度指と舌の連結が基本的な音階の中でできたとしても、音の組み合わせというのは無限なのだから、(音楽とは調性音楽だけではないということ)一生練習していくことになるけれど。

私の師匠、ニコレは「もし一日に一時間練習時間がとれたとしたら、45分間基礎をやりなさい」と常に言っていた。

で、私も実は、同じ意見である。

これはインド音楽のラーガでも全く同じ考え方なのですが、音楽的な自由さを獲得するためには、いかに自分の偏った「クセ」または「偏った考え方」を排除するか、にかかっている。だから、音の配列を数学的に交換しながら音階をやったりと、ひたすら基礎練習をする訳です。

そうしたら、曲の練習に移ったとき、まったくテクニックやら音やらのことを考えずに、速攻音楽的解釈のことだけに集中できるのだから、結局時間の節約になるし、いつも本当に音楽的な考えで頭を満たせていられる。

でも、大事なのはフルートのテクニックの基礎だけではない。音楽解釈のスタイルの基礎ももうひとつの大事な基礎である。

ヨーロッパ音楽をやるなら、時代背景や、言語による発音の違い、リズムの取り方の違い、それぞれの作曲家の個性など、知っておかなければならない事がたくさんある。というか、知っておかなければならない、といかう悲壮なものじゃなく、知って行かないと、音楽やるのなんて楽しくないと思う。「知る」ということは楽しいものである。これも、一生やっていてもどんどん発見がでてくることで、これでおしまい、ということはあり得ないんだけど。

今、私は生徒達やバロックの先生とバッハをやりながら、毎日新しい発見の連続である。
けど、そういうスタイルの基礎がチリも積もっていくようにどれだけその人の体内にあるのか、演奏を聴けば一目瞭然なんだよね。

ジャック・ゾーンから基礎のことまで、話は広がってしまいました
それではまた

日本でのマスター・クラスが実現しました。

浜松、アクトシティ浜松 音楽工房ホールでのリサイタル(8月12日(木))の翌日、8月13日(金)同ホールです。
聴講もできます。(人数に制限あり。)興味のある方は、詳しい情報をお送り致しますので、このブログに直接メッセージを送信していただくか、主催者の小林聡さんのブログ http://ameblo.jp/flute-nayami/ からお問い合わせを。



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La semaine festivaliere 2010

2010-06-06 21:39:22 | Conservatoire-音楽院紹介
  
La semaine festivalière au Conservatoire Municipal Jacques Ibert du 19e arrondissement

La classe flûte de Mié OGURA& la classe de violoncelle de Florien LAURIDON(Clavecin:Kaé HATANO) présente

Concert Musique Baroque

Lundi 14 Juin 2010 à 20h30 Salle Debussy (Gratuit)

programme:J.S. Bach "Suite Orchestrale No.2",C.Ph.E.Bach "Sonate en trio en Mi Majeur",J.H.Kapsberger "Colasione et Canarios"

バッハの管弦楽組曲第2番、今年クラスのみんなで学んできたこの曲を発表!クラヴサンの畑野佳恵先生とチェロのクラスの協力を得て、完全バージョンでやります。
ヴァイオリンやヴィオラのパートはフルートにアレンジしたので、自分の楽器のパート以外を吹くことで、この曲をもっと深く知ることができればと思います。
しかし、末恐ろしい音楽。編曲、指揮をすることで、私もものすごい勉強になりました。

その息子、カールフィリップのトリオも、その音楽的な自由さがほんとうに素晴らしい。

カプスベルガーは16世紀の作曲家とは言われないと分からないほど、今風な、ロックやポップスの香りのする作曲家。ドイツ人だけどヴェネチアというオリエントとの交流の場で育ったことがこんな作風を生んだのかな。


Concert de L'atelier d'improvisation de Mié OGURA

Mardi 15 Juin à 19h30 dans le hall (Gratuit)

pièces de C. Corea,J.Coltrane,Th.Monk,W.Montgomery,Red Chili Peppers,J.M.Machado

今年の即興科アトリエの総集編。みんなのこの1年の成長がみられる、といいなあ

Conservatoire Municipal Jacques Ibert 81,rue Armand Carrel 75019 Paris (Métro jaurès)


そして今年度最後のパリでのアタナスとのデュオ・コンサートのご報告

Concert Duo Mie Ogura & Atanas Ourkouzounov

Dimanche 13 juin 2010 à 18h30 au Lucernaire

53,rue Notre Dame des Champs - Paris 75006
métro ligne 12-Notre Dame des Champs

tél/0145445734
entrée 15 euros

Pièces de Bela Bartok ,Chick Corea,Toru Takemitsu,Gyorgy Ligeti,Ivo Papasov,Ourkouzounov.

このコンサートが終わったら、いよいよアメリカはテキサス州、Guitar Fondation of Americaのフェスティヴァル出演のため、旅立ちます。
近いうちにアメリカ・ツアーの予定も載せますね。




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