SpiMelo! -Mie Ogura-Ourkouzounov

L’artiste d’origine Japonaise qui mélange tout sans apriori

個から宇宙へ〜ドイツ編 Trip to Germany

2019-08-20 12:25:00 | Concert Memories-コンサート旅行記

はい、ドイツに着きました。第一印象。。。静か!どんちゃん騒ぎのルーマニアから来たら当たり前か。





 Arrive to Hersbruck in Germany

 

ルーマニアでタクシーで町からプールまで行くのに10レイで、ドイツでは同距離で丁度10ユーロだったので、単純に計算すると物価は約5倍。ドイツはいつも、経済的に非常に上手くいって充実している国、歴史的認識に基づく合理的な教育をが浸透していて、そして芸術への理解が手厚い国、という印象を受ける。お金を芸術に回すことを厭わない、それが国力になることを理解している。現在のパリのように芸術家を軽く扱わない、音楽家にケチらない。などと思うのは、ここに住んでいないから良いところだけ見えているのだろうか。

 





 

ホテルのロビーの冷蔵庫を開けると、、、





Many beers 😂ビール取り放題。酒屋状態ですがな!ドイツのアマチュア層はとても厚く、たくさんのアマチュア達がフェスに参加し、アーチスト達と一週間生活を共にし、コンサートを毎夜聴きにくる。




400 places full audience in the concert hall at Festival Hersbruck in Germany!

 

私達デュオのコンサートでは、400人の聴衆が満員で、フェス最高のコンサートだったと、聴衆みんなが熱狂してくれ、最高の賛辞を頂いた。こんなに嬉しいことはない!ドイツ最大というジャズ・フェスティバル出演の依頼をいただき、次はギターフェスとはまた一味違った場所に行けるぞー!楽しみっ!!




A dessin from our duo concert  コンサート中に描いていただいたデッサン。

 

また、このフェスで一番楽しみにしていたのが、セルジオ&オダイールのアサド兄弟との再会。飲み友オダイールとビールを楽しめるぞっ!ジェントルマンなセルジオと会話を楽しめるぞ!(オダイールは時々何言ってるのか理解不能なので笑)

 

ある朝娘がロビーで一人で遊んでいて、「ママ、新しいお友達が出来たの!フランス語を喋れるよ」というから行ったら、なんと、オダイールの優しき有能な奥さん、ファーさんが遊んでくれてるじゃないですか()セルジオもオダイールも、サンフランシスコとリヒテンシュタインでそれぞれ1回ずつお互いに演奏を聴いて会っただけなのに、全てを交換でき、ずっと会い続けているかのように全然距離がない、心温かい人たち。こういう人たちはブルガリアの例のペーター・ラルチェフさんと同じく音楽が全てで、音楽のみで結ばれる稀有なエネルギーの人たちだ。

 

Beautiful concert of Sergio & Odair Assad🎶










アサドデュオコンサート終演後、オダイールとセルジオに遊んでもらう娘。4枚連発!次回はセルジオの孫と遊ばせる予定。この二人が凄いのは、音楽が極めて個人的な体験から始まっていること、-ふたりは兄弟で、お父様からギターを習った。その二人が自然発生的に一緒に演奏し始めた、その時のフィーリングそのもので、60歳を過ぎた今のいままで続いているーそこには彼らの人生が滲んでいる。二つの個が、鏡のように個人的な想い出を映し合いながら演奏し、(セルジオの素晴らしい作品もあるが、クラシックの曲であろうとジスモンティであろうとピアゾラであろうと、極めて個人的な解釈それは、ワザと個性的にしよう!としているという意味とは全く逆で、ブラジルのフィーリングという伝統、根っこに根ざしていて、それが個を通して広い宇宙に窓を開けている。稀有な才能を持つ個と個が伝統という根っこに繋がった時、誰にも真似できない壮大なオリジナリティになる。そこには何よりお互いへの愛と音楽に対する愛が四方八方に溢れている。それにオダイールのあの音、、、思い出しただけでも心がふるふるしてくる。この兄弟がこれだけ多くの人を揺さぶる理由がよく分かった。2つのフェスをハシゴすると、自分をこう見せよう、ああ見せようという次元の演奏や、このように演奏しなければ、という優等生的にシステムのニーズに答えようとする演奏、またテクニックやエンターテイメント先行で音楽を商品化し、おもちゃよろしく弄んでいる演奏も見てきた。そういうこの世のあれ何だっけ?108の鐘のやつ、、、あ、煩悩か。この世の平坦な価値観でしか音楽を見てない人たちと一線を画した美しい演奏は、心がすうっと広く宇宙の果てまで見渡せる感じがする。アサド兄弟以外では、ルーマニアで聴いたジュディカエルの演奏も、彼は孤独にたった一人で音楽に向かっているのだな、と思える演奏で素晴らしかった。天性の才能で、自己と音楽を懸命に同化させようとしている印象を受けた。こう言う演奏は一瞬一瞬が演奏家自身でも想像つかないというか、そういうリスクを孕んだものじゃなければ、わざわざ聴きにくる価値はない。

 

彼らが出発してしまうと、セルジオとオダイールのいないフェスなんて、、、という感じにぽっかりと心に穴が開くのでした。

 




Hersbruck from outside...Thank you Johannes for this great experience !ヘルスブルッフ外からの眺め

 

あーしかし素晴らしいフェスでした。オーガナイザーのヨハネスさん、これだけの大所帯がみんな快適にリラックスして過ごせる配慮、脱帽です!つくづくすごいよなぁ。堪能させていただきました。長い時を経てやっとパリに帰って来ました。次はフランス南西部アルカションの銀海岸(コート・ダジュールー紺碧海岸ーは知られてるのになぜこの素晴らしいコート・ダルジャンは知られてないのか?)を楽しんできます!

(個から宇宙へ 完)


個から宇宙へ。ルーマニア編 trip to Romania

2019-08-19 11:53:00 | Concert Memories-コンサート旅行記
August 19, 2019

 

We arrived at Targu Mureş in Romania to play at the festival harmonia e cordis!

 



Beautiful Târgu Mureş in Romania, Transilvania


パリからミュンヘン、ミュンヘンからルーマニアのクルージュ・ナポカ空港から車で二時間、遠っ!ついに目的地トゥルグ・ムレシュに到着。

 

ここは作曲家ジョルジ・リゲティが生まれたトランシルヴァニア地方と言って、第一次世界大戦まではハンガリー領だったというところで、住民の80%がハンガリー人らしい。

 

表記もルーマニア語とハンガリー語の両方。住民はどっちも喋る。

 

  

エネスコ通り





 George Enesco street

 バルトーク通り





 

Bêla Bartok street

 

ということで、私の知っているルーマニアよりは、かなり落ち着いた?!ヨーロッパ寄りの印象。オーストリアとハンガリーは長年同国だったのだから、西欧的雰囲気が流れ込んでいても不思議はない。トルコと半世紀同国だったブルガリアとは随分雰囲気が違う。しかしここにもジプシーが街を闊歩中!でもあれ、カラフルな民族衣装&長い髪にぐるぐるとリボン飾り!めっちゃかっこいいんですが、、、ブルガリアのジプシーさんはもっと普通の格好だったし、それによく見ると、ここのジプシーさんは色が白い!それに、普通にマックで食べたり、レジャーに行ったりしている!ブルガリアではまずジプシーがブルガリア人と同一行動しているのを見かけないのだが?アタ曰く「ここのジプシーはブルガリアのジプシーとは違う系統だよ。どこから来たのか知らんけど。ブルガリアのジプシーは完璧なインド系の顔だろう?二派間で抗争も起こるらしいね、よう知らんけど」なんや、よう知らんのか。。。私はジプシーにとても興味があって惹かれるので、誰かジプシーに詳しい方教えてください。

 





 

しかし宿泊場所に連れて来られた私達は驚いた。なんと広いテラスから見渡す限りはプールだらけで、アミューズメントパークのようなそこは、朝5時までめっちゃくちゃうるさいどんちゃん騒ぎ音楽が鳴り止まない!これじゃあ一睡も出来ませんがな!翌日優しきオーガナイザー、イシュテバンさんに頼んで街中の古風なペンションに変えてもらいましたが、「いやー、皆さんあそこがほんとに好きなんですよ、、、楽しんでもらえると思ったもので、、」とちょっと悲しそう。さっすが、やっぱりバルカン唯一のラテン国家!ここはやはりルーマニアだあー!!





 

次の日からのペンション。おー、またまた昭和な外観。





 

in a small hotel in Targu Mureş

 

娘もバルカン諸国ではいつもベビーシッターなんて必要なし!ブルガリアやルーマニア巡りでいつも会うお馴染みの生徒さんたちが、代わる代わる遊んでくれるんですね。楽しいー!娘もこんな感じでお利口さんにコンサートを聴いています。





 

While a concert... thank you Isteban for all this nice experience !


小さいのに何故かエネルギーに溢れたこの街を堪能し、あの激うるさいプールにも毎日通って毎晩コンサートも聴き、(子供がだいぶ大きくなってきたので、こういうことも出来るようになってきた!)名残惜しみながら次の目的地、ニュルンベルクに近いドイツのヘルスブルッフへ向け出発!(「個から宇宙へ」続く)


夏のブルガリア Bulgarian Summer 2019

2019-08-02 12:58:00 | Concert Memories-コンサート旅行記

August 2, 2019


またブルガリアに帰ってまいりました!目的地はソフィアと、バルカン山脈を超えバスで二時間半ほどの地方都市、プレーヴェンで行われるサマーアカデミーです。

ギターのアカデミーなので、最終日のちょっとした演奏以外は私はヴァカンス。





 The summer guitar academy at Kailuka Hotel in Pleven, Bulgaria, in the middele of nature. 自然にあふれるプレーヴェンのオアシス「カエルカホテル」に帰ってきた。


 回の収穫は、娘がいっつもパパと喋るのを聞いているせいか、一気にブルガリア語が分かるようになってきて、簡単な意思疎通ならかなり楽になったこと。まだ まだ際限のないダベリには参加出来ないけど。おやもう一息じゃん?頑張って勉強しよ?と思える所まで来た。それはフランス語が分かるようになってきた時の ように、だんだんと空白が埋まるように分かって来るのだ。





 ホテルの庭、、、相変わらず昭和に逆戻りしたような様相、、、


 





 

あと、毎朝ご飯前に、ギタリストで舞踊家でもあるボヤンさんによるブルガリア民 族舞踊「ホロ」の講座があったので、毎朝参加し、ゆっくりの6拍子から始めて、7拍子の急速なダンス「ラチェニッツァ」まで行ったことも収穫だった。ス テップと手の複雑な動きで音楽のフレーズ構成を完璧に理解できる。私が本当にステップを分かったのか、講習会&フェスのメインスポンサー、企業社 長でアマチュアミュージシャンのコツェさんが、手取り足取り確認してくださいました。





Practicing Horo in the morning with Bojan  (Bulgarian traditional danse)

 

このコツェさん、最終日の野外コンサートでは、私たちの演奏の後、自慢の自作歌をギターかき鳴らしながら熱唱披露でライヴ!

多分この人60過ぎてるけど、何というバイタリティー。

何をするにも思いっきり全力投球で、子供のようにキラキラした目をしている。毎日スポーツをするそうで、筋肉質な体躯にツヤツヤの肌。こういう人を見ていると、単純に人生が数段楽しくなるのでした!あー来てよかった。








 Kotche's live in Kailuka hotel garden








 Duo Ourkouzounov on stage!  楽しい最終日の野外ライブ  



音楽とはコミニュケーションである!違う空気を吸って違うコミュニケーションをし、その毎回違う空気を振動させられるかどうかだ!

我が故師匠二コレの言う通り、部屋に閉じこもって練習してばかりいたって、結局は何も学んだことにはならないのだ。

しかし時代は変わって、それじゃダメだ、心を開け!と叱ってくれる先生もいなくなってしまった。


 ルガリア全土から集まってきた生徒さん達や、ホテルスタッフの若い女の子達の、すっくと大地から伸びた長く真っ直ぐな脚や引き締まったお尻---ただこの 美しいカモシカのような若い子たちが、時を経てどうやったらこんな太ったおばさん連になれるのだろうか、摩訶不思議、、---を見ていると、自然に体を動か したくなる。それだけで楽しいからショッピングをして気に入った服を買いたいとも思わなくなる。どっちみち大したものは売っていないし、食べ物だって余計 な選択肢はないから(国民食みたいなメニューは一週間もいるともうローテーションしてしまうあれこれ何をしようかと悩む必要もない。朝起きたら伝統ダンスを踊り、(何にしようかと思うまでもなく、もうコレでしょ!って感じ笑ゆっくりとコーヒーを飲んだらあんまりヒマなので練習して、飽きたら緑溢れるテラスでビールを飲んでだべりながら1日をゆっくり過ごす。





                                               .....Pilinsko beer!



パリでの1分ぶんが何時間にも伸びて感じられる、ゆったりした時間。

時間とは場所によって伸縮自由。


 分私がブルガリアを心地良く感じるのは、西洋各国や日本に比べて生き方がシンプルで、細かいことに悩むのが馬鹿馬鹿しくなること、あとは人間関係がパリほ どよそよそしくなく、(フランス人は過剰であることを忌み嫌うようだ、だから時にみんな生ヌルく、中庸になってしまうまた複雑怪奇な口の利き方のセオリーもなく、日本ほどべったりとしていて細かく気を使うでもなく、みんなでいる時は過剰なほど優しさや感情をむき出しにす るのに、一人好きなことをしていてもほっといてくれるという、どっちにも無いちょうど良さがあるからだと思う。あと、日本やフランスではかなり前からアポを入れないと親しい友人とも会えないほど皆忙しいが、どう言うわけか、ブルガリア人は一本電話したら速攻で駆けつけてくれるという、なんともヒマなのか、 友人と会う事に命をかけてるのか、その辺のことはよく分からない。シンプルマインドとは現代先進社会が忘れ去ったものなのだろうか。





 In Sofia  古いソフィア市内は掘れば遺跡がざくざく出て来る。後ろに見えるのがイスラム教のモスク。写っていないが、至近距離に最古のブルガリア正教教会とシニャゴーグ(ユダヤ寺院)がある。



この 国ではジプシーもムスリムもブルガリア系も、みんな知らーん顔して共存している。もちろん口を開けばお互い大嫌い!とみんな言うけれども、もう何百年も一 緒にいるので、全く異なるスレ違い生活をしていても全く気にならないらしい。これこそ本当の異種共存の例であろう。あい慣れなくて何が悪いっていう、、、 パリだとアイデンティティが云々、という問題でまだ右往左往している印象である。パリは人種のるつぼなのでアイデンティティが複雑化するのは仕方ないとし ても、単一民族国家に近い(本当は違ってもそう思いたがりそうな)日本ではまた違った意味で根深い問題である。


ブルガリアでは音楽がその 社会をよく反映していて、結婚式のバンドの音楽が風にのって聴こえてくるのだけど、ジプシー風、イスラム風、ブルガリア風とどんどん音楽が移り変わってい く。そして世界の果てみたいな地方都市ぺレーヴェンにあって、そのインストソロ・インプロのため息の出る程見事なこと!





Sofia at night   ソフィアの日はゆっくり暮れる。



そんなブルガリア も来る度に少しずつ現代化されて旅行者には快適になってきている。ソフィアでは徘徊している危ない野犬の数が減り、レストランや商店の店員はヨーロッパ並 みの笑顔を見せるようになってきたし、高速道路もイキナリ出現するジプシーの馬車も前よりは目立たなくなった。一見するとそういう印象でも、殆ど社会保障 は機能してないらしく、病気をしたら金のない者は野垂れ死に。数十年後には出生率が極めて低迷し人口の海外流出が激しいこの国では、産めよ増やせよで増え 続けるジプシーの人口がブルガリア系人口を大きく凌駕していく予測なのだそうだ。


私「ブルガリアに住みたいな。。。」

アタ「あー無理でしょ」

私「あの凄い国立民族オケで5番フルートぐらいで良いから雇ってくれないかな」

アタ「月給60ユーロでどうやって生活するんや?」


さすが、裏を良く知っている方のお言葉でした。()


ところで大ニュース。続く11月のプレーヴェン・ギターフェスでなんと、アコーディオンのブルガリアの巨匠、ペーター・ラルチェフさんと、私達ウルクズノフ・デュオとの2回目の共演が決まりました!!第一回目の共演の詳細はこちら。

しかも合わせに本番数日前から来ていただけるとのこと、数日間どっぷりと、あのとんでもなく最高な音楽と直に関われると思うとわくわく、ドキドキ、もうこれ以上の幸福はないです!

更なる化学反応間違いなし!

ていうか、その人柄、音楽で否応無く万人を化学反応させてしまうお方なんです!