SpiMelo! -Mie Ogura-Ourkouzounov

L’artiste d’origine Japonaise qui mélange tout sans apriori

続・インタビュー、田中泯さんとデレク・ベイリー

2017-12-28 10:04:00 | Essay-コラム

December 28, 2017


Enfin,j'ai eu le magazine "The flute" du Japon avec l'interview!

ザ・フルートという雑誌にのったインタビューです。

ページをここに貼っているので読んで頂けます!

___私のせいでこの雑誌を買う人もほんの数名(名前も言えるぞ)ほどでしょうから、ここにこのページのみ転載しても多分問題はないハズ。。。というか、この雑誌、フルート愛好家、プロ、学生さんを中心に全国1万人もの読者がいらっしゃるのだそう。他の方のインタビューも盛りだくさんなのでぜひお買い求めを(笑)___







 それにしても、至上最高に疲れている私の顔(苦笑)仕方ない、これこそが私の2017年をやり遂げた顔ですかね。私のことを良く知っている、パリの私のクラスに留学に来ていた川上葉月ちゃんがインタビューをしてくれたので、リラックスしてできました(笑)しかも、文字数が制限されているなか、かいつまんでとてもよくまとめてくれて、(はっちゃんの勢いがありつつ庶民的な語感が私の語感をうまく和らげてくれている)さすが私を信頼してくれているだけあります。

 

高校のとき某学生コンクール___いま変換しようとしたら「困苦ーる」と出た!さすが私のパソコンやな(笑)___に出て一位を貰った時、地元の新聞社にインタビューをされて「フルートはどんなイメージですか」と質問されて「野性的で原始的」と言ったら「はあ?エレガントとかそういうのは」「ないですね」と言ったら、質問自体が削除されていた!しかも「一日何時間練習されているんですか」というから「そんなもの数えてません」といったら「だいたいでいいので!」としつこいので「4時間」とか適当に言ったら「一日4時間の猛練習で勝ち取る」とか書かれていて、私もまだ多感な子どもだったので、そんな記事が学校に張り出されてもう最高に居心地が悪かった。それからメディアというのは好き勝手に印象操作をするものなのだ、というのが分かってしまって、それからもいろんな経験があって、それでテレビとかそういうものは、あんまり信じていない。でもはっちゃんみたいな気概の人がいると、メディアも捨てたもんじゃないぜ!と思えます。

 

このインタビュー記事を他人の目線で読んでいると、自分がやってきたことが客観的に分かって良い。自分の過去の記憶を探ることは面白い。。前回の記事で、これまたもう一人のパリでの生徒、いずみちゃんにもらったダンサーの田中泯さんの本を読んでいると書いた。(生徒というのはすごい。。。成長して私にいろんなことを教えてくれるのです!)

その本の中にギタリストで即興家の、デレク・ベイリーの名前が出て来て、泯さんと共演していたということ、またスペインでの彼の最期の演奏の様子が分かって、感銘を受けた。それで20年ほどまえに即興を始めた頃、彼の「即興演奏の彼方へ」という本を買っていたことを思い出し、ざっと読んでずーっと開けていなかったこの本を手に取ってみた。すると、20年前はちんぷんかんぷんだったこの本が、染み入るようによく分かるのです!インド音楽、フラメンコ、ジャズ等々といったインプロ主体の音楽を専門にしている大演奏家達にデレクが対談形式でインタビューしたものなのですが、いちいちこの方達が言っていることが、あまりに私が今欲している事、20年の時を経て理解してきたこと、を正確な言葉で表してくれていて、これもまた、泯さんがくれた素晴らしい巡り合わせです。どんな素晴らしい本も、出会う時に出会わなければ、意味がないんやなー。前述のザ・フルートのインタビューのあと、校正の段階ではっちゃんに「即興音楽っていうと、必ずみんな「分からない」「自分には関係ない」と思うか、ただ過激な前衛みたいなイメージをする人もいるから「ジャズのようなアドリブを母体とした音楽」と括弧つけたほうがいいかも」という話をしました。

 

「即興」やってます、と言う度に、なんだか誤解されそうな怖れ、どうせうまく説明できないという諦め、分かんないのでスルーされる悲しみ。その感じをなんと、この本の冒頭にちゃんと書いてあるではありませんか!だからこそデレクはこの本を書いて再定義をしたかったのだそうです。以下抜粋

 

「インプロヴィゼーションは一般的に、音楽上の魔法のトリック、いかがわしい便宜的な手段、さらには低級な悪癖とも見られている。」

 

「彼ら(即興を主体とした音楽言語を演奏する人たち)は、即興演奏以上に、技能や専念、周到な準備や訓練、真剣な関わりを要する音楽活動はないと知っているのだ。それだから時として悪口になりかねない(一般的な理解での)インプロヴィゼーションという言葉に不快感を抱く」

 

「インプロヴィゼーションは決してとどまることなく、常に変化し状況に合わせて変化しているので、分析や精密な説明をするにはあまりにとらえどころがない。本質的に非アカデミックなのである。それ以上に、インプロヴィゼーションを説明しようとするどのような試みも、ある観点からすれば不誠実にならざるをえない」

 

うわー!インプロさん、被害被りすぎやろ。。。(悲)

 

前に、私がインド音楽を始めたときに、雷に当たったように分かったことがあった、と書いたことがある。

 

デレクさんが追求しているものは、「非イディオマティック・インプロヴィゼーション」とこの本では便宜上定義されている。田中泯さんのダンスも、それに当たるのではないか。

 

デレクさんとは逆に(デレクさんはジャズ出身だ)完全にフリー(非イディオマティック?)の即興から始めた私は、とある瞬間から、この本にある言葉を使わせてもらうと、「イディオマティック・インプロヴィゼーション」への道へと向かった。その瞬間とは、パリ音時代の即興のクラスであったある出来事である!!ということで眠くなってきた!次回に続く!!お楽しみに。


ホーイチ、ブルガリア、西洋と第三世界

2017-12-08 10:36:00 | Essay-コラム

December 8, 2017


La légende de "Mimi-nashi Hoichi" 


Samedi 13 Janvier 2018  10h à l'auditorium du conservatore Jacques Ibert Paris 19e

81 rue Armand Carrel 75019 Paris (métro Jaurès)


Un spéctacle musical improvisé d'un célèbre conte japonais  se réalisera par un équipe franco-japonais qui splendide!


Elsa Mionet-Miura (conception,violon,voix),Philippe Montaigne (conte), Miéko Miyazaki (Shamisen,voix),Daniel Moreau (piano), Mié Ouou (flûte,voix)


話し手と即興音楽による「耳なし芳一」


2018年 1月13日(土)10時 パリ市立ジャックイベール音楽院オディトリアム


必聴!フランス語による話し手と日仏豪華音楽キャストによってあの日本童話を再現する、即興スペクタクル!!


エルザ・三浦ミオネ(コンセプト、ヴァイオリン、歌)

フィリップ・モンテーニュ(お話)

宮崎美恵子(三味線、歌)

ダニエル・モロー(ピアノ)

ミエ・ウルクズノフ(フルート、歌)

 

タイトルは混ぜこぜになっていますが、すこし徒然の近況と覚え書きを。

ブルガリアに一週間滞在してコンサートをさせていただき、(プレーヴェンというバルカン山脈よりすこし北部の地方都市にて)そのあと雪の降りしきるソフィアを飛び立ち、教えている音楽院で、学期始めから万全のチームで準備してきた子どものための「耳なし芳一」即興スペクタクルの初演をしました。(12月中は区内小学校1年生のための特別公演です。ホームページに掲載したとおり、一般向け公開初演は年明け、1月13日(土)です!)





 Snow in Sofia,Bulgaria

 

なぜ「耳なし芳一」かというと、音楽院の同僚でフランス人と日本人のハーフのヴァイオリン教授のエルザから、どうしてもこのお話を子ども達に伝えたい、それも最高のチームでやりたいと、依頼があったからなのです。共演の話し手のフランス人と、三味線、お琴の日本人、ジャズ奏者のピアニストはみんな超素晴らしいアーチストなの!ということでした。そして彼女の言った通り、最初のリハーサルで即興をしたときから、繊細な耳をもって、「その瞬間にしかできない音楽をするために」万全の準備をする、という意味が分かる人たち、そして誰もレールを敷いた事のないことへの冒険を信じる人たちだ、ということをすぐに感じた!

そして、はびこっている「子ども」だから、「この程度」のことを、という偏見をみんながすぐに否定し、「子ども達にこそ、私たちの全力を、芸術を、即興を、そのまま」ということで一致したのです。

 

先日の初演はおおきな反響がありました。私たち自身も自信こそあったけれど、どういう音楽が出て来るのか一切わからない。。。まず音楽院の学長秘書さまが真っ赤な顔をして興奮した面持ちで聴いておられ、すごく気に入ってくれた様子だった。やったね!音楽家じゃない人が興奮してくれた、一番嬉しいことじゃないですか!そして翌日、多数の同僚から、「凄かったと聞いた、ぜひ聴いてみたい!」と言われました。エネルギーというのは、凄い。その場を駆け巡っているみたいです。

 

子ども達も45分間、集中力を持続し一生懸命聴いてくれた。ただ、数人の担任などから、「この話は6歳には少し難しすぎる。」なぜかというと、この話に出て来る日本の「死者の世界」の概念などがフランスのそれとはかけ離れており、理解が難しい、のだそうです。

でも、私たちとしては、そんなことには関係なく、やっているのだけれど。。。私が思うに、それは「6歳の子に」難しいのではなく、「あなたにとって」難しいのではないのですか?ということです。だってどうやったら6歳の子に「難しい」ことが分かるのかなあ。その子はその子の頭で、大人とは違った理解をしているかも知れないでしょう?その理解の仕方が、大人のそれと違っていたら「理解」できていない、ことになっちゃうのかな?

 

そのあと小学校での授業に行ったので、たまたまそのことを小学校の仲のいい指導員さんと話していたら、「でもなあ、その話の裏には「感動」がある訳だろ?ミエ、「白」はなあ、「感動(心の動き)」は鍛錬できるものだと思ってないのさ」この場合、この人の言う「白」の意味は「フランス人」を指す。

 

私の見る限り、公立の学校の指導員さんたち(給食や課外授業の世話をする人たち)は、前述の人を含め90パーセント以上が「アラブ、アフリカ系」の人たちである。

そしてなぜか、担任(教諭)は90パーセント以上、「白」のフランス人。

 

 

ずっと前に、「白」と「黒」の子ども達では音楽の捉え方、考え方にとても差があることを書いた。

 



  そこで話はブルガリアに戻るのだけれど、今回私たちが演奏してきたギターフェスで、一番凄かった(全部のコンサートを聴けた訳じゃないのだけど)のは、最後の日のバルカンジャズのグループでした。すごい面白い。。。!!バルカン地方のモードが、彼らの体の中にある音程感、リズム感がジャズのコードのなかに入り込むと、絶妙のフレッシュさ、面白さを産んでいる。





Last day of "Pleven Guitar Festival" in Bulgaria (Balkan Jazz,2 guitars and bass,drums)

それは、現在のフランスのジャズのような「模索」ではなく、もっと必然からきている、もっとダイレクトに彼らの体内から来ている。だからダイレクトにこっちの体内まで響いてくる!

こういうのを聴くと、いかに西洋世界で私たちが体と心を切り離され、根無し草になっているかよく分かる。凄いぞ、バルカン!ここは地理的にヨーロッパ連合に入っているとはいえ、西洋とはちがった価値を持つ第三世界なのである。

ピカソは「私は探さない、私は見つける」と言った。言い得ている。そう、音楽とはエキゾチックなものを探しにいくことじゃない。ここに、私の体内に、やらなければならないことはあるのだ。

 

なんか、パリの話とブルガリアの話、リンクしてきているでしょう?西洋世界と第三世界のバトルになってきている世相。これまでの時代と同じくして、また死者のたくさん出る、不穏な世界。でも私はこの時代に生きられて、とても面白いとおもう。そして私たちが生き残るには第三世界の感覚を学ぶことだ。学ぶ事?どういうことだと思う?てアタに聞いたら「触ってそれをただ感じること、それだけ。本を一冊よんで全部のモードを習ったとかいうのは学んだことにならないよ。」

そしてその旅行中、ずっと読んでいた本が、日本のダンサー、田中泯さんの『僕はずっと裸だった』





"Min Tanaka"'s "I was always naked"(Japanese Contemporary-Dancer) ,my favorite book in the moment

 

こやまいずみちゃん、この本をくれて、本当に本当にありがとう!!すーっとフに落ちて、自分の感じてる事は間違ってないんだ、こういう考え方があっていいのだ、と思える。みなさんもぜひぜひ読んでみてください。

 

日本だって、西洋と価値観を同一にしない第三世界の一つである。

ホーイチの話の無限の広がり。この現実の世界と平行して広がる、死者の世界。

 

PS、もうすぐThe flute12月号に私のインタビューが掲載されます。パリのクラスに在籍していた川上葉月ちゃんのアイデア、尽力で実現しました。はっちゃんどうもありがとう!!一読していただけましたら幸いです!

 

 





 Interview in "The flute",Japanese magaz