よったろーのせーさく日記3

よったろーのせーさく日記からの引き継ぎです。
ちょちょいのよったろーと申します。
改めましてよろしくお願いします。

改めてお休みなさい。

2016-05-04 16:04:01 | 日記
それでは今日はこれで失礼します。

この後は晩ご飯の時間までひたすら、【ファーブラ・フィクタ】ルーメン・テネブライ編第003話の文字入力をしたいと思います。

改めましてお休みなさい。

また、明日。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話29

2016-05-04 16:03:33 | 日記
 自分は上立者のように物事を達観出来ない。
 達観出来ないFは力だけでなく、心の内面においても上立者には遠く及ばないのだ。
 F自身は超えられないが、クアンスティータならば、超えられる。
 自分が出来ない事を子供に託す。
 なんと小さい男だろうか。
 自分ではそう思う。
 そんな自分の脆い心を平静に保つにはクアンスティータ誕生に全精力を傾ける――
 それしか無かった。
 キャリアに対しては圧倒的強者を気取ってはいても、実際には、自分の行動に自信が持てない小さい男。
 何とも笑える話じゃないか。
 キャリアに対して、つまらない見栄を張っているという事になるのだ。
 か弱い少女に対して、自分は強いんですよと言って何が楽しいのだろうか?
 虚しかった。
 何をやっているんだと思った。
 キャリアだけでなく、Fもまた、自分の居場所がなく、もがいていたのだった。
 キャリアを見ている内に、彼女を通して、自分も同じような立場になっているという事を思い知らされていた。
 キャリアはもがき苦しみながら戦っていたが、それはFに対して全く届かなかったという訳では無かったのだ。
 合わせ鏡のように、Fの心にも訴えかけるものがあったのだった。
 Fは後悔する。
 キャリアに偽クアンスティータの事を話してしまったという事をだ。
 あのままとぼけることも出来た。
 だけど、真実を告げなくてはならないような気がしてつい話してしまった。
 キャリアが真実を知らないという事はFもまた、真実を知ることが出来ないと思ったからだ。
 答えが欲しい。
 何が正しいかという答えを。
 自分の行動が正しかったという答えを。
 その答えがわからないから、Fもまた、キャリアと同じように苦しみもだえるのだった。
 キャリアを見ながらFもまた、苦しんでいたのだ。

 続く。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話28

2016-05-04 15:59:57 | 日記
 キャリアだけでなく、先ほどの会話はFとしても彼女と全くかみ合っていなかったと感じていた。
 お互い、主張したい事が全く合っていない印象だった。
 混乱している彼女の顔を見て、自分の行いが正しいのかどうか疑問に思ったのだ。
 それで、無理をして、自分には手の届かない存在と会ってみよう――そう思ったのだ。
 キャリアと同じ立場でものを見て見たかったのだ。
 復讐をして、神や悪魔、人間達を全滅させて、果たしてその後、何が残るのだろう。
 何も残らない。
 虚しさだけが残るのではないか。
 それは何となく解っている。
 それが自分の弱さだという事も。
 解ってはいるが、深と頂魔の企みを見抜けなかった自分の弱さが許せなかった。
 何か行動しなくてはならない。
 その衝動だけには逆らえなかった。
 行動するとしたら、彼には、クアンスティータを最強の形で産み出す――それしか無かったのだ。
 強さとは何だ?
 Fも解っている。
 本当に強い者は自分の力を誇示したりしない。
 誇示するのは中途半端に力を得た弱者のする事だ。
 自分の力に自信がないから、自分が強いんだという事を証明するために、他者を傷つけそれを証とする。
 それが新たな争いを生む。
 心の弱い者はそうやって、更なる強者に挑戦し、敗れ去っていくのだ。
 悪戯に争いを生んでいるFもまた、弱者に過ぎない。
 本当の強者ではない。
 それも解っている。
 解っていても止まらない。
 止められないのだ。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話27

2016-05-04 15:59:31 | 日記
 上立者達がその気になれば、Fですら、簡単に始末できるだろう。
 そうなれば、クアンスティータの誕生が無くなるかも知れない。
 だが、それでも確かめなくてはならなかった。
 彼の敵は神や悪魔にとどまるのか、それともそれ以上の存在にまで及ぶのか。
 それが知りたかったのだ。
 上立者の一名が、
『悩みがあるようだな……自分の行動に自信が持てない。それで迷い、他の存在を巻き込んでいる。何をすべきか、どういう結果を迎えるべきか、それが自分では見えていない……』
 と言った。
 Fの心の中をのぞき込んだのだ。
「ふっ、あんた達に隠し事をしても意味がねぇのは解っている。あぁ、そうだ、確かに俺は迷っている。どれが正解なのか、わからねぇ。このまま、あんた達に殺される結果となってもそれはそれでありだと思っている」
『娘への愛がお前を迷わせているようだな。ならば、一つだけ言おう、お前が娘を思うように、娘もまたお前を思っている。それは確かなことだ』
「そうかい、そいつは、良いこと聞いた。娘にどやされるかも知れねぇかと思ってもいたんだ。レインミリーも俺を見ていてくれているって事か」
『あまり、あの娘(キャリア)を苛めるな。お前の悩みはその娘ではなく、お前の後世が晴らしてくれる』
「芦柄 吟侍(あしがら ぎんじ)か?」
『解っているのなら、立ち去るが良い。ここはお前のような者が来る所ではない』
「そうさせてもらう。あんたと話していると足がガクガクするんでな」
 それだけの会話を済ませた後、Fはその聖域を離れた。
 何故、上立者に会いにいったのか?
 それは、キャリアにとってのFがFにとっての上立者に値するからだった。
 どう逆立ちしても逆らえない存在。
 常に、その存在に怯え、戦いを強要されて来たキャリアの気持ちを少し理解してみようと思ったからだった。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話26

2016-05-04 15:57:24 | 日記
 上立者達は自らの力を誇示したりはしない。
 すれば、宇宙が維持出来ないことが解っているからだ。
 上立者達が動ける場所――それは宇宙の何処にも存在しない。
 宇宙を超えた所にのみ存在する。
 それ故に、神や悪魔ですらも立ち入る事を恐れ多いとされている場所に存在した。
『悲しき存在よ、我らに何か用か?』
 上立者の一名がFに対して声をかける。
 声を聞いただけでも消滅してしまいそうな威圧感をもっている。
 が、それでも上立者達はFを始末しようという考えではない。
 滅ぼすという事の虚しさを知っているのだ。
 むやみに、存在を消し去るような真似はしない。
 Fは冷や汗をかきつつも、
「いや、一度、会ってみたかった。神や悪魔の上に居る存在に。俺の子はあんた達をも超える。それだけを言いたかった」
 と言った。
 強がりではなかった。
 もし本当にクアンスティータが誕生するのであれば、その力は上立者どころか超存をも上回る。
 その確信があった。
 そのために、クアンスティータを究極の状態で産み出そうとしていたのだ。
 自分達をも超えるかも知れない存在を産み出そうとしている男(F)に対して、この超絶者達はどのような対応を取ろうとするのか?
 かつて、深(しんじん)や頂魔(ちょうま)達が彼の娘、レインミリーを騙した様に、この上立者達もまた、自身の保身のために、Fの行動を邪魔しようとするのか――
 それを確かめたかった。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話25

2016-05-04 15:56:59 | 日記
第四章 天の上の存在


 一方、消えたFは別の空間に現れた。
 現れた場所は神ですら恐れ多いと近づかぬ究極の聖域と呼べる場所だった。
 そこにはある存在がいた。
 その存在を表現するのに神や悪魔から順を追って説明せねばならない。
 光の惑星ルーメンに君臨する神御(かみ)も含めた神の軍勢の頂点は真(しんじん)と呼ばれている。
 その真も含めた神という概念そのものを作ったとされている存在を最真(または最深/さいしんじん)と呼ばれている。
 同じように、闇の惑星テネブライに君臨する悪空魔(あくま)も含めた悪魔の軍勢の頂点は超魔(ちょうま)と呼ばれている。
 その超魔も含めた悪魔という概念そのものを作ったとされている存在を極超魔(または極頂魔/ごくちょうま)と呼ばれている。
 その最真と極超魔とあわせて超越存在として数えられる第三の超越存在を総じて、三大超越存在(さんだいちょうえつそんざい)と呼ばれている。
 その三大超越存在の更に上、善悪をも超越した存在が居る。
 その存在は神の上に立つ者という意味で【上立者(しんじょうりっしゃ)】と呼ばれている。
 最真はこの上立者を真似て神という概念を作ったとされている。
 そのため、神にとっても近づくのさえ恐れ多いという存在になる。
 悪魔や第三の超越存在にとっても目上の存在となる。
 正に天の上の存在と言えた。
 この16名の【上立者】よりも上の立場は超存(真超存/しんちょうそん)と呼ばれる存在しかないという正に上の上に存在する者達だった。
 例え、Fと言えども、この究極の存在を前にすると少なからず居竦んでしまう。
 それ程の存在だった。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話24

2016-05-04 15:54:54 | 日記
 それを見てFが更に告げる。
「出産と表現したが、実際には出産する訳ではない。お前はエンジェルハイロゥを維持する事に集中すればいい。母体ではもたんから、仮の母体となる媒体が必要となる。お前の場合それが、エンジェルハイロゥであるという事になる」
「私のエンジェルハイロゥはそんな事のためにある訳じゃない」
「お前の今のレベルではカヂの肉体すら傷つける事は出来ない。それでは、偽クアンスティータは産み出せん。今の状態から化ける必要がある」
「そんな事を言っているんじゃない。私は私の意思で行動する。子供を産みたいと思った時に産むし、産みたくないと思った時は産まない」
「産むという言葉がお前のネックになったようだな。偽クアンスティータは産むというよりは作り出すのに近い。お前は母親ではなく、創作者という事になる」
「違う違う違う、私は……」
 キャリアは狂乱したように首を振る。
 これ以上話してもFとは会話がかみ合わない。
 もう、話を続けたくなかった。
 何もかもリセットしたい。
 そんな気持ちだった。
 少なくともFにはこの場を消えてもらいたい――そう思っていた。
 その願いが通じたのか、Fは、
「急用が出来た。お前との話はまた後だ」
 と言って、姿を消したのだった。
 Fが去った後は、どっと疲れがでて、そのまま眠り込むのだった。
 キャトラとフォールもキャリアの近くに居ながらFを前にして何も出来なかった。
 圧倒的な力の前にただ、黙って見ている事しか出来なかった。
 そんな二人がキャリアに対してどんな言葉をかけられようか?
 何も言えなかった。
 キャリア達に暗い影が現れた。
 キャリアはそのまま死んだように眠った。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話23

2016-05-04 15:54:30 | 日記
 すると、
「お前のエンジェルハイロゥ……そこには、偽クアンスティータを産み出す元が入っている。いっぺんに力を解放させてもお前の身体は耐えられない――だからこそ、お前は数々の死闘を通して、無理にでも出産に耐えうる身体を手に入れて貰わねばならん」
 という答えが返ってきた。
 キャリアの前世、それは、現在存在している偽クアンスティータを産み出した母体だったという。
 偽クアンスティータを産み出す要素を持って生まれたキャリアはFが見いだし、そのまま地球圏からファーブラ・フィクタ星系まで来るように導いていたという事も話し出した。
「ふざけないで。私は子供を産む道具じゃない」
 キャリアは反論する。
「前世でのお前では、どう頑張っても10種類の偽クアンスティータまでしか産み落とせなかった。今世でも、最低でも10種類は産んで貰うぞ」
 とFは告げる。
 冗談ではなかった。
 今まで必死で生き抜いてきたのは自分らしく生きたいと思っていたからであって、偽クアンスティータを産むためではない。
 神からも悪魔からも疎まれてきて今度は化獣の代わりを産み落とす道具として扱われる。
 そんなのは嫌だ。
 私は私らしくありたい。
 キャリアはそう決意した。
 だが、どう逆立ちしてもこのF(十中八九、この男は怪物ファーブラ・フィクタであろう)には勝てない。
 無理矢理、産まされるくらいなら戦って殺される方がマシだと思うがFに対する底知れぬ恐怖から前に出ることが出来ない。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話22

2016-05-04 15:52:33 | 日記
 だから、偽クアンスティータの母親はどうしたのだろう?という疑問にたどり着いた。
 【偽クアンスティータの母親】――まさかとは思うが、自分は偽クアンスティータの母親に選ばれたのではという一見、あり得ない様な考えが浮かぶ。
 そして、Fとは怪物ファーブラ・フィクタの事ではないだろうか?
 怪物ファーブラ・フィクタと言えば、魔女ニナの夫で、クアンスティータの父であると言われている存在だ。
 クアンスティータの名前が広まる前の実力者として有名である。
 本物のクアンスティータの父であれば、本物の真似をする偽者に対しては冷めた目で見るのも納得がいくし、それでも、我が子の名誉を守る役目を果たすのであれば、苦々しく思いつつも、偽クアンスティータという存在を認めるという事にも納得がいく。
 本物ではない以上、父親は怪物ファーブラ・フィクタである必要はない。
 要はクアンスティータをイメージ出来る存在であればいいのだから。
 偽クアンスティータを産む母親の相手は誰でも良いのだ。
 何をバカな事を――
 そうは思っても、この考えが消えなかった。
 何の根拠もない話であるはずのこの考えが頭から離れない。
 そのあり得ない考えが確信に変わる時――
 それはFが結界内に現れた事によるものだった。
「気づいちまったか……何の根拠もなきゃ、結論には達しないと思ったが、母親の勘ってやつか、理屈は全く通ってないのに、僅かな繋がりをくっつけて、その結論から離れられなくなったってとこか……」
 と言ってきた。
「な、何をしたの、私に」
 キャリアはFに質問する。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話21

2016-05-04 15:52:07 | 日記
 だが、Fの口から聞かされた真実は違っていた。
 圧倒的過ぎるクアンスティータという存在のカリスマ性に惹かれて勝手に組織された集団であるというのが今の認識だ。
 クアンスティータという途轍もなくでかいブランドがもの凄い数のファンを取り込んだ。
 そして、クアンスティータに害する者を処分するために動いている。
 それが、クアンスティータ・ファンクラブだ。
 圧倒的過ぎる名前に群がり、好き勝手やっている連中。
 出来れば関わりたくない集団だ。
 だが、キャリアの【ママ】というイメージとそのクアンスティータ、いや、偽クアンスティータのイメージが重なった。
 本物のクアンスティータとは神話の時代、ニナという名前の魔女が産もうとしたが、産めずに終わったとされている化獣だ。
 なので、クアンスティータを産み落とす母親はニナという名前の女性であるという事になっている。
 対して、偽クアンスティータはどうだろうか?
 【偽者】であるのだから、本物と違い、母親は魔女ニナではない。
 クアンスティータの関係者から正式に偽者と認定されたクアンスティータであり、この偽クアンスティータ達には別に母親に当たる存在が居るはずだ。
 史実によると偽クアンスティータはある時代に突然現れ、勢力を急激に伸ばしていったとされている。
 どのような経緯で生まれたかというのは解っていない。
 解ってはいないが、偽クアンスティータ達にも母親となる存在が居たのではないか?と推測出来る。
 ファーブラ・フィクタ星系で育ったものであれば、母親から生まれていない存在も中にはあるというのが普通の常識としてあるのだが、地球育ちのキャリアにとっては母親とは必ず居るという考えがあった。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話20

2016-05-04 15:49:56 | 日記
 下っ端であるキャトラやフォールにはクアンスティータに対する事は詳しく説明されていない。
 神話の中でのフィクション。
 そう、とらえてきた。
 居るはずのない存在。
 そうは思うが、神や悪魔の上層部の異常で神経質なまでのこだわりは本当に居るのではないかと思えてしまう。
 ママとはこのクアンスティータが母親を求めているという事なのか?
 考えただけでもゾッとする。
 クアンスティータが実在するのであれば、その脅威はこれまでの神や悪魔の軍勢達の比ではない。
 絶望的なまでの圧倒的な力の化獣。
 クアンスティータとはそういう存在だと言われている。
 噂では、偽クアンスティータという存在が居て、クアンスティータに害なすものを始末にやってくるとも言われている。
 だからこそ、滅多な事では、クアンスティータの名前は出せないのだ。
 本物はいるかどうかは解らないが、偽者を名乗るクアンスティータは実在する。
 それが、常識となっていた。
 クアンスティータに対する恐怖心はこの偽クアンスティータ達が築いていると言っても過言ではなかった。
 噂では偽クアンスティータとは10種類存在すると言われている。
 その偽クアンスティータ達はキャリアの故郷である、地球上でも存在する生物の要素を取り込んでいると言われている。
 キャリアはファーブラ・フィクタ星系にたどり着くまでの間に偽クアンスティータ達が先頭になって組織しているクアンスティータ・ファンクラブという集団が居るというのを聞いて震え上がっていた時の事を思い出した。
 当時はクアンスティータというのは化獣の名前ではなく、組織の名前だと思っていた。
 とんでもない数の構成員が居る超巨大組織――
 そう、認識していた。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話19

2016-05-04 15:49:34 | 日記
 フォールは仲間だが、彼との間に恋愛感情はない。
 先の事は解らないとは言え、彼との間に子供を作るというイメージは湧かなかった。
 【元のママ】という意味ではどうだろう?
 これも全く意味が解らない。
 悩んでいると、フォールが
「一人で悩んでいてもしかたあるまい。何かあるなら俺にも話してみろ」
 と言ってきてくれた。
「あちしにもお願いニャン」
 とキャトラも言ってきてくれた。
 仲間とはありがたいなと改めて思うキャリアだった。
 彼女は二人に感謝しつつ、頭に強烈にイメージされた【ママ】という言葉について話した。
 三人は改めて考える。
 フォールが何かを思いつく。
「お前につきまとっているFという男、それは関係ないのか?」
「関係ないと思うわ。私の事をまるでゴミでも見るかのように見ている男だもの。私との間に子供をもうけるなんて思わないと思うわ。無理矢理手籠めにでもされない限り、私の方からアプローチをするなんて考えられないし」
「あの男は執着しているんだろ、あの化獣(ばけもの)の事を……それとは関係ないのか?」
 あの化獣とは【クアンスティータ】の事を指す。
 さすがのフォールも恐ろしくて、なかなか素直に【クアンスティータ】の名前が出せなかった。
「怖いこと言うニャン。本当に居るのかニャン?」
 キャトラも怯えている。
 神や悪魔の上層部は明らかにクアンスティータに対して警戒している。
 警戒しているという事は存在するという事でもあるのではないか?

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話18

2016-05-04 15:47:32 | 日記
 そして、2級の刺客のサポートをするために3、4、5級の刺客達も現れた。
 2級の刺客の指示の元、3級から5級までの刺客が攻撃に加わる。
 これは、キャリア達もたまらなかった。
 思わず結界を張ってしまった。
「まずいわね」
 キャリアはつい愚痴をこぼしてしまった。
 このままでは体力が尽きた時、殺されてしまう。
 タダでさえ、ルーメンとテネブライでの連続的な刺客との戦いをしているキャリアだが、連携のとれた状態で向かって来られては対策が取りにくい。
 今までは数は居ても、連携がとれていない部分をついて、その隙を利用して勝ってきたのだ。
 連携をとられて、不足部分を補いあわれては、つけいる隙も少なくなり、勝ちにくくなる。
 圧倒的なパワーを得られていない状態の今では、活路が見いだせない。
 圧倒的なパワーを得るにはどうしたらいいか?
 それを考えても妙案は全く思いつかなかった。
 だが――
(ママ……)
 という言葉が突然脳裏に焼き付いた。
「何?なんなの?」
 突然のイメージにキャリアは何が何だか解らない。
 ママとはどういう事なのだろう?
 単純に思うイメージは【おかあさん】という意味での【ママ】がある。
 【元のママ】の【ママ】という事も考えられる。
 【おかあさん】の意味での【ママ】という言葉に心当たりはない。
 特定の男性とそういう事になる行為をした覚えがないからだ。
 では将来において、フォールあたりとの間に子供を作るという事か?
 いや、違う。
 それはないだろう。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話17

2016-05-04 15:47:07 | 日記
 大分、連携技術もアップしてきたとは言え、キャリアとフォールはまだ出会ってそれ程経っていない。
 さらに、フォールは基本的に個人で戦うのを得意とするソロファイターでもある。
 連係攻撃というのを得意とはしていない。
 そのため、勝てそうなのになかなか勝てないという状況に陥り、テネブライでの戦闘は時間制限があるという焦りも手伝って、決着がつかないまま、また、ルーメンに戻ってしまった。
 ルーメンでもやはり、キャトラとの連携で奮闘するのだが、それでもリリングとロロードの連携には決定打とならなかった。
 そして、また、テネブライに戻される。
 今までは、ルーメンとテネブライの移動を有利に利用してきたが、今は逆に、リリングとロロード、ブラドットとボーンボに戦いの時間制限を逆利用されてしまっていた。
 何とか、攻略法が思いついても時間切れでルーメン、もしくはテネブライに送られてしまう。
 そこで、別の敵との戦闘中、戦っていない方の敵はキャリア達への対抗策を練って来て、次のバトルに活かされてしまっていた。
 さすがに2級ともなると、簡単には攻略できなかった。
 脅威には感じないのに勝つための決定打が打てない。
 それは、2級の刺客の戦い方が上手いという事もある。
 2級の敵との戦いが滞っているのがしばらく続くと、ルーメン側では更なる2級天上使ゾゾーンが加わる。
 テネブライ側でも更なる2級使愚魔ダミーダが加わった。
 ゾゾーンの力は特定の領域に入ると自動的に何らかの効果があるという罠の領域を作り出す事が出来る。
 ダミーダの力はダミーの身体を作り出す能力に長けている。
 あらゆる物を作り替えて見た目がダミーダに見える偽者を作り出せるのだ。
 簡単な動きであればその偽者を動かす事も出来る。
 動く偽者に惑わされる事にもなる。
 ダミーダはブラドットとボーンボの偽者も作り出せるから攻撃バリエーションがさらに増える事になる。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話16

2016-05-04 15:45:08 | 日記
 新たな2級天上使の名前はロロード。
 ワープを得意とする天上使で、別空間への移動を繰り返しながらの攻撃となる。
 別空間にあるものも持ってこれるので、ロロードに対して身構えていても突然現れるものがなんなのか解らないと対処をしようがない。
 あれこれ手をこまねいている内にルーメンからテネブライの時間になってしまった。
 カヂの時から、決着がつきにくくなっている。
 悪しき連鎖が続いている。
 ここらでルーメンにいるときはルーメンの、テネブライにいるときはテネブライの敵を一回で決着をつけていく流れに戻したいところだ。
 だが、テネブライでも2級の刺客がキャリアとフォールに立ち塞がる。
 2級使愚魔ブラドットと同じく2級使愚魔ボーンボが立ち塞がる。
 ブラドットは血液の能力を持つ使愚魔だ。
 その血液は猛毒で出来ていて、その血液に触れたら触れた所から身体が腐っていってしまうという。
 腐敗血液と呼ばれる血液で、下手に傷つけると返り血を浴びたとたんに致命的になってしまう。
 ボーンボは体中の骨が特殊な金属で出来ている使愚魔だ。
 骨が異様に硬いので、まともにぶつかってもダメージを負うのはキャリア達の方となる。
 ある意味カヂに近い身体の持ち主となる。
 だが、カヂは身体全体が異常に硬かったが、このボーンボは骨が硬いだけだ。
 上手く、肉を切らせれば、ダメージを与える事は出来る筈だった。
 だが、ブラドットとボーンボも連携で来られると非情に厄介であると言えた。
 能力的には大した事ない2体の使愚魔達だが、2級たらしめるのはその基本的な体力、戦闘力であると言えた。
 キャリアとフォールも連携で対処するが、ブラドットとボーンボには長年連れ添ったと思われる様な連携攻撃はキャリア達の連携を上回っていた。