よったろーのせーさく日記3

よったろーのせーさく日記からの引き継ぎです。
ちょちょいのよったろーと申します。
改めましてよろしくお願いします。

ファーブラ・フィクタ ルーメン・テネブライ編2話29

2016-05-04 16:03:33 | 日記
 自分は上立者のように物事を達観出来ない。
 達観出来ないFは力だけでなく、心の内面においても上立者には遠く及ばないのだ。
 F自身は超えられないが、クアンスティータならば、超えられる。
 自分が出来ない事を子供に託す。
 なんと小さい男だろうか。
 自分ではそう思う。
 そんな自分の脆い心を平静に保つにはクアンスティータ誕生に全精力を傾ける――
 それしか無かった。
 キャリアに対しては圧倒的強者を気取ってはいても、実際には、自分の行動に自信が持てない小さい男。
 何とも笑える話じゃないか。
 キャリアに対して、つまらない見栄を張っているという事になるのだ。
 か弱い少女に対して、自分は強いんですよと言って何が楽しいのだろうか?
 虚しかった。
 何をやっているんだと思った。
 キャリアだけでなく、Fもまた、自分の居場所がなく、もがいていたのだった。
 キャリアを見ている内に、彼女を通して、自分も同じような立場になっているという事を思い知らされていた。
 キャリアはもがき苦しみながら戦っていたが、それはFに対して全く届かなかったという訳では無かったのだ。
 合わせ鏡のように、Fの心にも訴えかけるものがあったのだった。
 Fは後悔する。
 キャリアに偽クアンスティータの事を話してしまったという事をだ。
 あのままとぼけることも出来た。
 だけど、真実を告げなくてはならないような気がしてつい話してしまった。
 キャリアが真実を知らないという事はFもまた、真実を知ることが出来ないと思ったからだ。
 答えが欲しい。
 何が正しいかという答えを。
 自分の行動が正しかったという答えを。
 その答えがわからないから、Fもまた、キャリアと同じように苦しみもだえるのだった。
 キャリアを見ながらFもまた、苦しんでいたのだ。

 続く。

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