つぶやき・ツッコミ・つれづれ語り

言わないけど内心でツッコミ入れている、日常語り。

弓の話。

2015年11月10日 | 日常のこと
もうずいぶん前のことなのですが
バイオリンの弓の毛を張り替えました。

楽器屋さんの弦楽器フェアに
職人さんが来て
その場で張り替えてくれるんだそうです。

一人40分で予約制。

私は一番最後の時間を予約したのですが
途中で渋滞に巻き込まれて10分ほど遅刻。

平謝りで弓を預けました。

まず、弓の毛をハサミでバッサリ。

木の部品で詰め込んであったのを
ノミでほじくりだしていきました。

弓って華奢なのに、最初の課程は荒技でした。

職人さんの背中越しに
認定証が貼ってあったので
この人、Kさんっていうのだなと思いました。

40分という時間は
けっこう、いっぱいいっぱいなんだそうです。

今は安い中国製が多くて
弓そのものを加工しないといけないものも多いとか。

Kさん「今日も3本もあった」

私「私は何製とか気にしないで使っていました」

Kさん「ん、そういえばスタンプがないね」

私「スタンプがあるものなんですか」
Kさん「だいたい、あるね」

ちょっとガッカリ。

Kさん「でも、ていねいに作ってあるよ」

この弓は
ちょうどこの会場で
同じように弦楽器フェアを開催した時に出会った物でした。

軽くてしなやか。

まさに一目惚れ。

でも、値段がすごく高くて
その時は買うのをあきらめたのだけど、
忘れられなくて。

弦楽器フェアが終わった後に
同じ楽器屋さんを訪れて
なにげなく店員さんに弓の話をしたところ・・・

店員「ありますよ、その弓」

弦楽器フェアで
期間限定で持ち込まれた物だけど

この値段で、これだけの弓はそうそう無い。

弦楽器の輸入を専門に扱っている業者が
フェアを仕切っていたと思うのですが

その業者さんに勧められて
楽器屋さんがその弓を買い取ったんだそうです。

「有るなら、欲しいです」

私にとっては
運命的な巡り合わせで出会った弓だけど
まさか出生不明とは思わなかったわ。

Kさんは、ふうん、と。

こういう系の話は
別に珍しくないのかもしれないです。

Kさんは何度も何度も櫛をかけて毛を整えました。

小さな木の部品を
弓にちょうど合うサイズに新しく作りました。

この弓に合わせた
この子のためだけの小さな部品が並んでいきました。

部品を作ったり
毛を揃えたりするのに時間を掛けましたが

全部揃ってから組み立ててしまうと
あっという間で

Kさん「はい、終わりました」

私「えっ」

ちょうど40分でした。

職人さんってすごい!

格好良い!

素晴らしすぎて
何度もお礼を言って帰ってきました。

Kさんも、またどうぞ、と。

目の前で張り替えてもらうと違いますねぇ。

丁寧に張り替えてもらったので
弓を大事にしないとね、と思いました。

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