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転法輪寺の追儺式 観覧記 on 2023-1-7

2023年01月10日 06時10分02秒 | 神戸情報
2023年1月7日の14時から行われた転法輪寺の追儺式を観てきましたので写真紹介します。
転法輪寺の追儺式には2008年、2013年に続き3回目の観覧でした。

まずは転法輪寺の基本情報からです。

転法輪寺の基本情報
住所:神戸市垂水区名谷町2089  TEL:078-791-7885
宗派:高野山真言宗 山号:龍華山(竜華山)
本尊:阿弥陀如来坐像(明治34年8月2日 国の重要文化財に指定)
神戸十三仏の第1番(不動明王)
 ご真言のうまくさんまんだ ばざらだん
      せんだ まかろしゃだ そわたや
      うんたらた かんまん
由緒:
大同元年(806)の創建で神戸市垂水区では最古の寺です。
大同寺とも呼ばれた時代がありました。
平城天皇が即位の後、御病気になり、806年(大同元年)に在原行平が
平癒を祈願して建てた勅願寺であると伝えられています。
平安時代の、貞応二年(1223)まで神戸市垂水区のジェ-ムス山に
あり千坊ケ谷廃寺として大規模な寺院で古代寺の瓦も出土されています。
所在地のGoo地図を添付しておきます。 

上の写真は転法輪寺の境内への入り口の門です。
門には皇室と徳川家の御紋 が刻まれています。
皇室とは平城天皇(在位806-809年)の勅願寺であることまた徳川幕府とは下記のように
良好な関係にあったことから紋章の掲示が可能になったと推察します。

歴代の明石藩主は有事に備え要衝の地にある寺院八寺を定め
 禄米(お布施の意)を与え保護しました。
明石八寺(明石八山寺)のリストは以下のとおりです。
 天台宗(太山寺、如意寺、多聞寺、日輪寺)
 真言宗(転法輪寺、明王寺、近江寺、性海寺)
これらの寺では追儺式が行われていましたが如意寺と日輪寺では廃絶してしまいました。
また朱印高についても列挙しておきます。

1.太山寺 35石 三身山

2.如意寺 43石 比金山

3.多聞寺 27石 吉祥山

4.日輪寺 28石 普光山

5.転法輪寺 26石 龍華山

6.明王寺 13石 龍華山

7.近江寺 24石 近江山

8.性海寺 31石 高知山

転法輪寺では、毎年1月7日に追儺式・鬼追いが行われます。
追儺式では本堂に住職や地域の人々が座り般若心経に合わせて牛王杖を床に叩く「小突(こつき)」
が行われます。
鬼追いは4匹の子鬼と太郎鬼、次郎鬼、ババ鬼の3匹の親鬼による鬼踊りが行われます。
上の写真は本堂と門松を一緒に撮りました。

追儺式
2023年1月7日の追儺式の様子を主にYoutube動画を中心に記載していきます。
神戸市垂水区 転法輪寺の追儺式 on 2023-1-7 その1 修正会  
年頭にあたり地元(旧中山村)の安寧を願い修正会の仏事が14時から行われます。
本堂に住職や地域の人々が座り般若心経に合わせて牛王杖を床に叩く「小突(こつき)」
が行われます。
牛王杖は杉の木で作られ長さ約1.8m、真ん中に半紙を巻き紅白の神紐で結ばれています。
追儺式=修正会について記しておきます。
東大寺二月堂のお水とりでは修正会の呼び名ではなく、修二会と呼ばれ有名な行事
として知られています。
修正会(しゅしょうえ)の付帯行事として鬼追いが行われます。
追儺式での鬼は悪鬼ではなく、災いを取り除き、大地を清め踏み固める鬼で
悪鬼を祓い疫病を封じ、五穀豊穣、家内安全を願うものである。
追儺(ついな)とは、大晦日(12月30日 (旧暦))の宮中の年中行事であり、
平安時代の初期頃から行われている鬼払いの儀式。「鬼やらい」(鬼遣らい、
鬼儺などとも表記)、「儺(な)やらい」、鬼追い(鬼追会)、鬼踊りとも呼ばれる。
追儺はもとは中国の行事であり、宮廷の年中行事となり、現在の節分の元と
なった行事である。
したがって、節分の豆まきと同じような儀式があります。
子供の鬼が登場したあと3匹の親鬼が松明(たいまつ)と斧・槌・鉾をそれぞれ
持って踊り、それらを拝観者の頭にあてて厄払いして、最後に餅を撒きます。
上の写真は当日の本堂の内部。内陣様々な供え物があります。
左手には前述した牛王杖も見れます。

花(ハナ)の授与
神戸市垂水区 転法輪寺の追儺式 on 2023-1-7 その2 花の授与
太郎鬼1匹で「走り」と呼ばれる鬼踊りを行った後、「ハナ」椎の木の枝に赤、緑、黄橙など
色とりどりの造花を紙紐で結んだものを参拝者に投げます。
参拝者は枝を切り取って持ち帰り、家でお守りとして祀ります。
太郎鬼(下の写真)は「八幡さん」とも言われます。赤い褌(ふんどし)をして右手に斧
左手に松明を持って踊ります。


 
小鬼の踊り
神戸市垂水区 転法輪寺の追儺式 on 2023-1-7 その3 小鬼の踊り
本堂の外陣の東西の端でお互いに南北方向で向かい合い対面します。
法螺貝に合わせて樫の棒で床を3回突き、太鼓に合わせて向かい合う子鬼同士場所を交代する。
床を3回突く時は、まず突くと同時にその場で跳び上がる。
次に棒の上下をひっくり返して2回目を突き跳び上がる。
再び棒の上下をひっくり返して3回目を突き跳び上がる。
以降上記動作を繰り返します。

親鬼の踊り
神戸市垂水区 転法輪寺の追儺式 on 2023-1-7 その4 親鬼の踊り(1)  

神戸市垂水区 転法輪寺の追儺式 on 2023-1-7 その5 親鬼の踊り(2)  

神戸市垂水区 転法輪寺の追儺式 on 2023-1-7 その6 親鬼の踊り(3)  

神戸市垂水区 転法輪寺の追儺式 on 2023-1-7 その7 親鬼の踊り(4)

花(ハナ)の授与の項で太郎鬼について書きましたのでここでは次郎鬼とババ鬼について
書いていきます。
次郎鬼(下の写真)は「春日さん」ともいう。褌(ふんどし)は黄色。
右手に槌、左手に松明を持って踊ります。鬼面には角があります。


ババ鬼(下の写真)は「天照皇大神」ともいう。衣装のベースは青色。
褌(ふんどし)も青色。
左手に木製の槍、右手に松明を持って踊ります。



親鬼の踊りの後半には「鬼追い」のハイライト「餅割」があります。
3匹の親鬼が並び真ん中の親鬼が交代で「餅割」の所作をおこないます。
実際には持っている斧、槌、槍で2段に積まれた鏡餅とみかんを落とします。

上の2枚の写真は3匹の親鬼の揃い踏み

親鬼による御加護
神戸市垂水区 転法輪寺の追儺式 on 2023-1-7 その8 親鬼による御加護
鬼追いの途中、回廊では太郎鬼は斧、次郎鬼は槌、ババ鬼は槍で参拝者の頭をなでます。
これを受けた参拝者はこの1年無事に過ごせると言われる。

餅撒き
神戸市垂水区 転法輪寺の追儺式 on 2023-1-7 その9 餅まき
以前に行ったときは「餅まき」が行われていましたが、当日は袋詰めされたものを
1人1つづつ手渡しで貰う形式でした。
「餅まき」は怪我をするリスクがあり、大変良い形式だと思いました。


転法輪寺の見どころ 
これからは転法輪寺のみどころを紹介します。
転法輪寺の蓮 
上の写真は開花したハスの花びらです。  撮影:2011-7-17
 
 
  
 


上の2枚の写真は蓮が全くない弁天堂と弁天像 撮影:2023-1-7
 
7月の中旬には蓮祭が行われます。詳細は下記サイトをご覧ください。

転法輪寺の蓮について過去に書いたブログ
 

  

転法輪寺のキリシタン灯籠


過去に住んでいた山口県岩国付近のキリシタン灯篭1

過去に住んでいた山口県岩国付近のキリシタン灯篭2
上記で紹介(吉川邸内のキリシタン灯篭)のものと転法輪寺のものは非常に形式が
近いものだと思われます。

燈籠の類型としては織部灯篭である。

織部灯篭の解説
出典:http://www.web-uekiya.com/nouen/touro/oribe/t-oribe.htm
竿の円部に、アルファベットを組み合わせた記号を陰刻し、その下部に立像を浮彫にしている。
これを地蔵信仰に似せた隠切支丹の尊像と見て、マリア灯籠とか切支丹灯籠とも言われた。
実際に、十字架的な要素を強調し、竿に十文字に閂を入れたものもある。
一般的には、桃山時代の茶人、古田織部が創案したものとして、織部灯籠とよばれている。 


七重の塔
観音堂への登り口に石造の七重の塔があります。(下の2枚の写真)

この七重の塔については未調査ではっきりしたことが言えませんが勝手な想像をしてみました。
播磨名所巡覧図絵巻之二(下の写真)に堂宇の中に七重の塔らしきものが描かれています。
また中山村の登り口には仁王門がかって存在していたことが伺い知れます。
よって、この石造の七重の塔はかって堂宇にあったものと推測しています。

木造阿弥陀如来坐像(重文)
普段は宝庫に収納されていますが1月7日の追儺式の時は開扉されます。

上の写真は明治34年(1901)8月2日 重要文化財に指定の木造阿弥陀如来坐像です。
像高さ:137cm 制作年代:平安時代
改めて拝顔するとふくよかで柔和な顔だちであり何か語りかけてくるような表情が
読み取れます。

参照資料
1)神戸市文化財調査報告書24 神戸の民俗芸能 垂水編 
      神戸市教育委員会 (1979) Page55-69







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