ちあの散歩道

輝いてアラカンヌ☆ありがとうの言葉を添えて暮らしのドアをそっと開けると今日も豊かな感動と新しい気づきが待っています。

「サルガド『アフリカ』の写真展

2009年12月07日 | 映画・芝居・芸術など



「東京都写真美術館」で開かれている「サルガド」の写真展を観ました。
モノクロで展示された静謐で迫力ある写真の数々のどれもが美しく息をのみました。





写真集(図録)を買いました。

100点近く展示されているどの写真も一度見たら忘れられないほどの衝撃で迫ってきました。
1970年代~2006年までの「アフリカ」が映し撮られています。
乾いた大地、砂漠、戦争、貧困、餓え、病気など多くの問題の中を生きる市井の人々の研ぎ澄まされた美しさや自然の風景は、まるでそこに神が宿っているようにさえ思えます。

危機の原因は様々でも、生活の危機、生命の危機、そんな環境の中で極限に追い詰められたときに人はどうしてこうも力強く美しいのだろうかと思ったのがサルガドの写真を観ての私の率直な印象です。
貧困や飢餓などの中でも人々は子を産み育てます。母親が子に乳を含ませる真っ直ぐな愛にあふれた場面などが子の無垢な純真さとともに切り取られているものもたくさんあり、写真を観ながらどんな逆境に置かれても、人の尽きない命の根源を示され、語りかけられているような思いにとらわれました。

安穏とした気候風土に恵まれている平和で豊かな日本を重ねた時、この写真の中の人々の、まるで一切の不平や不満を封印して生きているような顔つきや表情に、はるかに希望や救いが見えたようにも思います。
静かで、余計なものを一切排除するばかりか必要なものにも大きく事欠く命がけとも言える現状をそのまま受け入れ、凛とした目を持った人々の佇まいの神々しさにくぎ付けになりました。