無知の涙

おじさんの独り言

エヴァンゲリオン クロニクル新訂版

2010年01月19日 | エヴァ系

エヴァンゲリオン・クロニクルが発売されるみたいです。

あれ?前に売ってなかったけ?
と疑問に思ったら、過去に売られたものを、
新訂版として再販するみたいです。


初版を売っていた頃はブームも下火になってた頃で、
そんなに売れなかったのではないか、と。
僕も買ってないし。

それが近年のパチンコ、新劇場版で前回のブームを上回る
人気を獲得したところで、もう1回売りましょうよ!と。

いま売れば絶対にもっと売れます!
そんなやりとりが目に見えるよう。

いや、もう新約エヴァと言っても過言ではない新劇場版があるのに、
旧エヴァの文献を出されても・・・・。
謎だった部分なんかも公式に明かされているようですが、
頭がこんがらがるだけです。

ちなみ第1号の発売は本日。
ほぼ週間ペースで発売していき、31号まで。
そして31号からは新劇場版のクロニクルになるとか。

 

ガイナックスお得意の再販・再編集商法というか、
エヴァでいくら稼ぐつもりなんだ。

さて、書店に行くか。


ハイスクール落ガキ「フトシ覚醒」

2010年01月18日 | 思い出

「ツラ貸せよ」とフトシ君にスゴまれ、フトシ君のあとに着いてゆく。

まぁ2~3発は殴られんだろう、とは覚悟はしていた。


あまり人の多いとこで公開処刑はヤメてもらいたいが、
とにかくツベコベ言う資格は僕には無い。


いくつかの広場を通り過ぎ、駅が見えてくる。
駅の便所は汚いからヤメて欲しいなぁ。
そう思いつつ改札を入り、ホームに立つ。

やがて電車が来る。
電車に乗る。
電車に揺られる2人。


ツラ貸せよ→ちょっとそこまで
という感覚だとそれまで僕は思っていた。

行動範囲は概ね20メートルくらい。
教室→トイレ
教室→屋上
教室→校舎裏 と言った感じ。


ツラ貸せと言われてから電車に乗って移動するとは思わなんだ。
そしてようやく4つ目の駅で降りる。


嫌な予感がする。
まさか地元の仲間集めんじゃないだろうな…。
暴飲暴食の連中に、暴飲暴食されるのではあるまいな・・・。

いやいやフトシ君に殴られんのは仕方ないけど、
etcの連中に殴られんのは理不尽だ。

逃げるにしても、くねくね曲がりながら、けっこう歩いて来てしまった。
見知らぬ土地でこの極・方向音痴が逃げ延びることは無理だ。
運よく駅に着いたとしても、30分に1本しかない電車なんかノンビリ待っていたら、
完全にアウトだろ。


そんな風に悶々と考え事をしていると、
フトシ君の歩みが止まった。

ハッとして見てみると、一軒家の前であった。
名札にはフトシ君の苗字が書いてあった。


家の扉を開けて中に入るフトシ君。
「おう、入れよ」

ええっ・・なぜ家に・・・。
やはりヤバイんじゃないだろうか。

まぁここまで来たんだ。
ジタバタしても仕方ない。
僕は言われるままに家に入った。

 

「2階の突き当たりの部屋が俺の部屋だから入っててくれよ」
フトシくんはそう言うと1階の奥の部屋に姿を消した。

僕は2階に上がり、奥の部屋の扉を開けた。
タバコの匂いが染み付いた部屋。
窓にはフトシ君が吸ってると思われるマルボロの空箱が芸術的に並んでいた。

床にはマンガと雑誌が散らかっていた。
テレビの脇が押入れになっていて、そこに真っ黒な特攻服が掛けれていて、
金色の刺繍で「暴飲暴食」と縫ってあった。

本当に暴飲暴食って名前なのか。
当て字にするのは良く見かけるけど。
てっきり暴音暴蝕とかそんなアレかと思ってたら、
そのまま暴飲暴食なのか。

正月のオッサンか。

フツフツと笑いがこみ上げて来たところで、
扉がガチャッと開いた。

ハッ!!

「かっこいいだろ、その特攻服」
と得意げにフトシ君は言った。

「うん」と僕は言った。特攻服は。

フトシ君は手にお盆を持っていて、
そこにはジュースとお菓子が載っていた。

「ろくなもんないけど」とフトシ君は言ってお盆を床に置いた。

「いやいや、おかまいなく・・・」と僕。

「まぁ、座ってくれよ」とフトシ君。

僕は座ってから改めて詫びを入れた。
「ほんと申し訳なかった。言い訳する気はないけど、そんなつもりなかったんだ」

「そのことなんだけどよ」とフトシ君は言った。
「その話は忘れてくれよ」

え?

「俺がお前に負けたみたいに思われるからよ。いや、あそこ砂利道だったろ?あんとき投げられたトコに大きいゴツゴツの石があって、その角にぶつけたみたいでよ。それであれだけダメージ負ったんだよ。みっともないったらねぇよ、ほんと。だからあんまり触れないでくれよ。」

「あぁそっか。よかった」
心底ホッとした。

「停学になっちまったみたいで、悪かったな。俺も恥ずかしいから、すぐにあの生活指導に大丈夫だって言ったんだよ。でもダメだったみたいだな。あいつお前のこと目つけてるぜ、気をつけろよ」

「あ、ああ。ありがとう」と僕は言った。実はイイ奴なんだな、フトシ君。

「じゃあ、俺帰るから」と言って立とうとした瞬間、
フトシ君が言った。

「なぁ、お前うちのチームに入らねぇ?」

はい?
チームとおっしゃいますと?

「え?暴走族に?」と僕。

「そう」とフトシ君。


無理無理無理無理。
ただでさえ暴走族嫌いなのに、
暴飲暴食なんて恥ずかしい、いや個性的な名前のチームなんて無理。

「い、いや、俺は暴走族なんて向かないからさ。根っからのマジメでビビリだし、そんな暴走族なんて向いてないったら向いてない」

「本当にマジメな奴は自分で根っからのマジメなんて言わねぇ」とフトシ君。

あ、あら、するどい。

「まぁ飲めよ」と言ってコップにサイダー注ぐフトシ君。
そして散らかってる雑誌を僕に見せた。

「ほら、これ!俺らのチームが雑誌に載ったんだぜ、スゲーだろ」

チャンプロードというバイクの雑誌の一番後ろに様々な暴走族の投稿写真が掲載されていて、その中の1枚に暴飲暴食が写っていた。

7人のコワモテの男たちが腕を組んでこっちを睨んでいる。
投稿者の部分を見てみると、(○○県・暴飲暴食フトシさん)

ふざけたペンネームみたいになってる。
プフーッと噴き出しそうになったが、死の予感を感じたので耐えた。

「す、すごいね!」と笑いを誤魔化す為に言ってみた。


「そうだろ!なかなか載らないんだぜ、これ」とフトシ君。


たぶん名前が面白かったからだと思う。


「そこに写ってる7人が3年の先輩たちで、その写真を撮ってる俺を含めて8人しかいないんだ。卒業したら先輩たちも族やめるみたいでよ。俺1人しかいなくなっちまうんだ。だからお前に入って欲しいんだ」


いや、だから、なぜ僕なんだ!?
どう切り替えしたら良いか、僕は考えた。

沈黙が重たかったのか、フトシ君はテレビを点けた。
テレビではドラゴンボールの再放送がやっていた。
ちょうど悟空がピッコロ代魔王を倒す回だった。


「なんにしても俺はちょっと無理だよ。家も遠いし。2時間近くかかるんだ。急に呼ばれてもすぐに来れないし。やっぱそういうのは地元で集めた方が」


「じゃあ、ここに住めよ。部屋も空いてるし」とフトシ君。


ムチャ言うな。
なんで住み込みで暴走族やらなきゃいけないんだ。


「い、いや、そんなの無理だよ。俺にだって地元の友達がいるんだ」と僕は言った。


「そうだよな、やっぱ地元が一番だよな」とフトシ君は少し寂しそうに呟いた。


そうして僕はフトシ君から解放された。


僕は暴走族が嫌いなのだ。
群れてないとツッパることもできないのか、と思う。
やけに組織的だし、戒律みたいなのも厳しいし。
上下関係も厳しいし。

そういうバカげた価値観に腹を立てて、
反抗しているうちに不良と呼ばれ、
いつしか不良として生きていた、
というような人間が、いわゆるこの学校にワンサカいるような不良たちであり、
そういう人間が何故わざわざよりバカげた組織に入ってゆくのか、
僕には理解できないのであった。

暴走族できちんとチームのルール守って、
先輩に従順して素直にやっていけるなら、
学校でもマジメにやっていけるだろうよ、と。

つづく

 

次回 「留年決定!?」


 



 


ハイスクール落ガキ「停学2」

2010年01月15日 | 思い出
「前っ代っ未聞よっ!」

女教師は夏の嵐のように荒れていた。

「停学明けた日に停学になるなんてっ!」


ケンカを止めたハズが、勢い余って相手にケガさせてしまい、遠足が終わったその足で職員室に呼び出されているでごさるの巻。


「アンタのせいで、うちのクラスがまた停学率トップじゃない!生活指導の先生にガミガミ言われるし!きぃっ!」

そう言うと女教師は両の手ので僕の両ほっぺをムンズと掴みチギれんばかりに揺さ振り始めた。

いだだだ!
「ひゅ、ひゅいまひぇん、ひょんにゃちゅむょりはにゃきゃっちゃんへす」

「は?なに?」ようやく手を離す女教師。


「すいません、そんなつもりはなかったんです」正直に。

女教師は砂漠のようにカラカラに渇いたタメ息をついて言った。

「まぁ、事情はだいたい聞いてるわ。確かに全てアンタが悪いわけじゃない。でも実際にケガ人が出てる以上、無罪放免というわけにはいかないのよ、分かる?」

「はい」

フテブテ君が必死に庇ってくれたおかげで、だいたいの状況は担任も把握してくれていた。


フテブテ君のおかげでっつーか、元はと言えばアイツが喧嘩っ早いせいじゃねーか、ちっきしょう。


「と、いうわけで、2週間の停学よ。いいわねぇ、もうほとんど長期休暇じゃない。1ヶ月もあれば世界一周旅行できるわよ」

ぐっ…。


「あ、あと、ちゃんと坊主にするのも忘れないでよ。そんな中途半端なスポーツ刈りじゃなく、ちゃんと坊主にすんのよ、分かった?」

「はい」

「あ、それから親御さんに電話しないといけないわね」

「ちちちょっと待って!先生!お願いします!電話は勘弁してください!停学明けの日に停学になったなんて聞いたら、母ちゃん倒れちゃうかも知れません!親には僕からよく言って聞かせますから!」


「なんでアンタがよく言って聞かせるのよ。」



「先生!ホント今回は悪気は無かったんです。アイツに…俺…」


「…はぁ。分かったわ。確かに結果はアレだけど、イザコザを止めようとした事は認めてあげるわ。それに免じて今回は連絡しない。でも、ちゃんと言うのよ?」


「はい」


ようやく長かった説教タイムが終わりに向かいつつある空気になりホッとしていると、女教師が言い出した。


「ねぇ、アンタ部活は入らないの?それだけ身長があって、力もあり余ってるようだし、スポーツに活かしなさいよ」


いやだ。
ただでさえ1日4時間以上も通学時間に浪費してるんだ(まぁ、まだほとんど通学してないけど)。部活なんかやったら完全に遊ぶ時間がなくなる。

「いや、家まで帰るのに時間かかるから、部活はちょっとやめておきます」


「そう。まぁちょっと考えておきなさいよ。じゃあいいわよ帰って。2週間ちゃんと家にいなさいよ、毎日電話かけて確認するから」


そして僕は職員室を出た。

はぁ。散々だな。
時間は夜の7時を過ぎていた。

田舎なので、夜の7時ともなると真っ暗である。

こんな遅くまで学校にいたことなんてないから、少しは慣れてきた通学路が全く違って見えた。


そんな夜道をとぼとぼと駅まで歩き、改札口に入ろうとしたところで後ろから名前を呼ばれた。

フテブテ君だった。
「何してんだよ、こんな時間まで」と僕は聞いた。


どうやらフテブテ君は僕を待っていたらしかった。
「なんか俺のせいでゴメンな」とフテブテ君は言った。

間接的には悪いけど、直接的には悪くない。

「いいよ別に。ただホントその喧嘩っ早さは少し直せよな」

「直そうと思ってんだけど、すぐにカッとなっちまうんだ」とフテブテくん。


ほんと未だにこの凶暴な男が中学の頃イジメられてたというのが信じられん。

イジメようがないと思うんだけど。


そうして僕らは帰路についた。



――翌日

僕は通学路の途中に潜伏し、フトシ君の帰りを待っていた。

もちろん謝るためだ。

しかし下校時間を1時間過ぎてもフトシ君の姿は見えない。

まさかケガのせいで休んでるのか…?

さっき通りかかったフテブテ君に状況聞けばよかった。

そんな風に悶々と待ち続けていると、ようやくフトシ君が現れた。

しかもラッキーなことに1人だ。


僕はすかさずフトシ君に近づき、その前に立った。

「あ、お前!」とフトシ君は僕の顔を見るなり言った。

「昨日はケガさせてしまって、申し訳なかった。」と言って僕は頭を下げた。


「お前ちょっとツラ貸せよ」とフトシ君はドスの効いたドスい声で言い放った。


あーやっぱそうなるよね。


つづく

ハイスクール落ガキ「社会科見学2」

2010年01月11日 | 思い出
パン工場から向かった先は、なんとアスレチック公園。

い、いや、だから。


小6の遠足と卒業旅行で来たって!ホントに。


小6の遠足で来て楽しかったから、卒業旅行で来たのだ。

当然この日だって小学生たちがウヨウヨ遊んでる。


そんなに小学生たちの平和を乱したいのか。


バスから飛ぶように降りてゆくクラスメイトたち。

そんな光景をぼんやり見ている。


「どうしたよ?行かないのか?」とフテブテ君が声をかけてきた。


「え?ああ、ちょっとバス酔いした」と適当に答える。

「パンも食ってないもんな。じゃ休んでた方がいいな」と言ってバスから出てゆくフテブテ君。


僕は座席に深々と座り直し、目を閉じる。

中途半端、か。
さっき女教師に言われたことが頭の中で反芻する。

3ヶ月前までは何も疑問なんてなかった。

ただ全てくだらないと思っていた。


でもそうではなかった。



少し眠ってしまったらしく、ドヤドヤとした声が聞こえてきて目を覚ました。

フテブテ君の他数名がバスに乗り込んできた。

みんなビショビショに濡れていた。

ここのアスレチックには池にアスレチックが設置された水上にコースがあり、失敗するとビショビショになるのだ。こいつらのように。


「ちょっとビショビショじゃんよ」と僕は驚いた。

「こいつが押すんだもんよ」

「なに言ってんだ、おめーが押したからだろ」

とみんなでヤイヤイ言い合っている。


ふとブルーハーツのTRAINーTRAINの冒頭が頭を過ぎった。


ここは天国じゃないんだ
かといって地獄でもない
いい奴ばかりじゃないけど
悪い奴ばかりでもない


「まだ気分悪いか?」とフテブテ君は僕に聞いた。

「うん、もう大丈夫」と僕は答えた。


ここで終わってくれれば大団円なのだが、終わらないのがこの学校。

みんなで他のクラスメートたちが遊んでるところに向かっている途中、事件は起こった。

ふざけ半分で歩いていたフテブテ君が他のクラスの生徒とぶつかった。


その相手が悪かった。
ほとんど学校行ってない僕でも知ってるワルだ。

なんとかフトシ君。
暴飲暴食とかいう暴走族の頭という話だ。


フテブテ君とフトシ君はいきなり臨戦体勢。

お互いの胸ぐらを掴み合ってメンチ切ってる。

ちょっ待った待った!
僕は2人の間に割って入った。

「ちょっ、待って!こんなとこで喧嘩すんなって」

だがフトシ君は僕を押しのけ、再びフテブテ君の胸ぐらを掴む。フテブテ君も応戦する。

次第にギャラリーが増えてくる。やばい。

僕はクラスメートに先生呼んで来るように頼んだ。

そして僕はフトシ君を後ろから羽交い締めにし、そのまま背中から倒し、すぐさまフテブテ君を押さえた。

「むやみやたらな暴力はよせって言ったよな!自分が後悔するんだぞ!」


ようやくフテブテ君が落ち着きを取り戻してゆく。


「コラッ!なにやってんだ!」

クラスメートが呼びに行った先生もようやく来たか。

「おい、お前!何やってんだ!何ケンカしてんだ!おい!」そう言って先生は僕に詰め寄ってきた。


えぇっ!俺が?
「いや、俺はケンカ止めてたんですよ!」と僕は抗議した。

「嘘つくな!ケガしてんじゃねーか!」

ハッとして、さっき倒したフトシ君の方を見る。

そこには腰を押さえて苦悶しているフトシ君の姿があった。


そして僕は2回目の停学を受けることになったのである。

ハイスクール落ガキ「社会科見学1」

2010年01月11日 | 思い出
なんだか今までの2週間あまりが嘘のように、いきなりクラスに溶け込めてしまった僕。


これで休み時間に寝たくもないのに寝たフリしなくて良いんだ。


いやぁ、停学もなってみるもんだね。


そして相変わらずなフテブテ君とアホな話しをしながら、僕らが社会科見学に向かった先は・・


とあるパン工場。



あのう、ここ小3の社会科見学で来たんですけど。


「なぁ」と僕はフテブテ君に言った。「俺ここ小学生の時に来たわ」


「マジか。パンもらえた?」とフテブテ君。


そうして200人近い高校1年生相手に、やけにテンションの高い工場長がパンを作る過程を説明してゆく。


もちろんほぼ誰も真剣に聞いてやしない。

そんな僕らの態度を見て担任の女教師が吠える。

「ねぇ!あんたたちっ!ちゃんと工場長の話しを聞きなさいよ!!ほら!イースト菌よ!ほら見なさいよ!あんたたちィィィ!」


いちばん工場長の邪魔をしてる女教師。


 
そうこうしていると、遥か後ろに他の学校からの見学生が見える。

そう、たくさんの小学生たちが。


見学時間をズラしてるものの、やはり折り返して戻る時に接近してしまう。


明らかに我々の個性的な容姿を見て恐怖を抱いてる小学生たち。そして完全に警戒体勢に入る引率の先生たち。


恐怖、警戒、敵意、蔑み、そういった目で見られるのは日常茶飯事だし、もちろん自業自得だし、もうとっくに慣れてしまっているが、こういう風に団体として見られると少し恥ずかしいと思った。


そんな雰囲気のなかフテブテ君が問い掛ける。

「なあ、さっきから気になってんだけど」

まぁこうも悪人扱いされると気になるよな。

「パンもらえんのか?」

おまえもう帰れ。



もはや見世物と化して出口を目指す。

女教師が近くに来た時に聞いてみた。

「なんでパン工場なんですか。小学校で来る場所ですよ」


「小学生でパン工場なんて、むしろ早いと思うわよ。小学生でパン作ってる過程見たって、美味しそうだとかそんな客観視しかできないでしょう。でもアンタたちくらいになれば役に立つわよ。パン工場で働くときとか。」


働かないから。


そうしてようやく出口に着く。

出口では工場長が満面の笑みで生徒たちにパンを配っている。

フテブテくんもパンを貰ってはしゃいでいた。

そんな光景をなんとなしに見ていると、女教師が僕の横に立った。

「アンタ小学生の集団から見られて恥ずかしいと思ったんでしょう」

「そんなことないス」

「中途半端ね」と女教師が言った。

「中途半端?」と僕は聞き返した。

「そうよ。少なくとも他の連中は恥ずかしいなんて思ってないわ。それが正しいとは言わないけどね。ただ悪いとさえ気付かず変えない人間、悪いと知りつつ変えない人間。私は後者の方が人間として悪いと思うわ。まぁ少なくとも後悔しないように今を生きなさい。」


痛いとこをつきやがる。
半年前なら疑問にさえ思わなかった。

自分の弱さ、自分の愚かさ大人の強さ。

それを、とある先生が僕に諭してくれたのだ。

先生…


「おーい」とフテブテ君が僕の名を呼びながら近づいてくる。

「ほら」と言ってフテブテ君は僕にパンを差し出した。