□ストーリー
世界的規模の造船会社を一代で築いた来栖猛。その権威は政治にも影響を及ぼす事ができると言われている。
ところが来栖猛の名は謂わば渡世名であり、その裏の顔は広島を支配する陽銘連合会の創設者、岩見兵三であった。
岩見兵三は決して暴かれてはならない「尾道の秘密」を抱えていた。
それは第二次世界大戦の頃から始まり、今に至る70年以上もの間、ひた隠しにされきた秘密だという。
その秘密に迫ったものは、広瀬一家の組長である広瀬によって悉く始末されてきた。
だが秘密を知りながら殺されなかった例外もいる。
祭汪会である。現首領であるロウの先代がその秘密を握り、それを盾に来栖がもつ影響力を最大限に利用した。来栖にヘイハイツの密入国を手助けさせ、日本で生活できるようヒューマンロンダリングをさせていたのである。
桐生と勇太は尾道で拉致されたハルトを取り戻しが、このままではジリ貧である。次もまたハルトを守り切れる保証なんてどこにもない。そうなる前に勇太を後継者とすることをロウに諦めさせるため、三度神室町へ出向き、祭汪会のアジトへ乗り込んだ。
勇太はロウと刺し違える腹づもりでアジトに火を放ったが、桐生の決死の救出にによって勇太もロウも事なきを得た。
自分と刺し違えてまで跡継ぎになることを拒否しに来た勇太に揺るぎない覚悟を見たロウは勇太を後継者とすることをあきらめた。
その時点で血の掟を守れなかったロウは祭汪会トップの座から失脚し、自らの心血を注いだ組織によって始末された。
これで祭汪会がハルトを狙う意味もなくなり、全てが丸く収まったかに見えた。
だがしかし、事はそう簡単には収まらない。桐生は祭汪会と接触しているうちに、決しては触れてはならない「尾道の秘密」に触れてしまった。
その秘密を知ろうした者、知ってしまった者は必ず殺される。
消されるのが先か、70年以上闇の中に葬られてきた尾道の秘密を明るみに引きずりだすのが先か。
立ちはだかるは、これまで秘密を知った者を闇に葬って来た最強の刺客、広瀬。
くらいつく龍がその闇を払ったとき、尾道の海が割れ、山がせり上がってきた。
いや、それは山ではなかった。目の前にそそり立つそれは、あの戦艦大和であった。
それはあってはならぬ物。決して日の元に晒してはならぬ物であった。
闇から引き摺り出された秘密の核心にいるのは昭和のフィクサーと呼ばれた政治家、大道寺稔。
大道寺は旧海軍将校で、第二次世界大戦の末期、劣勢であった戦況を打開する為に独断で戦艦大和を凌駕する、超大和型戦艦の建造を岩見造船に依頼した。
岩見兵三は全く足りていない人手を賄う為にヘイハイツの斡旋を祭汪会に依頼した。これが祭汪会が秘密を握っていた経緯である。
こうして超大和型戦艦の建造は進められ来たが、その完成を待たずに戦争は終結してしまった。
勝てば官軍とはよく言ったもので、戦争に勝てば劣勢を覆した奇跡の戦艦として賞賛されていたかもしれないが(この1隻を投じることで果たしてあの戦況が動いたかどうかは、また別の話である)、負ければただ戦費を独断で横領して作られた巨大すぎる負債でしかない。
この戦艦がアメリカの占領軍の目に晒されるまでに残された時間は多くはなかった。そうなれば大道寺は完全に破滅であった。
大道寺は岩見兵三に戦艦の破壊を命じた。
その見返りとして、建造にかかった費用の賠償、加えて今後は岩見造船に有利な法案を可決してゆくと約束した。
しかし兵三は大道寺の命に背き、戦艦を破壊しなかった。切り札は切らないから切り札なのである。兵三は海中にドッグを作り、超大和型戦艦を秘匿した。
そして陽銘連合会を立ち上げ、秘匿に関わった人物たちをそのまま所属させ、傍で監視し、そして1人残らず殺していった。
今ではこの秘密を知る者は来栖と広瀬と祭汪会のロウだけであった(ロウは結局真相までは知らなかったのだが)。
その戦艦が日の元に晒されてしまったのだ。ほどなく戦艦の追求が始まるであろう。
大道寺の名前が挙がってしまえば、大道寺の暗部を知る多くの政治家たちへの追求も始まる。国会は完全にその責任追及の場と化し、日本の政治がしばらく麻痺してしまうであろう。このような軍事力を秘匿していたとなれば、外交にも影響を及ぼすかもしれない。
桐生は大道寺の逆鱗に触れてしまったのだ。戦艦を秘匿していた兵三のことも許しはしなかった。大道寺を敵に回すということは日本の国家そのものを敵に回す事と同義であった。
桐生が暴いた尾道の秘密というのは、そういうも類のものだったのだ。
兵三は間もなく射殺され、大道寺直々に桐生一馬抹殺の命がくだった。
ついに伝説の龍にも最後の瞬間が訪れようとしていた。
というわけでラスト。
書いててつくづく思ったけど、なぜ桐生が秘密を暴かなければならなかったのか、その動機が乏しい。
伊達も忠告しているけど、ハルトの父親が分かり、祭汪会から手を引かせた段階で、状況のわりにはハッピーエンドで終われたのに。
広瀬の親分が子分に隠し事をして、来栖の手足となって秘密の為に動いているのは広瀬一家の問題で、別に桐生がどうこういう筋ではないと思うけど。
首を突っ込んだ結果、広瀬の親分は死んで、南雲たちは親同然の人を失い、染谷の子供も父親を失ってしまった。
知らなれば知らないで良いことって、けっこうあるよね、という感想。
まぁ祭汪会のとこで終わりとなると完全にボリューム不足で物足りないから、大きい展開を用意しないとゲームとして成立しなかっただろうけど。最後だし。
2度目のプレイなので、寄り道はメインどころまでで終わりにし、やり込まかった。クリエイターの亜門とか。
それでプレイ時間40時間なので、けっこう短い。やり込んでも50時間くらい。
酷評されるほどではないかな、と個人的には思ってます。
ストーリーも最後まで緊張感あるし、寄り道ゲームも楽しい。
中古でそこそこ安くなってるし、季節感もちょうど良いし、龍が如く好きでまだ未プレイの方はおススメです。