クリンの広場

たまっこくりんのおもいのたけ

蝉の鳴く小説・3(横田順彌『蟬時雨』感想)

2021-09-29 | 乗り物

ふじさわ周平による・名作蝉しぐれ』

 同じタイトルをもつ短ぺん(編)『蝉時雨(せみしぐれ)』。

 

セミ、というより 

スズメが目立っている小説

なのですが、

おもしろいので ご紹介しておきます


 作者は、横田順彌(よこたじゅんや)

という、

おじいさんになっても、少年の心をもちつづけている

SF小説家さ

です。

 横田さんは「押川春浪」(という、実在の冒険小説家)

に あこがれて

自らも、

古典SFの作家に なりました

こちらの「押川春浪回想譚」は、

そんな横田さんが、

心の師押川春浪を 主人公にした、トリビュート作品です

 

 <さっくり・あらすじ>


主人公は

明治時代に「冒険小説ブーム」を作った

売れっ子作家・押川春浪

 

いつも不思議な事件に遭遇し

怪しい世界を かいまみています。



 彼は、明治31年に高知県でおこった、
雀の合戦

という、

二万羽の雀たちが 互いに空中で攻撃しあい

五千羽くらいが討ち死にした

世にも奇ッ怪な 事件のナゾに

迫り

 そのスズメたちの 異常行動のうらには、

「闘争心をかきたてる薬の研究をしている

という、

ある老人の

狂った実験が あったことを

知ります・・

 その実験は やがて・スズメの合戦どころじゃなく

アレや、アレ

引きおこしていく・・

(ええっ!?アレや、アレまで!??

 

・・・・・びっくりな結末。

 


セミは?というと、

とうさく(倒錯)の「中盤以降」をもりあげるBGM

として、

ジャージャー鳴きまくる・・

 

そんなかんじ。

 「遊神女、幽霊船、恐怖病、曲馬団・・etc」

全部

奇妙で ワクワクしてしまう

和の幻想アイテムを、

「原稿用紙25~40枚」で 小さくまとめた

アンソロジーは、

 子どもだまし、ではなく

明治時代の研究もしている作者の

しんけん(真剣)な「時代考証」が 

つめこまれた

 「大人の奇想小説集」なのでした

 

【おすすめ度:なかなか。

 

 

(次回セミの鳴く小説特集・4は、横溝正史の『空蟬処女』です

 

 


コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 蝉の鳴く小説・2(『蜩ノ記... | トップ | 蝉の鳴く小説・4(横溝正史... »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (桃里)
2021-09-29 06:00:44
高知県で!?
2万羽のスズメ合戦!
5千羽が討ち死に!
なんと!! そんなことがあったとは。
その事件が、アレやアレまで引き起こしている・・・
もはや世界レベルです。
興味が湧きましたー
ありがとうございました。
返信する
Unknown (tkgmzt2902)
2021-09-29 07:20:23
知らない作家で興味深く読みました。少し賢くなりました。
「アレや、アレを引き起こした・・・」、ああアレね。
綺譚と思いきや突くべき所をちゃんと突いているのですね。
雀の鳴き声、ジージー・・・はホントなんです。すざましい音量です。
それがここ数年、雀の集団を見かけなくなり不思議に思っています。アレ・・・が頭をよぎります。
返信する
クリンちゃんへ (くりまんじゅう)
2021-09-29 09:52:51
高知県で起こったスズメの合戦の話 全然知りませんでした。
興味津々です。知らない作家さんばかりですが スズメの合戦は読みたいです。

  
返信する
Unknown (cforever1)
2021-09-29 12:23:01
桃里さまへ💮🌸

モモリさまぁ~✨✨🐻✨✨✨
なんだか本当のことなのか?わからないのですが、小説の出だしがスズメの合戦を伝える「高知日日新聞、明治31年12月5日」の記事から始まるんです⚠️
(フシギ、、でも高知県だしなあ、、あの大自然の中ならあるかもね。そういうこと・・)なんて、妙になっとくしちゃったりして❗

そうそう💡老人が引き起こすアレの次のアレは、世界史上初めての世界的アレなんです‼️
(まさかの歴史だけど、、そういうわけだったのかあ~)って、クリンたち、丸めこまれつつあります🌀

クリンより🌈
返信する
Unknown (cforever1)
2021-09-29 12:41:19
@tkgmzt2902 ちゃぐままさまへ🌈✨

そういえばスズメがかたまっているのを、近年見ていない気がします🐻⚠️
なんとなく冬になると電線の上にまとまって並び、春になるとバラける印しょうですが、、
スズメの数自体が少ないですよね❗(うちの近所で見かけるのは、あっとう的にセキレイが多いです🦜)

先ほど実家のお母さんにでんわでききましたら「横田順彌は知らないけど、押川春浪は知っていたわ」と言っていました💡戦前では有名な作家さんだったのでしょうかね💡💡おしかわしゅんろう・・

作者の横田さんは「押川春浪」だけでなく、『明治バンカラ快人伝』なる本も書いているらしく、うちのチットが読みたがっていました👩💡
先日の『蜩ノ記』にも、学生時代に読んだ『寛政重修諸家譜』の名がちらっと出てきたり、、チットはセミ小説を読みはじめてから、いろいろかんきされているみたいです💥

クリンより🍀
返信する
Unknown (cforever1)
2021-09-29 14:25:13
くりまんじゅうさまへ🌳✨✨

小説の中に「高知日日新聞」の記事としてスズメの合戦の話がのっていたのですが、「高知日日新聞」とはそもそも「高知新聞」のことなのか?ってかんじで、そこからしてよくわからないんです🌀(国立国会図書館のデータベースには高知日日新聞が一部あるっぽいです💡「高知新聞とリンクされているから、日日時代があったとか?」と、うちのチットがきょうみ深そうに言っていました👩)

また、スズメの合戦が起こった場所として小説には「高知県名西郡上山村」と記されていたので、(どの辺かな?)と気になりしらべてみましたら、名西郡上山村は「徳島県」と出て来ました⚠️←たしかに明治時代に一時高知県のかんかつに入ったらしいのですが、明治13年以後はとくしま県の一部になっています。スズメの合戦の記事は「明治31年12月5日」になっていますので、
・・全面的にそうさく(創作)?なんて、思いました❗

とはいえ、作者の横田さんは明治研究をされていた方らしいですから、四国地方でこれに近い記事を古いしんぶんから発見して、地名などミックスしたのかもしれませんよね🌈

いずれにしても昔って、いえ、いつの時代もありえないことが起こったりしますから、そのような「怪異」も起きたのかも・・
なんて考えると、おもしろいですよね⤴️✨

クリンより🐻
返信する
江戸川乱歩好きとしては (tadaox)
2021-09-29 19:17:41
〈クリン〉さん、こんばんは。
押川春浪さんの名前は知っていましたが、奇談的な作品を読んだのは江戸川乱歩止まりで、押川さんまではたどり着かなかったですね。
もっとも、冒険小説家となっていますので、雀の合戦は導入部を面白くするための創作とも考えられますね。〈クリンさんの想像に乗っかって〉
『海底軍艦』という作品は、今でいう潜水艦のことでしょうかね?
児島襄の日露戦争という本もアップされていましたが、当時の世相を敏感に反映していたのかな。
あっ、これ横田順彌さんの労作でしたね。
この作家さんにたどり着いたクリンさんのお手柄でもありますね。
返信する
Unknown (cforever1)
2021-09-29 20:51:20
tadaox さまへ🍎✨

そうです💡「海底軍艦」は世界大戦にかつための、すごいせんすいかんのようです🎌
時代を反映していますよね❗
「奇想天外な設定や装備だとしても、当時の少年たちにとっては大日本帝国とともに壮大なイメージがあったはず」って、うちのチットが言ってました👩あんがいリアルに捉えられてたぼうけん小説だったのかもしれませんね💡

クリンがなぜに『日露戦争』の本をもっているかと申しますと、(ここだけの話ですが、スズメの合戦をしかけた老人は、その薬を人間にも用いて、結果、ニチロ戦争へとつながっていった、っていう筋立てなんです⚠️「アレ」と「アレ」とは、ニチロ戦争と第一次世界大戦なんですよ🔥🔥🔥)・・・本は、ヒントとして使った小道具なのでした📖💡

だれにも教えちゃダメですよ🔥🔥🔥←歴史が書きかえられてしまいますので‼️🌀

次回はヨコミゾセイシなのですが、江戸川乱歩どまりとおっしゃるくぼにわさまも、金田一こうすけは、なんだかんだでご存じなのでは✨

クリンより🐻
返信する

コメントを投稿