SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

BOZ SCAGGS 「but beautiful」

2007年10月18日 | Vocal

ここしばらくは車での移動時間が一番ゆっくりジャズを聴けるひとときだ。
今日は車で片道約3時間の距離にある町まで出かけたのだが、こりゃあ、たっぷり聴けるなと思い、昨日から何枚かのアルバムをMDに落とし込んでおいた。
車にはiPodも装着できるのだが、愛用しているiPodが古いせいかどうもこのところ調子が悪い。で、MDになったのだ。
私の車は買ったときから大小合わせて8つものスピーカーが付いていてなかなかの音がする。他には全くと言っていいほど余計なものは付いていないのに、カーオーディオだけが充実しているという変な車なのだ。
まぁ、それはともかく、今日聴いた中で一番グッと来たのがボズの「but beautiful」だった。
彼の歌声は胸がしめつけられるように甘く切ない。
この作品は、1970年代半ばから後半にかけて「Silk Degrees」「Down Two Then Left」「Middle Man」と立て続けにヒットアルバムを出し、AORの代名詞ともいえる存在になったあのボズ・スキャッグスによる、全編ジャズ・スタンダード集なのだ。
そういえば彼とも親交が深い同じAORの大スターであるボビー・コールドウェルも、今や押しも押されぬジャズシンガーになった。
要するにAORは多分にジャズのエッセンスを詰め込んだミュージック・シーンだったのだ。その証拠に、ボズ最大のヒット曲である「We're All Alone」を聴いていても、このジャズ・スタンダード集を聴いていても何も違和感がない。
「最近のジャズヴォーカル自体がすでにポップス化しているんだよ」といわれればそうかもしれないとも思うが、こうしたポップス界の大御所が本格的なジャズのスタンダードを歌うことには心から拍手を贈りたい気持ちだ。

宵闇が迫る高速道路を北に向かってひたすら走った。
遠くの街並みがシルエットになって浮かび上がるのが見えた。
こんなシーンにボズ以外の曲は似合うはずもない、とか何とか車内で一人、目一杯の感動に包まれていた。