SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

DAG ARNESEN 「NORWEGIAN SONG」

2007年10月02日 | Piano/keyboard

またまたノルウェーの上質なピアノトリオを手に入れた。
ダグ・アルネセンの新譜である。今回はノルウェーの歌ばかりを集めた作品集になっている。
こういうアルバムに駄盤はない。
古くはアート・ファーマーが「To Sweden with Love」で哀愁溢れるスウェーデンの民謡集を発表し話題を呼んだし、90年代にはヤン・ラングレンが「Swedish Standards」でやはりスウェーデンの民謡を取り上げヒットさせた。国こそ違え、ノルウェーとスウェーデンは同じ北欧スカンジナビア、「NORWEGIAN SONG」が悪かろうはずがない。
このアルバムを言葉で形容するとしたら、さりげなさと優しさに溢れた作品だといえる。
もともとの曲が民謡だから、ノルウェーではおそらく小さな子どもでも口ずさめる歌なのだろう。そんな愛らしいメロディが全編に渡って広がっていく。もちろん原曲の良さを残しつつもきちんと現代風にアレンジされているあたりはベテランならではの職人芸だ。

ピアノの音がみずみずしい。目をつむると農村に流れるせせらぎの風景が浮かんでくる。
ピアノがせせらぎの音だとしたらブラシは風の音、ベースは胸の高鳴りだ。このアルバムは私をそんなノスタルジックな世界に連れて行ってくれる。
もちろん人それぞれでイメージする風景は違うだろう。当たり前のことだ。イメージできるといっても自分がどこかで見た風景を思い起こしているに過ぎない。私たちは常にそうした風景に合う音楽や出来事を探し廻っているのである。何を好きになるかは、そうした感性で決まってくるものなのだ。

10月に入って周辺は一気に秋の様相を呈してきた。冷房も暖房もいらない貴重な季節である。夜も長い。
こんな日はお気に入りのピアノトリオを片っ端から聴いていく。
何枚か聴いて今の季節に一番合っていると感じたのが、このダグ・アルネセンの「NORWEGIAN SONG」だった。