SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

NILS LANDGREN , ESBJORN SVENSSON 「LAYERS OF LIGHT」

2007年08月29日 | Trombone

あれ?トロンボーンってこんなに広がりのある音を出す楽器だったっけ?と初めて聴いた時に感じた。
ニルス・ラングレンがエフェクトをかけているわけではない。これがトロンボーン本来の音なのだろう。ただ私がこれまでにトロンボーンのワンホーンアルバムをあまり聴いてこなかったからそう思っただけなのだ。楽器の素の音とはこういうものかと感心しきりである。

このアルバムはスウェーデンの人気者2人が組んだデュオアルバムで、この作品の他にも「SWEDISH FOLK MODERN」というスウェーデン民謡を集めた作品も発表されている。どちらも北欧の美しい風景が目に浮かぶような演奏だ。
但し私が持っているこの「LAYERS OF LIGHT」はドイツ版なので、これが果たして日本で発売されているのかどうかはわからない。「SWEDISH FOLK MODERN」は間違いなく発売されているのだが。

彼らの音楽を聴くとイマジネーションが広がる。
このアルバムは、私にとって風の吹く草原のイメージだ。空は曇り空。遠くに海が見え僅かながら潮騒も聞こえる。時々鳥が低くたれ込めた雲の下を旋回している。
私はそこにぼんやりと立ち尽くしている。何にも考えていないし、私の他に誰もいない。そんな風景が目に浮かぶ。
この風景はやはり北欧なのかもしれない。以前スウェーデンにも行ったことがあるので、その時のイメージが頭の中に残っていても不思議ではない。とにかく置き去りにされたような孤独感がたまらなくいい。

エスビョルン・スヴェンソンのピアノは、ニルス・ラングレンの吹くトロンボーンの合間にあって実に効果的に響いてくる。彼のセンスの良さが滲み出た演奏だ。こんな演奏をするから彼をただ者ではないと思ってしまうのだ。
e.s.t.もいいが、彼のファンならこういったリリカルな側面も知るべきだろう。