SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

MARC JOHNSON 「THE SOUND OF SUMMER RUNNING」

2007年08月10日 | Bass

夏の爽やかな一枚をご紹介しよう。
ジャズなのにこんなに爽やかでいいのかと思えるくらいだが、これも立派なジャズなのだ。
メンバーはリーダーのマーク・ジョンソン(b)の他に、パット・メセニー(g)とビル・フリーゼル(g)、ジョーイ・バロン(ds)という布陣である。この顔ぶれだけを見ればECMかと勘違いしそうだが、これはヴァーヴからの発売によるものだ。
それにしてもパット・メセニーとビル・フリーゼルのツインギターというのは珍しい。ピアノレスアルバムにした理由はこの2本のギターの存在感をさらに高めるためだったのかもしれない。
マーク・ジョンソンが作りたかった作品には、この2人のギターがピアノよりも必要性が高かったのだ。

2人はどちらも澄んだ音色を夏空の彼方まで響かせている。こんなに広い大地を感じる音楽も少ないのではないだろうか。
月並みな例えだが、「車窓の旅」などのビデオクリップに合わせるとぴったりはまりそうな雰囲気だ。
2本のギターは、よく耳を澄ませていなければどちらがメセニーなのかフリーゼルなのかは判別しづらい。ツインギターといってもそれくらい自然なハーモニーが出来上がっているのでうるさい感じは一切ない。

主役のマーク・ジョンソンはビル・エヴァンス・トリオのベーシストとして名を馳せた男だ。
このアルバムでもビル・フリーゼルから2曲、パット・メセニーから1曲を提供されているものの、残り7曲は全て彼のオリジナル曲である。並々ならぬ意欲作だが、その全てをツインギターをイメージして書き下ろしているように聞こえる。
どの曲もメロディは優しく、夏ならではの若々しい躍動感とほんのちょっぴりの寂しさが全編に渡って広がっている。
こんなアルバムを聴きながら海岸通りを車で走り抜けたい、そんな気にさせるアルバムだ。