SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

McCOY TYNER 「TODAY AND TOMORROW」

2007年08月18日 | Piano/keyboard

このアルバムはレコードの他にCDも持っている。
レコードではA面3曲が3管編成、B面3曲ががピアノトリオという構成だ。私はこのB面がお気に入りだった。
何年前になるかは忘れたが、とあるショップでこのCDを見つけた。
よく見てみるとピアノトリオの「おまけ曲」が3曲入っている。コール・ポーターの名曲「You'd be so nice to come home to」とカーティス・フラーの「ブルース・エット」で有名な「Five Spot after dark」、そしてタイナーのオリジナル「Flapstick blues」だ。この魅力的なオマケに心が揺れた。
早速購入して家で聴いてみて小躍りした。この3曲が実にいいのだ。レコードに入っている6曲よりもこちらの方がいいように思えた。
中でもトリオで演奏される「You'd be so nice to come home to」は絶品だ。
この曲はテーマ部分をどう弾くかというより、アドリヴをどう展開させるかで真価が決まる。マッコイ・タイナーのアドリヴは実に美しい。ちょっとオブリガードを効かせ過ぎる傾向にあるが、彼のテクニシャンぶりを嫌というほど味わえる。またエルヴィン・ジョーンズのブラシがタイナーのピアノをずいぶん引き立てている。さすがの一言だ。
マッコイ・タイナー・トリオは一聴して彼らの音だということがわかる。
ちょっと曇った全体の音、高音域が多用された軽快なピアノ、どっしりと引きづるように重いベース、ハイハットが印象的なドラム、これ全てがコルトレーンのバックを務めた彼らの持ち味だ。インパルスの匂いもプンプンする。

基本的にCDはレコードと同じ曲の構成にしてほしいと以前から願っていた。そうしないと作者の意図とは違った作品になってしまうからだ。少なくともオルタネイト・テイクをオマケで入れるのはやめてほしいと今でも思っている。
ただ希にこのCDのようにオマケで得をしたと感じるときもある。
もちろんこれはあくまでレコードも持っていたから味わえたお得感なのだ。誤解してもらっては困る。