SENTIMENTAL JAZZ DIARY

感傷的ジャズ日記 ~私のアルバムコレクションから~

TETE MONTOLIU TRIO 「Tete a Tete」

2007年08月28日 | Piano/keyboard

これは友人に勧められて買ったアルバムである。
全5曲、テテ・モントリューのハイテクニックが味わえる彼の代表作だ。
「Tete a Tete」とは「二人きり(内密で)」「差し向かいで」といった意味だそうだが、彼の名にも引っかけてつけられたタイトルだ。なかなかよろしい、気に入った。

彼は盲目のピアニストである。
盲目のピアニストはタッチが固い。マーカス・ロバーツ、イグナシ・テラザなど、みんな固い。ここでのテテ・モントリューもカチカチだ。どうかするとピアノではなくハープシコードを弾いているかのように聞こえる時がある。だからというわけではないが、速い曲になると音数の多さも手伝って何となくクラシックピアノを連想してしまうのだ。これがリスナーにとっては好き嫌いのはっきり分かれる部分なのだろうと思う。
彼の身体にはラテンの血が混じっている。これはもちろんスペイン人であるためだが、タッチが固くてもどことなく粘っこさがあって、生暖かい人間臭さを感じるところがテテの個性なのだと思う。この辺りはかなり微妙なニュアンスなので、彼を知らない方はまず聴いてもらうしかない。

このアルバムの魅力は彼だけではない。ベースをニールス・ペデルセンが、ドラムスをアルバート・ヒースが担当しているからである。ペデルセンのブンブンベースは相変わらず迫力満点だし、ヒースのシンバルワークも的を射ている。
全体にはいかにもスティープルチェイス盤といった音づくりになっており、充分にダイナミック感を味わえる。
収録している曲はどの曲も推薦できるのだが、強いていえばラストの「CATALAN SUITE」がタイミングの良さ、3人のバランスの良さでイチオシだ。
但し、「よし、聴くぞ」と気合いを入れて聴かないと、たちまち飲み込まれてしまう。そんな作品だ。