話題0812


話 題 0812



東大寺が総合文化センターを整備へ
 産経新聞(12/29付Web)によれば、東大寺が仏像や宝物のための収蔵庫と展示施設、図書館を一体化した「東大寺総合文化センター」の新設を南大門近くの旧東大寺学園跡地で計画していることが分かりました。平成23年開館を目指し来春までに着工する予定。収蔵庫には、奈良国立博物館に預けている寺宝や堂に安置している仏像を移すことや公開も検討するといいます。

まほろば眺望スポットに565件が応募
 奈良新聞(12/28付Web)によれば、奈良県が募集した「まほろば眺望スポット百選」の候補地として565件の応募があり、同時に募集した県にとってマイナスイメージとなる「残したくない景観」には112件の応募がありました。奈良の眺めの良さをPRしてイメージアップを図るために5月1日から募集していたもので、景観に対する県民の意識を把握することで、今後の施策に生かす資料となると県ではいいます。

[訃報]中村一雄さん 「ビルマの竪琴」のモデル
 中村一雄(=なかむら・かずお)さん。12月17日、老衰で死去、92歳。小説「ビルマの竪琴」の主人公、水島上等兵のモデルになったとされる僧侶。46年に復員し、自らの体験をもとに出版した「ビルマの耳飾り」で講談社児童文学新人賞を受賞。自宅は群馬県昭和村川額1171雲昌寺。〔朝日新聞12/19付〕

高岩寺本堂などが登録有形文化財に
 朝日新聞(12/12付Web)によれば、文化審議会は12月12日、新たに55カ所158件の建造物を登録有形文化財に登録するよう文部科学相に答申しました。宗教関連としては「とげぬき地蔵尊」として親しまれる高岩寺本堂(東京都豊島区)、防府天満宮本殿・幣殿・拝殿(山口県防府市)など。

中世石造物の技術は寧波にルーツ
 産経新聞(12/12付Web)によれば、奈良県大和郡山市・額安寺にある石造りの宝篋印塔(市文化財、鎌倉時代)から石材を割るために開けた矢穴列跡が見つかり、これが中国浙江省・寧波にある武士石像のものと同タイプであることが判明しました。中日石造物研究会の発表によれば、東大寺・石造獅子の牡丹文と寧波・天童寺の石造物の文様との類似や、泉涌寺・開山無縫塔と寧波・阿育王寺の塔の酷似を確認、鎌倉時代の東大寺復興時に重源上人が招いた宋の石工が技術をもたらした可能性が高く、中世石造物の技術のルーツが寧波一帯にあったといいます。

臨済宗僧侶がバンドを結成
 産経新聞(12/12付Web)によれば、若手禅宗僧侶5人が、音楽と法話を組み合わせたバンド「一期一會(いちごいちえ)」を結成しました。メンバーは広島県福山市・弘宗寺の水野宏泰住職(36歳)や和歌山県白浜町・聖福寺の関守研悟住職(36歳)のほか、北海道や岐阜、山梨県の臨済宗妙心寺派寺院の若手僧侶計5人。5年前に勉強会で会い同じ昭和47年生まれで音楽経験者だったことから意気投合。12月2日に福山市でコンサートを開き、法衣姿でステージに登場して、御詠歌のほか、「涙そうそう」などの流行歌も披露しました。

龍谷大に仏教総合博物館が2011年開館
 読売新聞(12/12付Web)によれば、龍谷大が京都市下京区・西本願寺の東側に、仏教総合博物館「龍谷ミュージアム」を建設すると発表しました。2011年4月開館の予定で、同年の親鸞聖人750回大遠忌と大学創立370周年に合わせた事業。大学所蔵の国宝や、本願寺派が明治、大正時代に中央アジアへ派遣した日本最初の学術調査隊「大谷探検隊」によるコレクションなど約170万点を展示するといいます。

法隆寺金堂にLED照明を設置
 奈良新聞(12/11付Web)によれば、法隆寺が金堂内に仏像や壁画の照明設備21基を設置し、12月19日から点灯します。熱を持たない発光ダイオード(LED)で13体の仏像を上部から照らす形となります。昭和24年の火災は電気座布団のショートが原因とされており、照明なしで堂内を公開してきましたが、須弥壇修理の完成を機にタブーだった電気使用に踏み切ることを決めたそうです。

平等院菩薩像が340年ぶりに里帰り
 読売新聞(12/10付Web)によれば、平等院鳳凰堂が大改修された1670年に流出したとされる僧侶姿の雲中供養菩薩像が、約340年ぶりに鳳凰堂に里帰りし、12月10日に法要が営まれました。菩薩像は高さ約57センチ。文化庁が2004年3月に京都市内の古物商から購入し保管。このたび平等院が特別展を開くのに合わせ、文化庁から借りたといいます。

善光寺玄証院住職が裁判員制度で廃止訴え
 産経新聞(12/1付Web)によれば、長野市の善光寺玄証院・福島貴和住職が12月1日、長野県庁で記者会見し、来年5月から始まる裁判員制度について「宗教者は人を裁かないで済む世の中にするのが役目。人を裁くことなどできない」と廃止を訴えました。福島住職は今後、長野県の市民団体「裁判員制度はいらない市民の声」が県内で開く裁判員制度の学習会で、廃止を訴えていくといいます。

[訃報]即真尊のうさん 延暦寺一山薬樹院住職
 即真尊のう〔雨かんむりに龍〕(つくま・そんのう)さん。11月29日、心不全で死去、77歳。延暦寺一山薬樹院住職、大僧正。〔朝日新聞12/1付〕

古寺修理に備え民間の森林を登録
 朝日新聞(11/27付Web)によれば、巨木が必要な大規模な古社寺などの将来の修理に備え、各地の森林の登録を呼びかける「文化材創造プロジェクト」が11月から始まりました。対象は、現在の樹齢が80年以上になるヒノキやスギ、マツなどで、樹齢150年以上となるまで長期育成を目指すとのこと。参加者のひとり有馬頼底・相国寺住職が幼少期を過ごした大分県日田市がすでに市有林0.7ヘクタールを申請。三重県尾鷲地域や奈良県吉野地域の大規模林業者が名乗り出るなど20の団体・企業や個人が第1陣として登録する見込みです。
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新刊0812


新 刊 0812



新版古寺巡礼京都第29巻 智積院
梅原猛=監修 阿部龍文、横尾忠則=執筆 淡交社 1680円
〈JR京都駅にも近く、障壁画・庭園と見所が多く、学問の寺(学山)でも知られた智積院の魅力を、横尾忠則氏ほかの執筆陣が多方面から捉えます。〉

書物誕生『スッタニパータ』仏教最古の世界
並川孝儀=著 岩波書店 2205円
〈歴史上のゴータマ・ブッダは実際に何を語り,いかに人々を導いたのか――資料を徹底して読み込みながら,ジャイナ教との共通性や現代の宗教儀礼における役割,「ブッダたち」と複数形で説かれる秘密,輪廻・無我・涅槃・縁起など重要な思想の原初形態,差別・平等観を探る.最古の仏典に刻された仏教の源流.〉

われ、ただ足るを知る 禅僧と脳生理学者が読み解く現代
板橋興宗、有田秀穂=著 佼成出版社 1470円
〈禅僧と脳生理学者の対談を一冊にまとめたもの。板橋老師の「悟り」体験を脳生理学の視点から解明を試み、さらにそれぞれの立場から現代社会が抱える問題に斬り込み、欲望に引きずられることをやめ「足る」ことを知る必要を説く。〉

ヨーガと浄土 ブッディスト・セオロジー(5)
立川武蔵=著 選書メチエ 講談社 1680円
〈仏教を構造的に分析し、宗教の普遍的本質にせまる画期的シリーズ最終巻。縁起・空・マンダラなど仏教の伝統的概念を更新し、混沌の21世紀にこそ必須の思想として再生をはかる。碩学畢生の「セオロジー」がついにここに完結する。〉

儒教・仏教・道教
菊地章太=著 選書メチエ 講談社 1575円
〈なぜ異なる3つの宗教がアジアでは共存できるのか。死生観、自然認識、民間信仰などを題材に、衝突・妥協・調和を繰り返しつつ共存するアジア的宗教のダイナミックな思想構造を分析する。〉

百寺巡礼第四巻 滋賀・東海
五木寛之=著 講談社文庫 講談社 590円
〈豊かな水をたたえる琵琶湖に抱かれた近江国へ。三井寺の霊験あらたかな泉や、永保寺を囲む奇岩巨石。名刹 延暦寺を深い霧で包み込む深山幽谷。石山寺では蓮如と母の哀切な物語に出会い、百済寺では亡き故郷を望む渡来人の心に思いを馳せる。鐘の音とともに伝わり来る、数千年の時の流れを感じて。〉

子どもにおくる般若心経
新井満=著 朝日新聞出版 1050円
〈10万部を突破した著者による『自由訳 般若心経』を、さらにわかりやすく、小学生にも届くようなメッセージを込めて書き下ろす自由訳の決定版。〉

お位牌はどこから来たのか
多田孝正=著 興山舎 2100円
〈本書で取り上げている「法事」「位牌」「戒名法名」「焼香」「数珠」「合掌礼拝」「袈裟」「正坐」「声明」「鳴り物」、そのルーツや秘められた意味となると、意外に知らないものです。このきわめて素朴にして難解なテーマを、天台学会会長などを歴任し現在、大正大学名誉教授である仏教学の第一人者・多田孝正師が平易な表現で分かりやすく解明しています。〉

『教行信証』入門
矢田了章=著 大法輪閣 3000円
〈『教行信証』の重要箇所の訓読と現代語訳を解説しつつ、この1冊でその全体を展望します。解説は、公開講座での講義をもとにした平易な「です・ます」調。親鶯の信仰体験の展開に注目しながら『教行信証』のエッセンスに迫り、仏教全体の中での浄土真宗の立揚を明らかにします。〉

弘法さん かわら版 弘法大師の生涯と覚王山
大塚耕平=著 大法輪閣 1290円
〈名古屋覚王山日泰寺の地元の小中学校を卒業し、参道前に事務所を置く国会議員が、毎月21日の「弘法さん」の縁日に、縁日の由来などを調べ2007年7月からひと月も欠かさずに地元振興のため参拝客に配っている「弘法さんかわら版」から、弘法さん・八十八ヵ所霊場や日泰寺にまつわる話を中心にまとめた異色の書。〉

正法眼蔵 現成公案・摩訶般若波羅蜜を味わう
内山興正=著 大法輪閣 1995円
〈昭和の名僧・沢木興道老師の高弟で、その著書は英独仏伊語などにも翻訳され、欧米社会にも多くの信者をもつ内山老師が、『正法眼蔵』の総論でもあり、またエキスともいわれる「現成公案」の巻と、それに続く「摩訶般若波羅蜜」の巻を提唱。〉

今昔物語集を読む 歴史と古典
小峯和明=著 吉川弘文館 2940円
〈インド、中国、日本を舞台に一千話以上を収載した日本最大の説話集である今昔物語集。平安後期にまとめられ、人々が貴庶を問わず活き活きと描かれている。芥川龍之介をはじめ多くの作家を刺激したその世界観を、歴史・文学・民俗・宗教・思想から多角的に検証する。また、近世・近代から現代に至る享受の過程を明らかにし、将来への可能性に迫る。〉

宗教多元主義を学ぶ人のために
間瀬啓允=著 世界思想社 2100円
〈プルーラリズム(多元主義)の時代に宗教はどうあるべきか。宗教理解にはパラダイム変換をもたらし、未来世代には行動指針「アジェンダ21」を提示する宗教多元主義とは、どのような思想か。その基本的な考え方をさまざまな角度から検証する。〉

暮らしの中の、ちょっと気になる話
和田真雄=著 法蔵館 1050円
〈真宗大谷派僧侶でありカウンセラーである著者が、実際の悩み・苦しみを通して語る短編法話集。なぜ苦しむのか――他人事ではない事例をもとに、その心を具体的に易しく説く。〉

彦根藩井伊家文書浄土真宗異義相論「承応の鬩牆」を発端とする本願寺・興正寺一件史料
平田厚志=著 龍谷大学仏教文化研究所研究叢書20 法蔵館 18900円
〈江戸時代初期、当時本末関係にあった西本願寺と興正寺との間で起こった事件の発端、経過、顛末を彦根城博物館に残る当時の関係者の書簡から読み解く、初翻刻史料。年表付き。〉

大系真宗史料 伝記編 2 御伝鈔注釈
塩谷菊美=担当 龍谷大学仏教文化研究所研究叢書20 法蔵館 9450円
〈絵巻物である『親鸞伝絵』から詞書を抜き出した『御伝鈔』の注釈書「御伝鈔聞書」「御伝鈔私記」「御伝照蒙記」「御伝鈔演義」を収録。近世における真宗門徒の信仰内容を探る。〉

五来重著作集 第7巻 民間芸能史
山路興造=担当 法蔵館 8925円
〈永年全国各地を歩いて調査・収集した膨大な民間芸能の資料を分析し、文献で考証しながら、その歴史と実態を明らかにしていき、庶民信仰の本質と芸能の発生の原点を解明する。〉

楽しい仏像
飯泉太子宗=著 廣済堂出版 1470円
〈仏像について、楽しく面白く、気楽にわかるようになる本。写真はもちろん、親しみやすいイラストと文体が、初心者の心をしっかりとつかむ一冊。また、仏像の修復に携わってきた著者ならではの視点から、仏像に関する興味深い話題も披露。仏像がぐんぐん面白くなる。〉

平成宗教20年史
島田裕巳=著 幻冬舎新書 幻冬舎 798円
〈平成はオウム騒動ではじまる。そして平成7年の地下鉄サリン。一方5年、公明党(=創価学会)が連立政権参加、11年以後、長期与党に。新宗教やスピリチュアルに沸く平成の宗教観をあぶり出す。〉

心がスーッとなるブッダの言葉
アルボムッレ・スマナサーラ=著 成美文庫 成美堂出版 550円
〈ふだん抱えている悩みや葛藤、息苦しさを解き放つお釈迦様の言葉集。ブッダは人生に必要なものをすべて教えています。迷ったとき、壁にぶつかったとき、不満がたくさんあるとき、自信がないとき、穏やかになりたいとき、ページをめくってみてください。原始仏教の伝道者である著者が、仏教の入り口へ誘います。〉

空海をめぐる人物日本密教史
正木晃=著 春秋社 2310円
〈日本密教の最大の立役者・空海をキーパーソンにして、時代を「空海以前」と「空海以後」に分け、奈良時代から江戸時代までの間に活躍した重要な密教僧20人の生涯と思想を通して、日本の密教の流れを平易に語る。特に空海に関しては、最新の研究成果がふんだんに盛り込まれていて、今までの定説を覆すような注目すべき説も紹介されている。〉

DVDブック 実践ブッダの瞑想法 はじめてでもよく分かるヴィパッサナー瞑想法
地橋秀雄=著 春秋社 2625円
〈実際の瞑想のやり方をヴァリエーション豊かな映像から学ぶことで、より具体的にヴィパッサナー瞑想の真髄を理解できるようになる。本書においては、瞑想の基本的なマニュアルと注意点が記述されているので、映像との連関で手軽に独習できるようになっている。〉

大乗仏教思想論I 高崎直道著作集(2)〈全9巻〉
高崎直道=著 春秋社 9975円
〈如来蔵思想研究の第一人者として国際的にも著名な著者の業績を全九巻に集大成。第一回配本の第二巻は、大乗仏教の思想的本質を概説し、大乗経論の成立史からアジア的展開までを網羅している。〉
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