お待たせしました。
デザイン家電の真打ち登場でおま。
去年の夏頃に買ったんですが、登場に時間がかかったのは、
さいきん(やっと)リコールに出していたからです。
リコールが出たのは春頃ですが、引っ越したりしていて、
加湿器シーズンになるまで、めんどくさくて忘れていました。
修理に出して、再度届くまでの期間は10日ほど。
最初に開封して思うのは「うおおでかい」ということ。
フルフェイスのヘルメットをごろんと置いたくらいの
ボリュームがあります。
置く場所選びます。
そしてこの色。
およそ普通の家にはない、この強い色。
視界に入ると思わず「2度見」しちゃいます。
あとは匂い。
塗装仕上げなので、新品のうちしばらくはシンナー臭い。
世の加湿器って、ぱっと見「加湿器」だか「除湿器」だか
「イオン発生器」だか「浄水器」だかわからないでしょう。
カタチの「よりどころ」がないモノのデザインは難しい。
その構造とか機能とかイメージとかで、デザインが決められないからです。
それを、「水滴」とか「張力」とかの、きわめてプリミティブな
イメージでカタチにしたのは、やはりすごい。
あの「くぼみ」から、「出るべきして蒸気が出ている」感があります。
今まで見たことがないはずなのに、この説得力。
床を照らす緑のランプもしびれます。LEDの光の特性をよくわかっている。
なにか「いいデザインに賞をあげるイベント」があれば、
受賞してしかるべき「デザイン」だとおもいます。異議なし。
機能的な問題はいろいろあります。
タンクを外すと、結露した水が、本体からぽたぽたと
こぼれて床を濡らします。
コンセントまわりにも水がつくので怖い。
タンクを装着するときは、本体とタンクについた水を、
ていねいに拭き取る必要があります。
水を入れた状態では、水がこぼれるので、持ち運ぶことができません。
コンセントを入れると、部屋の湿度に関係なく全開で加湿を始め、
約5時間でタンクが空になります。
水が無くなると、加熱皿の電気は切れますが、ファンが止まりません。
つまり、寝るときに使うと、夜明け前に水が無くなって、
でもファンが止まらずうるさい。
リコール後の変更点は、
1)ゴム足高さ追加(3ミリ)、色が黒から白に
2)蒸散皿まわりの構造変更、部品追加
3)によって、本体とタンクの噛み合わせが4ミリほど浮き上がる
4)コンセントまわりのパッキン追加
5)別売フィルターの添付、こまめな交換を推奨
などです。
リコール自体は、工業製品には起こりうるものなのでとやかく言いません。
かなり徹底していて、真摯な対応だとおもいます。
最近発売された新型は、かなり改良されています。
タンク容量が1.9リットルから2.4リットルになり、
連続加湿時間は8時間になりました。
60%湿度を維持するように断続運転が可能で、
水が無くなればファンも切れるようです。
補水時の水滴の始末はわかりませんが、
構造はまるっきり新設計のようです。
買うなら絶対に新型をおすすめします。
なぜ旧型が併売されていたのか疑問でしたが、
在庫を売り切るだけで、随時販売終了するようです。
わたしも新型がほしい。
すごくほしい。
でもこのちょっと使いにくい旧型を、人に譲るのもナンだし、
処分するのは論外だし。
一冬使って「ちょっと面倒」と感じていたので、
リコール出たときは、けっこう愛が冷めました。
でもあらためて、「帰ってきた」こいつを使い始めると、
「やっぱいいなぁ」なんてしみじみ思います。
リコール対応の徹底ぶりにも、なんというか
「いちど世に出したこの商品を、何があっても絶対に殺さない」
という、執念のようなものを感じました。
ねえ、ほんとうに、
いままでこんなにすばらしいデザインの加湿器なんて、
いや、こんなにすばらしいデザインのカデンなんて、
世界中のどこにもなかったとおもうんです。
±0の製品全般に思うんですが、
「デザインがメーカーの技術力を超えてしまっている」と感じます。
デザイナーが無理を言い過ぎて、製品に不具合が出るのはよくあることです。
そこで起こる不具合に、文句をつけるのは簡単ですが、
けれどだからこそ、「どこにもなかった」ユニークな商品が
生まれるのだろうとおもいます。
結果的に、メーカー(日本電熱)の技術レベルは、大躍進したはずです。
たとえば60年代とか、いわゆるカデンの黎明期、
倣うものが何もないなかで、よかれと思って作られていたカデンって、
もしかしたら同じ匂いを持っているのかもしれません。
がんばれ、±0。
まけるな、±0。
これからも買うぞ。俺が買う。