ポエトリー・デザイン

インハウスデザイナーが思う、日々の機微。

考えごと。

2015年11月10日 | blog


小学校に入った娘には毎日宿題がある。

めんどうくさいので、ちょっとやると「あと何やればいいの!?」と聞いてくる。何やればいいのじゃないよ、あと宿題何あるか、自分でしらべなよ! と言って、連絡帳を確認させる。まったく、自分で考えなさいよ。

さいきん娘がやりたがる遊びがある。外出先で親としっかり手をつないで、目をつぶって歩くのだ。出かけた先が買い物とか、つまらない時ほどやりたがる。危ないからやめろと言っても、あまり聞かない。

ああ、自分で考えるのがめんどうなんだな、と思う。やらなきゃならないことがあるのはわかっていて、目の前の問題を片付ける意識もあるけど、とにかくそれ以上のことを考えたくないのだ。考えるコストを最小限にしたい、という意識の表れ。

なんというなまけもの…

しかしその性格には覚えがある。私自身が、できるだけ考えるコストを下げたいと願っている。
例えば、新しい事務処理を覚えなくてはならない時は、歯を食いしばって自分の運用に100%最適化したマニュアルを作り、あとは心を無にして手順を辿るだけにしている。

正確に言うと、考えること自体が嫌なわけではない。
自分の興味のあること以外は考えたくないということだ。

考えることは好きだ。娘も、「いま考え事してるの♡」と嬉しそうに言うことがよくある。そして、自分の興味のないことは考えたくないし、考えられない。

うう、DNA…

ま、面倒臭がりほど工夫すると言うし、その性格が良い方にはたらくことを祈るばかりである。何だかんだ言って、我慢して私はマニュアルを作っている。それさえできれば大丈夫なのだ。

きゃりーぱみゅぱみゅ。

2015年10月18日 | blog


すごくファンというわけではないけれど、一度行ってみたいよねー、と思っていた、きゃりーぱみゅぱみゅのコンサートに行ってきました。この行動力がうちの奥さんの素晴らしいところです。

クレイジー・パーティ・ナイトというコンセプトで、前半はクラブ寄りのカッコいい構成、後半はヒット曲を連発で繋いでアゲアゲ(ライブの語彙が少ない。笑)。すごい完成度と様式美。いきなりバーン!うおおあの曲キターッ!となるイントロばかりで、3曲4曲ぐいぐい続けてやるので盛り上がること!

そしてちょっぴり体調の悪かった娘、最初は興奮してたものの、30分でぐったり、45分からアンコールまで爆睡でした…。爆音なのに爆睡。通路でずっと踊り狂ってぴょんぴょん跳ねてた3歳くらいの男の子を眺めながら、うーん娘もああなるはずだったのだが…と思うものの、ま、アンコールの2曲だけはしっかり聞けたので良しと思うことに。

幼児連れの家族がすごく多くて、あー親が見せたいアイドルなのねーと実感。ウチもそうだ。

抜かりない奥さんが二階席の階段上、という絶妙の席を取ってくれたので、前にお客がいなくて立たずに見られて助かりました。年齢的に座って見たいし、娘寝ちゃったし。

すごくファンというわけではないけれど、一度行ってみたいよねーなシリーズ、今度はPerfume行きたいなぁ。

フジロック2015。

2015年08月08日 | blog


フジロックに行ってきました。とても不思議な、「縁」としか言いようのないご縁が重なり、いささか神妙な気持ちを抱えて行ってきました。

のどかな盆踊りも、最初の起源はきっと、誰もが熱狂する「最高にアガるライブ」だったに違いない。この苗場の会場もあと100年したら今の盆踊りみたいになるのでは…祝祭の起源。本物の「ハレ」の非日常。

カラフルなウエアをまとった沢山の老若男女が、よく晴れた山の斜面を黙々と同じ方向に歩いて行くさまは、涅槃に向かうようでした。



お目当てのライブはなんだか神々しくて、いろいろな想いと、それをズバーン!とぶっ飛ばす弾けたサウンドに、涙がボロボロこぼれました。

子連れで行くにはいろいろ大変でしたが、万難を排して向かう人がいるだけの価値がある、ということは、よぉくわかりました。

テスト・ドライバーのスキル。

2015年07月24日 | blog
映画『デイズ・オブ・サンダー』で、トム・クルーズ演じる天才レーシングドライバーが、ロバート・デュバル演じるメカニックにキレるシーンがある。

「あんたはいつもあっちを削る、こっちをいじると言ってるが、そんな話オレにはさっぱりなんだよ!!」


***


昔読んだ自動車雑誌で、自動車メーカーのテスト・ドライバーの話があった。

いわく、テスト・ドライバーはテストを通じてどこに問題があるかを具体的に特定して、たとえばサスペンションのロワーアームのあの部分にこういう補強が必要、と具体的な改善手法も定義して、その場で自分で溶接とかまでしちゃう、という話だった。

早く走るレーシング・ドライバーと、製品開発をするテスト・ドライバーは、目的が違う、と。

テスト・ドライバーの評価というのは、すごくスピードを出したり高い負荷をかけた限界評価…というイメージがあるが、実際には「一般ユーザーの使われ方」をシュミレートする事が重要なのだと思う。

構造まで深く理解した上で、何も知らない一般ユーザーの感覚も維持し、問題に対して具体的な改善も実行できる。これって開発者としては理想の姿だ。

この二律背反を両立させるという意識が、インハウスデザイナーには足りないと思う。一般ユーザーの感覚はすぐにユーザー調査で…となってしまうが、その前に自分が評価できる目を持つべきだろう。

そのスキルは意識して磨くべきだと思うし、関わった製品は可能な限り自分で使い込む事に私がこだわり続けているのもそういうことだ。

デバイスを分ける。

2015年07月13日 | blog
Apple Watch 、すっかり落ち着いたところで。

発売の勢いで買った人は、自然に馴染んでそこそこ満足感もあり、様子見で買わなかった人は、結局決め手もないので買わないまま、という感じでしょうか。

最近気付いたことがひとつあるので書いておきます。

毎日iPhone使っていて、でも実際の用事はいろいろですよね。先日ちょっと書き出してみたんですが、

自動車保険の更新案内メールが来る→そのままリンクから手続き→家族へのギフト選びと注文→読みかけの本の続きすこし→娘が作ってる工作の写真を撮って→写真を送る

色々やってるんですが、はたから見ると、ずっとiPhoneいじってるだけの人です。

そして思いました。これ、すこし、「デバイス」を分けたほうがいいんじゃないか? って。

以前、Kindle Paper Whiteを買った時も同じようなことを考えました。何でもできるiPadだと集中して本が読めないから、専用機がいいんじゃないかと。(結局、動きがもっさりしすぎて使わなくなってしまいましたが)

Apple Watchも、何でもできるiPhoneから「デバイスを分ける」モノじゃないかと。

通知がチーンと腕時計に来るのは、大きいiPhone6plusをぐわっと取り出してロック解除して見るよりスマートです。iPhoneとiPadの関係も、用途とシーンで細かくデバイスを最適化していたと言えます。

込み入った用事や表現などのアウトプットは、結局キーボードと大画面のパソコンでやった方が効率が良かったり。

「何でもできる」と集約されたデバイスが、心地よさのために、また分解されていく。Apple Watchは、そのキッカケなのかもしれません。