BRING UP

①子どもを育てる。養育する。しつける。②問題などを持ち出す。提起する。

即戦力の人心術

2009年05月30日 | Weblog
「即戦力の人心術」
マイケル・アブラショフ著  三笠書房発行  1500円

訳者のことば     吉越浩一郎
  ・今すぐ「成果」が欲しい人へ、100万ドルのテキスト

 わずか6カ月で大逆転を遂げた 最強の「人心術」
      
「あの人の言うことなら、なぜか素直にしたがうことができる」
 そんな人が身のまわりに一人や二人いないだろうか。誰もが知りたい、彼らの魅力の秘密がわかるのがこの本である。
 本書では、著者が「海軍で一番下のダメ軍艦」とレッテルを貼られていた船に新任艦長として乗り込み、同じスタッフ構成のままでありながら、短期間で 「全米一」と評価されるほど優秀な船に立て直した方法が語られている。
 その秘訣は、そこで働く人々の心を理解し、尊重し、彼らとの絶対の信頼関係を構築したことにあった。本書では、トップの実践した効果抜群の人心掌握術と、問題発見の視点が、具体的な事例でまとめられている。

「こんな手があったのか!」

 一つ具体例を紹介すると、著者・アブラショフは艦長室で報告を待っているのではなく、積極的に艦内を歩きまわって意見を吸い上げる。これは簡単なようであって、現実にはなかなかできることではない。昼食時に行列ができていれば、みなと同じようにその最後尾に並び、同じテーブルで食べる。それまでの上司たちが、自分たちだけで集まって食事をしていたのとは大違いだ。この結果、現場の実情を知り、現場で働く人たちの考えを正確に把握して、適切な指示を出せるようになる。
 これは、経営論で言うところのMBWA(マネージメント・バイ・ウォーキング・アラウンド=経営者が現場を歩きまわること)の最もわかりやすい例であると同時に、「人心をつかむ」という視点からも極めて重要な意味を持っている。
 この他にも、「仕事の『ゴール』は示すが、『やり方』は部下に任せる」「提案に対するフィードバックは即座に、オープンにする」など、人の心を動かし、やる気にさせるための原則が目白押し。しかもその方法はユニークで、私自身、「こんな手があったのか!」と思わず膝を打つことばかりだった。

 組織で仕事をするすべての人たちの役に立つ本

 本書は、あなた自身が主人公である艦長となって考え、行動していくように読めばより効果的だ。それだけで仕事上の問題点の見つけ方、解決法、信頼関係のつくり方をはじめ、仕事の総合能力が身についてしまう、すべての企業人にとっての貴重なマニュアルである。
 あるときは厳しい上司であり、あるときは腹を割って話せる同僚であり、あるときは思いがけない提案をして上司の目を見張らせる――自分一人だけが評価されるのでなく、組織全体が驚くほどの力を発揮して大きな成果につながる。
 閉塞感が漂う現代の社会を変えていくためにも、参考にできる教訓が詰まった本書。読者のみなさんがここから何かを学び、行動を起こすことにつながるのなら、訳者としてこれほどうれしいことはない。


 サブタイトル「部下を持つすべての人たちに役立つ」まさにこの言葉どおり、そして「組織を預かる人にも役立つ」と付け加えたいと思う。
 この本を読み始めてから子どもたちとのかかわりにも当てはまることが多々あることに気付いた。当然といえば当然かもしれない。作者はアメリカ海軍の駆逐艦艦長、そして310人の乗組員としての部下。こちらはサッカーチームの監督と選手、その選手の中には8年目のベテラン?、もいれば数週間という新人もいる。どうすれば個々のスキルがアップするか、どうすればチームとしての能力が向上していくか。少年スポーツ指導者の指南書になるとは思わなかった。
 人を育て、チームを変える。もっと早くこの本に会いたかった。
 そういえば家庭もある意味で組織、うちの組織改革には艦長交代が一番てっとり早い手段なのだろうか???

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