タイトルと映画化時の謳い文句から、エヴァンゲリオン的な超絶SFを予想していたら、全く違いました。大阪人の心意気と青春の甘酸っぱさが味わえる爽やかな一編です。
東京から来た会計検査院の調査官3人が検査を進めていく様子に、大阪の空堀中学校に通う大輔くんの決意とそれをめぐる葛藤が平行して描かれるのですが、東京人の目を通して「大阪」が鮮やかに活写されます。「坂道を抱いた」からほり商店街に巳さん伝説の榎木大明神、何階建てかわからない不思議なビルに、もちろん、それらを見下ろす大阪城も。そこに住むのは一途で純情、時にちょっと「ええ加減」な大阪人。そうそう、大阪ってこういう街だよねと読みながら何度もうなずき、嬉しくなりました。
物語のクライマックス、「その日」のために、大阪中の男性が大阪城を目指すのですが、そこで描写される現代の大阪の風景は圧巻です。天王寺の公園に新世界、大正区のぽんぽん船に阪堺のチンチン電車、そしてあちこちで目にする「瓢箪」。大阪ワンダーランドに迷い込んだ興奮と、市井の人々が受け継いできた太閤様への愛情で胸がキュンキュンすること間違いなしです。
読み終えて行きたい場所がたくさんできました。いずれこのブログで紹介したいと思います
【読んだら行ってみよう!】
榎木大明神
からほり商店街
中央公会堂
【読んだら乗ってみよう!】
阪堺電車
大正区のぽんぽん船(千本松大橋)
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