入り口には「梅川忠兵衛ゆかりの淡路町」の碑が。
船場付近をうろついていて、思いがけず近松ゆかりの場所を発見しました。
正確には、近松作品の舞台・淡路町に立つ老舗『吉野すし』さんです
淡路町は御堂筋線淀屋橋駅からほど近い、芝川ビルと同じ筋沿いの通りで、『冥途の飛脚』に登場する飛脚問屋亀屋があったところです。
大和の百姓から養子になった亀屋の世継ぎ・忠兵衛が新町の遊女・梅川と深い仲になり、身受けのために公金に手を付けてしまい・・・という心中物です。
浄瑠璃や歌舞伎(『恋飛脚大和往来』)で有名なのは何といっても預かった金の封を切ってしまう『封印切り』と、梅川とともに逃げる途中、実父の様子を見に立ち寄る『新ノ口村(にのくちむら)』の段ですね
余談ですが、先代の仁左衛門の新ノ口村が絶品と聞いて観るつもりが、私が行く2日ほど前に仁左衛門丈が花道から落ち! ケガで休演。当時、白内障か何かで視力が相当衰えていたそうで、その後、舞台を直接拝見する機会がないまま亡くなり、とても残念だったことを覚えています。
ちなみに淡路町が登場する見せ場は、公金をまっすぐ蔵屋敷へ届けに行くか、その前に梅川の顔を見に行くか逡巡したあげく、羽織が脱げ落ちるのも気づかずそそくさと越後屋へ向かう「羽織おとし」の段です。
今回、これを書くに当たって現代語訳にざっと目を通してみました。客観的に読んでるうちは「何やってんだっ!」と忠兵衛の頭をはたきたくなりますが、土にまみれた素朴な暮らしから生き馬の目を抜く活気の大都会へやって来て、見たこともないようなきらきらした女の人を見たら・・・まあ無理もない・・・ところもあるかもしれない
さらに原文を拾い読みしていると、心地いいリズムの語り口で細かなやりとりを描写されると、不思議に感情がかきたてられ、ああ、わかるなあ(笑)、と共感してしまうのが近松の凄さです。
そんな場所に立つ「吉野すし」は創業・天保12(1841)年! の超老舗。大阪らしく箱寿司が有名みたいです。本当はいただきたかったのですが、飛び込みで入るには敷居が高く今回は断念^^;
体勢を整えて後日お邪魔したいと思います
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