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ぶらっとJAPAN

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田辺三菱製薬資料館

2016-09-27 23:27:41 | 大阪

天秤がたくさん。

 

最近、くすりの道修町に再び興味がそそられています。という訳で田辺三菱製薬資料館に行ってきました。

きれいな本社。

2007年に田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併して田辺三菱製薬となった折に建てられた本社はまだ新しく、このビルの2階にある資料館もとてもキレイです。入場は無料ですが、事前にネットで予約が必要です。

創業当時の軒下看板。

 

田辺製薬は、1678年徳川家綱の時代に開業、日本最古の製薬会社で、世界最古のドイツの製薬会社メルク社に遅れることたった10年だそうですから、400年近い歴史があります。

はじまりは「たなべや薬」という合薬の振出薬(薬を布袋に入れてお湯の中で振ってエキスを抽出する)で、元々は戦に携帯する「陣中薬」だったそうですが、滋養があるということで産前産後にのまれたんだとか。確かに看板の右側に平仮名で「さんぜんさんご」と書いてあります。とても良く効く薬で、後に禁裏御用(今で言う宮内庁御用達)になったそうです。

真ん中の赤い印が現在の田辺三菱製薬本社の所在地ですが、初代の開業は土佐堀川付近でした。中買株仲間(薬の独占販売をしている)に加えてもらうために道修町に店舗を借りて移り、11代目の時に晴れて自分の店を持てるようになりました。こちらの資料館では当時の建物が再現されています。

張り出した連子格子。

飾り櫃が置かれている縁台は跳ね上げ式で、店じまいの時にはぱたんと閉じて収納します。飾り櫃にある五の字は店主五兵衛から取ったもの。商い中は、宣伝を兼ねて置かれていたそうです。連子格子も含め、これらはすべて関西の商家の典型的な造りで、そういう意味でも興味深い建物です。

写真には入り切りませんが、2階もあります。いわゆる白塗りの虫かご窓です。間口は4間、なかなか立派な店で、昭和まで使われていました。空襲では焼け残ったものの、その後、漏電で燃えてしまったとか。もったいない・・・。

提灯は大正期のもの。

大正頃の道修町。帽子を被った男の子の後ろが田辺製薬だそうですが、ちょっとわかりづらいですかね^^; ちなみに一番手前にちょこっと写っている建物は空襲も生き延び、なんと現存してます!

以前、このブログにも書きましたが、江戸期の道修町はいわゆる薬種問屋が軒を連ね、薬の原料となる生薬を扱っていました。

とまあ、ここまで資料館のガイドの方が懇切丁寧に説明をしてくださいまして(しかもこの時は他に見学者がおらず、独り占め状態^^)、その後ビデオを拝見。店主がアニメーションで登場し、店の中で説明してくれるという体で進んでいくのですが、なぜかやたらと猫が通る(笑)。当時は猫が多かったんでしょうね。

大きな節目は明治時代、それまでの和漢薬から洋薬の輸入へと転換を図りました。きっかけは薬とは違いますが、清酒の防腐剤だったそうです。というわけでその後の展示室では洋薬が紹介されています。

キナポンとは凄い名前 

昔は薬にポンつけるのが流行ったのでしょうか。ヒロ○ンとか???

ちなみにこれはキニーネが有効成分です。キニーネはマラリアの特効薬だそうですが、日本でそんなマラリアとか流行ったんでしょうか。何に使ったのでしょう?

結核の特効薬ニッパス。

グッズ好きにはたまらない天秤秤。当時最高の精度を誇りました。

すごい数です。格闘の跡が見えるなあ・・・。

看板は当時の大事な広告塔。たくさん展示されていました。

ほかにも、貿易許可の朱印状から薬種仲買仲間人数帳に生薬の辞典、はては岩崎小弥太(岩崎弥太郎の甥)の直筆芳名帳など歴史を感じさせる興味深い資料がずらり。こういうのを全部きちんと取ってあるのは、生き馬の目を抜く製薬業界で生き残ってきた製薬会社ならではの几帳面さです。

こうして眺めていると、薬の開発によって様々な病気が克服可能になったことを再認識。結核なんて、今は治って当たり前です。

さらに現在、未来の薬についての部屋があったのですが、こちらは一気にバーチャルでITな世界になってしまったのでパスしました

コンピューターはめんどくさいです・・・

田辺三菱製薬さんに限らず、こうした貴重な資料を無償で展示しているところに薬屋の心意気を感じます。中でも、施設の充実度は薬の資料館を除けば、田辺さんが一番かと思います。

事前予約がちと面倒ですが、いつかまた行ってみたいと思います

(その時は未来ルームも!)


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