ぶらっとJAPAN

おもに大阪、ときどき京都。
足の向くまま、気の向くまま。プチ放浪の日々。

木屋町通 ~おまけ~

2015-10-15 22:17:10 | 京都

現代の木屋町。

江戸時代から遊興の地でもあった木屋町通には、飲食店がたくさんあります。イタリアンや今っぽいお店もたくさんあったのですが、魅かれたのがこのお店。そこはかとないいかがわしさ(失礼)が人間臭くていい味出してます。

『高瀬舟』とあんまりそぐわない写真なので、オマケでアップです

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小説『高瀬舟』の舞台 ~京都・木屋町通~

2015-10-15 22:12:42 | 京都

京阪・祇園四条駅からほど近いところ。

幕末の志士たちの隠れ家があり、それゆえ数多い殉難の地としても有名な木屋町。通りに沿って流れる高瀬川は、森鴎外の小説『高瀬舟』の舞台でもあります。

こう聞くと、現代人の感覚からしたら、つい巨大な運河を想像しがちですが、ご覧の通りのささやかなもの。水深も浅いです。そもそも「たかせ」とは曳舟の名称で、その舟が通るから「高瀬川」と呼ばれているんだとか。角倉了以が開削したこの川の水深にあわせ、浅く平べったい舟だったそうです。

江戸時代、高瀬川は材木などの物流用運河でしたが、小説『高瀬舟』によれば、遠島を申しつけられた罪人が大阪へ回されるルートでもありました。別れを惜しむ親族と、見張りの同心が一緒に乗り込み、夜どおし川を下るのです。

もし陸路なら、踏みしめる一歩一歩に気を取られ、余計なことを考えずにすむのかもしれません。けれど、ゆったりと下っていく舟は、自分は立ち止まっているのに周りの景色が流れていくために、ひどく内省的にならざるを得ない気がします。しかも通り過ぎるのは、自分が慣れ親しんできたはずの世界。闇の中、かすかに浮かびあがる世界はきっと全く違って感じられ、来し方を振り返り、犯した罪を通して自分の存在の根源を問い直す、そんな旅だったのではないでしょうか。

小説『高瀬舟』は、「財産」という欲望と「安楽死」について書かれています。実際にあった話を基にしているそうですが、櫓がきしみ、微かな水音だけが響く暗い川に浮かぶ静かな舟の上だからこそ、こうした深いテーマが際立ち、心に沁み込んでくる気がします。

今回は祇園四条側から歩いたので、八之舟入址、七之舟入址しか見られませんでしたが、一之舟入(荷物の積み下ろしや船の方向転換を行うところ)は現存して、高瀬舟も復元されているそうです。また行くことがあればぜひ高瀬舟の写真を撮りたいと思います。 

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