昨日から続きます。
母屋から細いL字型の通路が中庭を囲むように伸びていて、その先に陶房と登り窯があります。
京都の五条坂付近はそもそも、優美で繊細な陶磁器・清水焼で有名なところです。そんなところに何故、荒々しささえ感じる作風の河井寛次郎が居を構えたか不思議に思った人が尋ねたところ「窯があったから」とごく明快な答え(『河井寛次郎の宇宙』河井寛次郎記念館編)。こだわりのなさが寛次郎といえば寛次郎らしいのかもしれません。
当初は共同の窯で、寛次郎はもっぱら2番目の窯を使っていました。
2番目の窯にはK.カワイと書かれた板が。
陶房。
窯と陶房の間は展示スペースになっています。いろいろな形の椅子が楽しい。
陶房前の藤棚。寛次郎はここで作業をするのが好きだったとか。
中庭はそれほど広いわけではありませんが、こっぽりとした感じがとても落ち着きます。鳩も居心地がいいらしく、人間が近寄っても全然逃げません。
だから、こんな近くで写真が撮れちゃう(笑)
縁側。この家はどこに行っても楽しそう。
そして今回のお目当ての一つがこれ!
新築祝いに贈られた島根・大根島の丸石です。
これはどうやってこんなに丸くなったのでしょうね。自然の力か、石工さんの技か。いずれにしても素晴らしい球体です。
丸い石が欲しいと言ったのは寛次郎です。その日の気分で、ごろごろ転がして置き場所を変え、最終的に今の位置に落ち着いたとか。
それにしても大きい窯です。精魂込めて成型した作品をここに並べ、偉大な火の業にその行く手を委ねる。それは神聖な儀式のようなものだったのかなと思います。そのうち、巨大なエンジンに見えてきました。この家全体が巨大な船で、寛次郎は芸術という宇宙を旅している。そんな気がします。
またしても長くなってしまいました。明日は、寛次郎作品のご紹介です。