犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

ジャカルタ便り~華僑

2007-11-17 23:02:04 | その他アジア諸国便り
 インドネシアは貧富の差が激しい。人口2億数千万の大部分が,一日2ドル以下で生活をしているそうです。

 そのような層が多いことは,街中を車で走っているだけでわかります。渋滞している車を縫うように,物売りや乞食が歩き回る。子どもの乞食,赤ん坊を抱いた乞食が来ると胸が痛みます。

 雨が降ると「傘小僧」というのが現れるらしい。大きい傘を貸してお金をもらい,自分はずぶ濡れになりながら,そのあとをついてくる…。

 裕福な家には,たいてい貧しい田舎から出てきた住み込みのメイドがいる。これは,タイも同じかな。
 韓国も10年前まではまだそのような人たち(食母シンモ=女中)がいたそうです。最近は,ドラマでしか見ない。

 街中にも,まずしい身なりの人々がたくさんいます。
 でも,なぜか悲壮感は感じられない。これは,やっぱり暖かいからですかね。家がなくて,野宿しても凍え死ぬことはない。お腹がすいても,そこらへんになっているバナナとか,さまざまな果物を食べれば,飢え死にすることはない。
 その点,北朝鮮のような寒い地方の貧しさは悲惨です。

 また,インドネシアは多民族国家と言われます。広い国土,無数の島々にさまざまな民族が住んでいて,言語は500以上あるという。
 最大の民族はジャワ系のインドネシア人。しかし,この国の経済を握っている少数民族がいます。それが華僑です。華僑は人口の3.5%を占めるにすぎませんが,経済の70%以上を支配しているといわれます。

 今回の出張で,それを実感しました。ある上流階級の行事に参加したのですが,参加者の70%以上は中国系。資料(→リンク)によれば,インドネシアの華僑/華人の流入ルートは時代によってさまざまで,必ずしも全員が裕福であるわけではないそうですが,私がジャカルタで見た華僑はおしなべて金持ちでした。

 華僑の資本家の下で働く,現地系労働者というのがインドネシアの一般的な光景。3K労働はむろんのこと,小売り等のサービス業にも中国系は見当たりません。

 華僑の子どもたちは,高額の私立学校やインターナショナルスクールに通い,いずれはアメリカやシンガポールに留学する。

 インドネシア建国後,華僑の力を恐れたスカルノ大統領は,公然と華僑迫害を行い,法的にも各種の制限を加えたそうです。しかし,華僑の経済力は無視できない。IMF危機などを経て,華僑の協力を求めるために宥和政策に転じ,今日の階層社会ができあがったようです。

 これを,ジャワ系インドネシア人たちは苦々しく思っているものの,なかばあきらめの境地にいるようです。かつては,華僑に対する暴動が頻繁に起きたそうですが,華僑のほうもあえて政治に口を出さない(出させてもらえない?)ので,経済活動に専念。最近では目立った社会不安はありません。

 インドネシア経済を牛耳る華僑…。

 この事実が,ウィキペディアに触れられていないのが不思議です。

 転じて,韓国はどうか。韓国の華僑差別については,前に触れたことがあります(→リンク)。インドネシアの現状を見ると,朴大統領の弾圧政策は先見の明があったのかもしれません。

 もっとも,最近は盛んにチャイナマネーを呼び込もうとしているようですから,この先どうなるかはわかりませんが。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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韓国の場合 (スンドゥプ)
2007-11-18 08:38:53
華僑を迫害した結果、ちゃんとしたチャイナタウンのない珍しい国になりました。
また、「中国料理がおいしくない」のもそのせいでしょう。
もっとも外国料理一般があんまりおいしくないですが >o<
返信する
タイの韓国料理 (犬鍋)
2007-11-20 00:23:40
は,なかなかいけました。

後で改めてアップします。
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