昨年夏の長野出張の折、訪れた長野駅近くの『カレーショップ山小屋』。 そこの名物がこの『納豆カレー』です。お店では納豆が別の容器で供され、少しずつカレーと混ぜながら食べるのですが、こちらはレトルトということで、あらかじめカレーに混ぜられてレトルトパウチに封入されています。納豆は水戸納豆ではなく同じ長野県下の川中島納豆を使用。同店のHPによれば、 ------------------ 大粒だと納豆の主張が強すぎますが、小粒だとカレーとの絡みが良いのです。カレーと納豆と野沢菜のハーモニー「納豆カレー」は想像以上に奥深いカレーです。 ------------------ とあり、カレーとのマッチングを重視したがゆえのチョイスだということが分かります。ちなみレトルトの方には入っていませんが、お店の納豆は野沢菜入り。地域の特産品を巧みに採り入れ名物へと昇華させるという、ご当地カレーの本質を突く意欲作だと言えるでしょう。 いつものように10分と長めの湯煎を行い、お気に入りのカレー皿に盛ってできあがり。 レトルトの封を破った瞬間、カレーの香りを押しのけるように納豆の匂いが立ち上ります。納豆は嫌いではないですが、カレーの香りと混ざるとやや違和感を感じますね。ささ、さっそくいただきましょう。 「おやっ、こう来るか」といった意外性はなく、普通のレトルトカレーに納豆の風味が加わった、予想通りの味わいです。豆とカレーは相性抜群だと言われていますが、納豆だとその定説通りとはいかないようですね。カレーの風味を納豆の発酵臭がスポイルしてしまうのと同時に、納豆の粘り気がルウの食感を変えてしまう。プレーンなカレーを好む自分にとっては、やや苦手なカレーだと言わざるを得ません。逆に、納豆好きな方にとっては、これほど愛すべきカレーはないことでしょう。ここら辺は完全に嗜好の問題だと言えますね。 強い個性を放ち、地域の特産品を主役に据えるという、ご当地カレーの鏡のようなカレー。琴線に響く響かぬは別にして、とても素晴らしいカレーだと思います。こうしたカレーが旅をより魅力的なものとしてくれるのでしょうね。 |
仙台といえば牛タン。 その仙台の数ある牛タン専門店の中でもとりわけ人気の高いお店が仙台を中心に11店舗を展開するレストランスタイルの牛タン専門チェーン『伊達の牛タン』。そんな『伊達の牛タン』が自慢の牛タンをふんだんに使って作り上げたのがこのカレーです。お店の名物メニューのレトルト版ということで、どんな味なのかとても楽しみです。 いつものように「10分と長めの湯煎を…」といきたいところですが、実はこのカレー、400gと内容量が多く、優に2~3人前のボリュームがあります。ということであらかじめ食べる量だけをフライパンに空け、風味が飛ばないように残りは冷蔵庫で保存しておくことにしました。 風味が飛ばないよう、フタを締めて弱火で3分ほど加熱。十分に火が行き渡ったらお気に入りのカレー皿に盛りつけてできあがりです。オレンジ色の鮮やかな色合いのカレー。実に美味しそうじゃないですか。さっそくいただくことにしましょう。 おお、思った以上にスパイスの香りがしっかりと立っていますね。うっすらとトマトの酸味も感じられ、キーマカレーらしい清涼感もあります。辛さは一般的なレトルトカレーの辛口レベルで、全身から汗が噴き出すような過激さはありません。これならば辛いの苦手な人でもなんとか食べられるんじゃないでしょうか。また、トマトの酸味が効いていることもあって、パスタソースとして使っても好相性でしょうね。 ということで夢中で食べ食べあっという間に完食です。仙台を代表する畜産品である牛タンを主役に据えたいかにもご当地カレーらしい一袋。仙台に行った人は要チェックですよ(笑)。 |
お世話になっているクライアントの、そのまたさらにお世話になっている営業氏の送別会で行った本郷の中華料理店です。営業氏曰く、「鹿肉や羊肉を食べさせてくれる中華版のジビエ料理店」とのことで日頃から贔屓にしているお店とのこと。しかしながら、この日は食に保守的な人も多数参加していたので、そうしたクセのある料理を外したコースをいただきました。 このコース、本当は前菜やご飯もの、麺類、肉類、デザートなどかなり盛りだくさんなのですが、例によって周囲の人々との会話に夢中になりすぎ、半数近くの料理を撮り損ねてしまいました。彩り美しい料理ばかりだっただけに実に残念。精進せねば(笑)。 ホタテとブロッコリーの炒めもの。ホタテやブロッコリー以外にもイカやフクロダケやギンナンなど、珍しい具材がたくさん入っていてとっても美味。ホタテ、イカ共にプリップリ。ご飯が欲しくなる味です。 大量の唐辛子と四川花椒が振りかけられた四川風の鳥唐揚げ。ビリビリと痺れる四川花椒の麻(マー)と、大量の唐辛子による辣(ラー)の刺激2重奏。激辛好きにはたまりません。 中華風のエビマヨ。プリプリの芝エビに甘めのチリソースがブレンドされた特性マヨネーズがよく合っています。本当に美味しかった。 いずれの料理も大変美味しかったのですが、中でも逸品だったのがこの餃子。肉の割合が多くてとってもジューシーな餃子で、「さすが!」と唸らざるを得ない美味しさでした。 * * * 聞くところによれば、ランチメニューに中華風のカレーがあるとのこと。次回はお昼時に訪れ、ぜひ、その中華風カレーを味わってみたいですね。 |
下関名物、“ふく”を使ったカレーです。 魚類の中でもひときわ力強い弾力感を持つふく。他の魚とは違って、少しばかり煮込んだ程度では煮崩れない”身持ち”の良さと、どんな味付けとも相性の良い淡泊さでカレーとの好相性が予想されます。さて、どんな味を愉しませてくれるか。 いつものように長めに湯煎を行い、お気に入りのカレー皿へ。 う~ん、いい香りです。野菜などは完全に煮溶けていて具体的な形を確認することはできません。代わりにところどころに“ふく”らしき肉片が浮いているのを確認できます。 やや甘みがかってマイルドなレトルトカレーらしいテイスト。ですが思った以上に濃厚なコクがあり、トマトペーストらしきかすかな酸味も感じます。主役の“ふく”ですが、淡泊なだけにカレーの風味を一切スポイルすることなく、静かにこのカレーと調和していますね。一部フレーク状になってしまっている部分もありますが、“ふく”らしい歯ごたえのしっかりした切り身が4~5片も入っているのがうれしい。 もう一押しパンチが欲しい気もしますが、カレーと“ふく”、どちらの主張も過ぎることがなく、全体的にほどよい調和具合。なんと言ってもレトルトカレーで“ふく”を食べられるってのが、ご当地カレーらしくていいじゃないですか。これだからご当地カレー探求はやめられません。 |
長崎を代表する景勝地、雲仙のご当地カレーです。「雲仙」と聞くと、20年前の痛ましい雲仙普賢岳の噴火災害が頭に浮かびますが、実は日本で最初に国立公園に指定された景勝地だったりします。そのあまりの美しさに感激した“かの”シーボルトさんが著書で紹介したことから、この雲仙は古くより外国人の避暑地として密かな人気を集めていたそうです。 そんなオランダをはじめとしたヨーロッパ諸国と関係が深い雲仙岳だけに、地ビールづくりも盛ん。このカレーは、そんな地ビールを供する雲仙を代表するビアホール『雲仙旅の麦酒館』でオープン当時からの人気メニューであるカレーをレトルト化したもの。自分たちの身近にもっとも豊富にある地ビールで具材を煮込んだコク深いカレーとのことで、『雲仙旅の麦酒館』のWEBサイトには、レトルト化に至るきっかけがこう記されています。 --------------------------- 雲仙旅の麦酒カレーはもともと雲仙の地ビールレストラン「雲仙旅の麦酒館」のオープン当時からの人気メニューでした。初めて麦酒館に食事に来られた方が、メニューを見て注文するのに少し勇気がいる麦酒カレー ”ビールで煮たカレー?苦いの?酔っぱらうの?” 旅の土産話のタネに恐る恐る注文してみて、食べてびっくり美味しい本格派のカレーでした。 こんな意外性と美味しさで密かに観光客に人気を得ていた麦酒カレーですが、ある日従業員も驚くような事が起こりました。 麦酒カレーを食べていた観光客の方が「このカレーを持ち帰りたい」と言われたのです。もちろん持ち帰り用の容器もないので丁重にお断りしたところ、お客様は「わかった。容器を買ってくる」と言いだされ、本当に近くの店屋からプラスチックの容器を買ってこられました。結局、お客様の情熱に押され特別に販売したのですが、その後確かにこんなに評判の良いカレーを雲仙でしか食べられないのはもったいないという話になり、平成13年8月の販売開始に至ったのでした。 --------------------------- ちなみにこの『雲仙旅の麦酒カレー』には、マイルドな「微辛」、やや辛の「中辛」、辛口の「プレミアム」の3種類があり、今回はもっとも辛い「プレミアム」をいただくことにします。いつものように10分と長めの湯煎を行い、お気に入りのカレー皿に盛ってできあがり。パッケージによるとビーフ、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンといったベーシックな具材に加え、近隣の島原産のヒラタケシメジも使っているとのことで、ハッキリとその存在を確認することができます。 まずは一口。 ビールがベースになっているだけあり、しっかりとしたコクが感じられますね。〈辛口〉とありますが、コク深さが勝っていて、さほど強い刺激は感じられません。子供さんや辛さの苦手な人でも問題なく食べられるレベルでしょう。印象的だったのが、ヒラタケシメジの存在感。シャッキリとした心地よい歯ごたえで、これが意外とこのカレーとマッチしています。傘よりも歯ごたえのある柄の部分の歯触りがたまりません。今度、自分でカレーを作る際、ぜひこのヒラタケシメジを使ってみようと思います。 ということで夢中で食べ食べあっという間の完食です。《プレミア》の名に偽りなく、確かにリッチな味わいを愉しませてくれるとっても美味しいカレーでした。機会があれば、ぜひ、『雲仙旅の麦酒館』を訪れ、自慢の麦酒カレーを味わってみたいですね。 |
広島県の名勝地、帝釈峡のご当地カレーです。驚くのはチキンのドラムスティックが丸ごと2本も入っていること。ゆえに、ご飯にかけたときのルックスは、レトルトカレーらしからぬ見事なものを見せてくれます。「これぞご当地カレー!」という感じで悪くありませんよね。 以前にもレポートしましたが、味の方は至ってマイルドで素材重視の味。これはこれで美味しいのですが、ここ最近、猛暑続きということで、できればもう一パンチ欲しいところ。ということでチリペーストを加えて激辛仕様へと仕立て上げてみました(腕によりをかけて作ってくれたメーカーさんには申し訳ないのですが……)。 徹底的に煮込まれているせいか、チキンドラムは簡単に骨と身が分離してくれます。地鶏だけにブロイラー臭さなどは全くありません。また、パッケージには、ゴロゴロとした野菜がふんだんに入っていますが、実際には形がなくなるほどに煮溶けていて、完全にチキンがメインのカレーとなっています。チキンカレーを愛する人にぜひ食べてもらいたいカレーですね。 |