プラネタリズム

ども、遊星です。世の中のもろもろを風景にして書き連ねる

ゲド戦記~感想

2006-08-24 18:59:49 | 映画・音楽
映画「ゲド戦記」、原作者がHPに批判的「感想」 (朝日新聞) - goo ニュース


「ゲド戦記」、率直な話、「ハウルの動く城」よりは面白かったかな。
多くの人がレビューしている通り、まずアニメ(作画、動画)のクオリティーが低い。テレビのアニメに毛が生えた程度だ。
まあ、吾朗監督の、初監督作品であり、習作ということでみれば、出来は決して悪くない。
ただ、スタジオジブリ作品としては、多くの人が期待を裏切られたんではないだろうか。

一番大きな問題は、主人公のアレンに感情移入できないまま、物語が進行し、そして終ってしまうことだ。原作者のアーシュラ・K・ル・グウィンさんも指摘しているように、映画の冒頭で、主人公アレンが父を殺す動機が、物語中で明確に説明されないことが原因だろう。
その他、唐突な挿入歌や、棒読みの多い声優の吹き替え等、気になる部分は多いが、ファンタジーものにありがちな「魔法使い」や「竜」などの存在が、かろうじて映画の見せ場をつくっている。


この映画は宮崎駿監督の「シュナの旅」が原案となっている。
「シュナの旅」は宮崎駿監督がかつて映像化を夢に見て、絵本形式で1983年に出版されたものだが、結局、同時期に連載していた「風の谷のナウシカ」が映画化された。今回はその「シュナの旅」をモチーフに、「ゲド戦記」を映画化したかたちだが、物語の世界感がいまいち描ききれていない感じがする。
そして、全体を見てみれば、既存のジブリ作品の焼き直しである、ということで話が終ってしまうんですよね。
宿命を背負って旅に出る「シュナ」の姿は、「もののけ姫」のアシタカに重なる。今回の「アレン」はその系譜になるわけだ。
また、「ゲド戦記」のゲド(ハイタカ)の超人的な存在と、語り部的な役割は、「風の谷のナウシカ」のユパに重なる。
さらには、「ゲド戦記」でのハイタカが鳥に姿を変えるのは「ハウルの動く城」のハウルで既出だし、主要人物が竜に姿を変えるのも、「千と千尋の神隠し」で既出である。
「ゲド戦記」中での他のキャラクターも、やはり過去のジブリ作品でどこかに出てきたキャラクターと重なり、常に既視感がつきまとう。つまり、新鮮味がないんですね。

長々ととりとめもなく書いてきたが、やはり人々が求めているのは、初期のころのジブリ作品の「つきぬけた面白さ」なんですよ。次回作に期待。


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1 コメント

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そっか (ミイバーです)
2006-08-25 01:07:54
このようなコメントがあると又、逆に「そっかならばやっぱりみてみようか」っと思っちゃいました
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