このステキなジャケットから連想するのは・・・レトロなフレンチ・ポップス。
で、その内容はと言うと、これまたキュートでスウィンギンな60'sテイスト溢れる、心地良いとびっきりのポップ・チューンが満載。
The Red Button(レッド・ボタン)のデビュー・アルバム 『She's About To Cross My Mind』。
The Red Buttonは、USロサンジェルスを拠点に活動するSSWのSeth Swirsky(セス・スワルスキー)とMike Ruekberg(マイク・ルークバーグ)のユニット。
デビュー作と言っても、このふたりのキャリアは長く、ふたり共もういいおっさんだ。
Sethは、Al Green(アル・グリーン)やTina Turner(ティナ・ターナー)、Rufus Wainwright(ルーファス・ウェインライト)など、数々のアーティスに曲を提供していて、中でも極めつけなのが、Taylor Dayne(テイラー・デイン)の88年の大ヒット・ダンス・ナンバー 「Tell It to My Heart」 を手がけたのも彼だったということを知った。
一方Mikeは、ミネアポリスで活動するRex Daisy(レックス・デイジー)というバンドを持っていて、XTCのPaul Fox(ポール・フォックス)がプロデュースしたアルバムもリリースしている。
4年前にふたりは出会い、メロディックなポップ・ソングに対する愛情にお互い共鳴し合い、一緒に曲を書き始め、このアルバムが生まれた。
ノスタルジックでちょっと陰のあるM-1 「Cruel Girl」 で幕を開け、続くアルバム・タイトル曲M-2 「She's About To Cross My Mind」 は、マージー・ビートのキュートなナンバーで、ふたりの息の合ったコーラスも絶妙。
個人的にもの凄くTeenage Fanclub(ティーンエイジ・ファンクラブ)を感じるM-4 「She's Going Down」 では、スライド・ギターがアクセントになっている。
メロディはもちろん、歌い方、コーラス・ワークに至るまで、ビートリッシュなM-6 「Hopes Up」。
軽快なアップ・テンポのリズムに乗って、可愛いオルガンの音が鳴り響くM-7 「Can't Stop Thinking About Her」 は、ブリッジのメロディ・ラインがとても切ないガレージ・ポップ。
ヴァイオリンのソロで始まるM-9 「Ooh Girl」 は、本当にこのおっさんたちが作ったのか?と思ってしまうくらい、キュートでセンチメンタルな曲。
そして、キラキラしたギターの音と優しいメロディのM-11 「It's No Secret」 で、最後を締めくくる。
1曲3分前後の優しくてキラキラした、甘くて切ない極上のポップ・ナンバーが全11曲、ほんわかした懐かしさが味わえる。
このステキなジャケットは、よく見るとロンドンのWaterloo(ウォータールー)にあるハンガーフォード・ブリッジで撮影されているみたいだし、セピア色の裏ジャケには、ダブル・デッカーとビッグ・ベンが写っている。
何もかもがとてもLAのバンドとは思えないくらい、60年代辺りのブリティッシュ・カラーがにじみ出ている。
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