普段は超夜型の私が、朝6時に起きて7時過ぎにホテルを出ると、道がしっとりと濡れていた。
昨夜、雨の気配なんかなかったのに、いつの間に降ったのか・・・。そして空はどんよりと雲が覆っていた。
日本でチェックした時の滞在中のお天気は、どの日も晴れだったのに・・・。
まずテルミニ駅横のバールに行った。どこへ行っても必ずあり、あの紅茶の国イギリスにさえ至るところにあるスターバックスが、この国には一軒もない。
なので、コーヒーを飲みながら歩いているイタリア人は皆無だ。
コーヒー、とりわけエスプレッソを好むイタリア人は、バール(Bar)と呼ばれるカフェで立って飲むのが習慣。
そして小さなカップの濃いエスプレッソにたっぷりお砂糖を入れ、甘いブリオッシュというクロワッサンを食べるのが朝食の一般的なスタイル。バールには、他にもデニッシュ系の甘そうなパンが並んでいた。
バールでの注文は、まずレジに行って注文と会計をし、もらったレシートをカウンターのバリスタに渡す。
「ボンジョルノ!」 とレジのおじさんに挨拶すると、笑顔で 「ボンジョルノ!」 と答えてくれた。
フォーム・ミルクがふわふわのカフェ・オレを飲みながら、この日の行動スケジュールを再度チェック。
私はガイド・ブックは持ち歩かない。行く順番にその場所をポケット・サイズの手帳に書き込み、コピーした地図に必要なことを書き込んでおき、歩きながらでもすぐに取り出せるようにポケットの中に入れておくのが常。
今回、旅行前の約1ヶ月の間にいろいろ勉強した。ヨーロッパを観光するには、いろいろ知っていた方が楽しいし、特にローマは古代の歴史が大きく絡んでくるため、短期間て3冊の本を読んだ。
中でも河島英昭著の 「ローマ散策」 はとてもためになる内容で、その本に書かれていたことを参考に、ローマの街を歩いてみるつもりだった。
そこで、まず最初にヴェネチア広場にバスで向い、カンピドーリオの丘を目指した。
途中、イエズス会の本拠ジェズ教会に立ち寄った。早朝の誰も居ない教会は、窓からの明かりだけで薄暗く、ひんやりとした空気がピンと背筋を伸ばしてくれた。
遺跡が集中するフォーリ・インペリアーリ通りに出て、通りの先にコロッセオを見ながら、英語読みのジュリアス・シーザーで知られるローマの英雄、ユリウス・カエサルのフォロなどを見たあと、ローマ市庁舎のあるカンピドーリオ広場に行った。
市庁舎は、古代ローマ時代にクーリア(元老院宮殿)があった場所。緩やかな坂道のような階段を昇り、時々振り返ると、朝もやに包まれたローマの街が見渡せた。
ミケランジェロが考案したその広場に立つと、河島氏の著書に書かれていた広場の風景が現実に目の前に広がった。


その後は、マルケス劇場の前を通ってテヴェレ河沿いを歩き、映画 『ローマの休日』 でお馴染みの 「真実の口」 があるところに行った。
大通りに面しているサンタ・マリア・イン・コスメディン教会の外壁に飾られている 「真実の口」 は、少し分かり難いところにあって、反対側を歩いていた私は一度通り過ぎてしまった。
狭い一角にあって、いつも行列が出来ているそうだが、朝早かったのでまだ5~6人しかいなく、じっくり眺めることができた。(タイトル写真)
海神トリトンの顔が彫られていて、実は元はマンホールの蓋だったというのは有名な話だが、こんな巨大なマンホールっていったい・・・。
バスでヴェネチア広場まで戻り、カンピドーリオ広場の横にあるサンタ・マリア・イン・アラチェリ教会に立ち寄ったあと、いよいよ巨大遺跡地帯に突入。
フォーリ・インペリアーリ通りからフォロ・ロマーノに入り、パラティーノの丘を通ってコロッセオまでまっしぐら。
紀元前の古代ローマ時代の建物の一部が、今でもこうやって残っているというのは本当に感慨深いもので、不思議な感覚にさえなり、果てしなく広がる遺跡群に圧倒されっぱなしだった。
フォロというのは、“フォルム” と呼ばれる政治・宗教の中心として置かれていた広場のことで、英語 “Forum(フォーラム)” の語源となっている。
フォロ・ロマーノやパラティーノの丘のことを説明していると終わりが見えないので、ここでは割愛するが、本当に素晴らしい眺めだった。


昨日行ったコロッセオは、夜とはまた違った顔で迎えてくれた。行列になっている入口では、「ROME PASS」 が大活躍。列をスルリと抜けて専用入口からすんなり入場。
中に入ると、目の前に飛び込んできたのは、とにかくデカいとしか言いようのない古代ローマの象徴。
円形闘技場として造られ、約5万人を収容できたそうで、東京ドームと同じくらいだろうか・・・。
外周が半分ほど削られているのは、その建材が中世に他の建築物に使用されたためで、虫食いや時の流れによる傷み具合は当然のことなのだが、やはり今現在もちゃんと残っているというのが凄い。


その後、コロッセオの北側にあるミケランジェロの 「モーゼ像」 があるサン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会に行ったが閉まっている時間帯だったので、お腹も空いてきたことだしと、教会近くのピッツェリアでピザを買ってランチ・タイム。
長方形にカットして二つ折りにして食べる本場のピザは、当然の如く言い様のない美味しさだった。
食べ終わった頃、それまでは時々パラついていた程度だった小雨が本格的な雨になったが、ラビカーナ通りを西に20分ほど歩き、サン・ジョヴァンニ・イン・ラテラーノ大聖堂に辿り着いた頃には雨も止んだ。
後編につづく。