売れない作家 高村裕樹の部屋

まだ駆け出しの作家ですが、作品の情報や、内容に関連する写真(作品の舞台)など、掲載していきたいと思います

地震

2013-04-19 11:44:55 | 日記
 最近地震が多発しています
 淡路島、三宅島、宮城県など、ここ1週間で、大きな地震だけで3回(余震などを含めれば、さらに多数)起きています。
 私が住む愛知県も、東海、東南海など、南海トラフに起因する巨大地震が懸念されています
 先月の中央防災会議で、南海トラフ地震が起きれば、死者最大32万人、被害額220兆円とのこと
 一昨年の東日本大震災と比べても、はるかに大きな被害想定です。
 まあ、あまり地震のことを書いて、恐怖を増幅してはいけないので、この程度にしておきますが、いざというときのために、せめてもの備えはしておかなければならないと思います。

 話は変わりますが、先ほど近所の書店に行ったら、私の『幻影2 荒原の墓標』、残っていた最後の1冊がなくなっていました。

 15冊置いてもらっていましたが、全部売れたようで、嬉しく思います

『ミッキ』第3回

2013-04-16 12:52:27 | 小説
 今回は『ミッキ』第1章第3節です。美咲が彼氏と出会う場面を描きます。


            

 私は少しずつ高校生活に慣れていった。最初は知らない人ばかりだったが、友達もできた。最初の自己紹介で、中学時代は美咲をもじって、ミッキと呼ばれていた、と言うと、高校でもそのままミッキが私の愛称となった。
 私たちの部屋がある学生寮からJR高蔵寺駅まで、歩いて一〇分足らず。春日井駅まで電車で二駅。そして春日井駅から鳥居松高校までは、徒歩一五分ほどだ。朝は電車の本数も多く、通学には非常に便利だ。高蔵寺ニュータウンには五万人近い人が住んでおり、鳥居松高校に通う生徒も多い。通学のとき、鳥居松高校の生徒が同じ車両に乗り合わせることがしばしばだった。
 その中で、同じ高校の制服を着た男子生徒が、私のことをときどき見つめていることに気がついた。
 背が高く、面長で、少し華奢な感じがする男性だ。鳥居松高校では、制服につけている校章の色で、学年がわかる。けれども視力があまりよくない私には、離れたところからだと、小さな校章がよく見えず、学年がわからない。たぶん上級生だと思う。
 私はいつも真ん中よりやや後ろ(多治見寄り)の車両に乗っている。朝は高蔵寺でほぼ満席になるので、いつも立っている。立っていても、たかだか五、六分だ。
 朝は七時半ごろの快速電車に乗る。その男性も、私と同じころ駅に着き、同じ乗降口から乗る。
 高蔵寺から春日井まで、快速電車だと、途中の神領駅は通過し、わずか五分ほどの乗車なので、最初のうちは気づかなかった。その人はいつも私から少し離れたところに立っているが、ときどき、私の方をそっと窺っていることに、ある日私は気づいた。

 四月下旬のある日、下校するとき、最近親しくなった岡島宏美と春日井駅まで一緒に歩いた。宏美の家は勝川方面で、電車は上りのホームから乗車する。私は下りなので、改札口のすぐ近くの階段のところで宏美と別れた。上り電車が先に来たので、宏美は電車がホームに入る直前、私に手を振った。私も手を上げて、挨拶を返した。
 そのすぐあと、多治見方面に行く下りの快速電車が来た。電車の中で文庫本を読むほどの時間もない。
「あ、ちょっと」
 高蔵寺駅の改札口を出たところで、後ろから声をかけられた。最初は自分が話しかけられたのだとは気づかず、そのまま歩いていったら、また「ちょっと待ってください」という声が聞こえてきた。
 後ろを振り返ると、同じ高校の制服を着た、背が高い男子生徒が立っていた。
 ときどき私の方を見つめていた人だ、とわかった。
「あの、鳥居松高校の人ですね」とその人が私に訊いた。
「はい、そうですが」と私は戸惑いながら答えた。
「僕は同じ鳥居松高校の二年F組の松本拓哉といいます」
 松本拓哉と名乗った男の子は、少し緊張した感じだった。
「君の名前は?」とやや遠慮がちに彼は尋ねた。
「私、鮎川美咲、一年D組です」
 私は恐る恐るといったふうで名前を言った。
「突然声をかけてすみません。いつも朝、電車の中で見かけるもんで、つい声をかけちゃいました」
「はい。いつも同じ車両ですね」と私も対応した。そんなに悪い人ではなさそうだ、と判断した。
「こんなこと言っては図々しいと思われるかもしれませんが、よかったら、そこのミスドにでも入って、少しだけお話ししませんか?」
 私の頭の中には、ナンパという言葉が思い浮かんだ。まさか自分がナンパされるだなんて、思ってもみなかった。しかし、松本さんと名乗る人は、まじめそうな感じの男の子だった。ミスタードーナツは高蔵寺駅の構内にある。少しぐらいなら、と私は同意した。たくさんの人の目があるミスタードーナツなら、そんなに変なことをされることもない、と思った。初めて男性から声をかけられ、胸がどきどきした。
 私たちは好みのドーナツと飲み物を注文し、窓際の席に着いた。代金を払おうとしたら、松本さんが「今日は無理やり誘ったのだから、僕が出します」と言って、私の分も払ってくれた。私はいったん遠慮したが、結局甘えることにした。
 改めて私たちは自己紹介した。
「僕は松本拓哉。キムタクじゃなくて、マッタクと呼ばれてます。自分では、全く気に入ってない呼び名ですが。あ、しゃれになってしまった。でも、マツタケと言われるよりはましかな」
松本さんの言い方がおかしかったので、私はつい吹き出してしまった。そのおかげで、私の緊張感も解けた。
「あ、ごめんなさい。笑ったりして。私は鮎川美咲で、通称ミッキです。この近くに住んでいます。南口から、歩いて一〇分ほどの、庄内川の近くのところです」
「ああ、あっちの方ですか。僕の家は、高森台の方で、団地じゃなくて、一軒家なんです。すぐ近くにK高校があるけど、あまり近すぎていやなので、鳥居松高校にしたのですが。でも、今思うと、朝、寝坊ができるので、近い方がよかったかな。でも、K高校だと、鮎川さんに出会えなかったから」
「でも、私なんかより、もっとすてきな女の子に出会えたかもしれませんよ」
「まだ知り合ったばかりなのに、ちょっと馴れ馴れしかったかな。すみません。一年D組だと、担任は小川先生ですね」
「はい。現国や古文、漢文を教えてもらってます」
「バクダンというあだ名で、サッカー部の顧問ですね。ちょっと怖い面もあるけど、なかなか生徒思いのいい先生ですよ。昔はよく拳固で生徒の頭をゴツンとやっていたそうだけど、最近は教師の体罰問題がやかましくなってきたので、爆弾は落としませんが」
「私も最近、バクダンというあだ名を知りました。それでバクダンなのですか」
「鮎川さんは、部活動はどこかに入っていますか?」
 私は部活動はまだ決めていなかった。部活動は必須ではないが、高校生活を充実させるため、できるだけどこかの部に所属するように、と担任の小川先生から指導されていた。
「いえ、まだ決めてないんです。今月中に決めるように言われ、いろいろ考えてはいるんですが。運動は苦手だから、文化系の部に入りたいと思ってます」
「僕は歴史が好きで、歴史研究会に入っているんです。特に中国の古代から中世の歴史が好きで。三国志の時代なんか、研究してます。モンゴルだけど、チンギスハンも好きですね。広大な中国大陸には、なんかロマンを感じます。狭苦しい日本と違って」
 歴史研究会というのは、松本さんらしい選択だと感じた。まだ知り合ったばかりなのに、なぜか彼にはふさわしく思われた。
「私は歴史や文学が好きなので、そちらの関係のクラブに入りたいと思っているんです。中学校では、読書部でした。歴史研究会はどんなことをするんですか?」
 私は歴史研究会のことを尋ねた。
「そうですね。二、三ヶ月ごとにテーマを決めて、その研究をしたりしています。去年は魔王といわれて恐れられた織田信長だけど、経済政策など、どういう政策を行ったか、とか、仏教対神道の蘇我氏と物部氏の戦いについて、とか、源義経の全戦歴を調べよう、なんてのがテーマでした。坂本龍馬を取り上げたこともあります。邪馬台国論争なんかはメジャーすぎて、敬遠しています。その研究成果を、秋の文化祭で発表します。僕が好きな中国のことはなかなか取り上げてくれませんが。今は日本の戦争責任についてが研究テーマです」
「そうですか。なんか、むずかしそうですね。テーマはみんなで話し合って決めるのですか?」
「みんなで研究したいテーマを出し合って、多数決で決めますよ。ときには顧問の先生が提案することもあるけど。僕が提案する、中国史については、いつも無視されてます。それから、学期に一回、近くの史跡などにも行きます。去年は桶狭間(おけはざま)と有松(ありまつ)、東谷山(とうごくさん)、金華山(きんかざん)に行きましたよ」
 東谷山といえば、寮のすぐ近くにある、名古屋市最高峰の一九八メートルの山だ。今では名古屋駅周辺に二〇〇メートルを超えるビルが建ち、名古屋市の最高地点という面目を失っているが、眺める地点によっては、どっしりと構えた堂々たる偉容である。しかしそんなところに史跡なんてあるのかしら、と思った。
 その疑問を口に出すと、松本さんは「東谷山はけっこう古墳などが多いんですよ。白鳥(しらとり)古墳とか、尾張戸(おわりべ)神社とか、いろいろあります。僕も近くに住んでいながら、よく知りませんでしたが。帰りにフルーツパークに寄ったりして、けっこう楽しかったですよ」と答えた。
「そうなんですか。なかなかおもしろそうですね。私、まだこの近くに引っ越してきたばかりだから、東谷山やフルーツパークにも行ってみたいです」
 私も歴史研究会に少し興味を持った。
「鮎川さんは引っ越してきたばかりなのですか?」
「はい、つい先月の下旬に名古屋の千種区から引っ越してきました。この辺はまだ植物園にしか行っていません。弟は自転車で友達とあちこち走り回っているようですが」
「そうなんですか。僕は小学生のころまで知多の方にいて、中学のとき、家を建ててこっちに来ましたが。弟がいるのですね」
 松本さんは私の家族のことなどに興味を持ったらしかった。いろいろなことを私に尋ねたいようだったが、まだ初めて話をしたばかりで、あまり踏み込んでは失礼だと思ったのか、それ以上は訊いてこなかった。
「この辺は楽しいところがたくさんあるから、よかったらあちこち案内しますよ。東谷山もフルーツパークも。定光寺の方もハイキングにはいいですよ。植物園のあたりはみろくの森といって、こちらもハイキングコースになってます」
「はい。この前、植物園に行ったときは、池の周りを少し歩きました。山の方にも行きたかったのですが、そのときは行けなかったので、いつか登ってみたいと思っています」
「それでは、休みの日にでも、行きませんか? もうすぐゴールデンウィークだし。東谷山なら、すぐそこだから」
「いいですね。ぜひ連れてってください」
 初めて話をしたばかりなのに、そこまで言ってしまうのはちょっと軽率かな、と思いながらも、少し松本さんに惹かれている気持ちもあった。
 腕時計を見たら、もう一時間が過ぎていた。
「すみません、そろそろ私、帰らなくちゃ」
 私は遠慮がちに松本さんに言った。
「あ、もうこんな時間か。遅くまですみません」
 松本さんは携帯電話に表示されている時計を見ながら言った。
「そうそう、もしよろしかったら、携帯の番号やメアド、交換しませんか」
「ごめんなさい。私、携帯、持たせてもらってないんです」
「そうなんだ。まだ携帯持ってない人も、いるんですね」
 松本さんは私が携帯電話を持っていないことが、少し残念そうだった。クラスメートはほとんど携帯電話を所持している。私が携帯を持っていない、と言うと、みんなに気の毒がられてしまう。
 私は中学校のときは、緊急連絡用として、両親から携帯電話を与えられていたが、今は料金が負担になるので、解約させられてしまった。今は父が業務用で会社の携帯電話を一台持っているだけだ。パソコンも寮の執務室にある一台だけである。だから、私はメールもインターネットもできなかった。
「今日は突然声をかけて、すみませんでした。家の近くまで送ります」
 ミスタードーナツを出て、松本さんが申し出た。しかし、私は自分が住んでいるところが、女子学生寮の一室と知られるのが気恥ずかしく、「あ、大丈夫です。すぐそこですから」と辞退した。
「大丈夫ですか?」と松本さんは不服そうだったが、それ以上はごり押ししなかった。
「それじゃあ、今日はありがとう。歴史研究会、よかったら、入りませんか? 歴史研究会は女生徒が少ないから、女の子にも入ってほしいですし。今二年生は女子が河村女史一人しかいないので、女の子が入れば、喜ぶと思いますよ」
 別れ際に松本さんがこう言った。
 私は「考えておきます。今日はありがとうございました」と答えた。

 寮に帰ると、母が「今日は遅かったね」と声をかけた。私は 「ちょっと友達としゃべっていたから」とだけ答えておいた。
 私は何となく心が浮き浮きしていた。松本さんのことは、朝の通学のとき、よく同じ車両に乗るので、気になってはいた。しかし、どんな人かはわからなかった。今日、声をかけられ、けっこう真面目そうな人だったので、よかったと安堵した。
 夜、弟の慎二と二人で使っている六畳の部屋で、寝る前に、「お姉ちゃん、今日はご機嫌よかったね。なんかいいことあったんか?」と言われてしまった。やはり男の子とは別の部屋にしてもらいたいが、管理人室には二部屋しかないので、やむを得なかった。それ以外に物置のような狭い板の間があるが、そこで一人寝る気にはなれなかった。

東谷山フルーツパーク

2013-04-15 00:35:03 | 旅行
 先週の土曜日、名古屋市東区の東谷山(とうこくさん)フルーツパークに行きました。
 シダレザクラが有名で、花が散る前に見に行こうと思いました。
 名古屋市ですが、春日井市との境界近くにあり、うちから歩いて行けます。ただし、けっこうな運動になりますが。





 ①はシダレザクラです。②は名古屋市最高峰の東谷山(198m)。
 ③は世界の熱帯果樹温室。フルーツパークの象徴で、遠くからも目立ちます。
 ④はウコンザクラ。花がわずかに緑がかっています。
 カメラはNikonD300。レンズはシグマの18-125mm F3.8-5.6 DC OS HSM を使いました。

 『ミッキ』で、美咲たちがフルーツパークや東谷山に行く場面があるので、またその章を掲載するときに、改めて紹介します。

パソコン不調

2013-04-13 13:31:30 | 日記
 さっきノートパソコンの電源を入れたら、チャッ、チャッという音が聞こえ、Windows7が立ち上がる途中で止まってしまいました
 音がしそうな部分はDVDドライブとハードディスクぐらいしかないし、DVDドライブではないので、ハードディスクだと思われます。
 東芝のDynaBookです。このパソコンは執筆に使っているので、壊れたら困ります
 去年、古い自作のパソコンが2台ダウンしましたし
 作品のデータはSkyDriveやUSBメモリーに記録してあるので、データは大丈夫ですが
 いったん電源を落とし、しばらく経ってから再投入したら、今度は無事立ち上がりました。
 しかしまたいつおかしくなるかわからないので、データは必ずバックアップをとります。
 万一の場合は、もう1台、ドスパラで買った古いデスクトップパソコンがあるので、それを使います。
 Gateway製のノートパソコンは、2年前、岡山の彼女に譲ってしまいました
 今朝5時半ごろ、淡路島方面で大きな地震がありました。彼女のところは震度3ぐらいだったようです。

ベートーヴェンのピアノソナタ

2013-04-12 00:24:08 | 日記
 執筆しながら、ベートーヴェンの3大ピアノソナタ(8番『悲愴』、14番『月光』、23番『情熱』)+17番『テンペスト』第3楽章を聴いていました
 ピアニストはスティーヴン・コヴァセヴィッチというあまりなじみがない人です。
 小学館の“クラシック・イン”というシリーズの1枚です。
 
 昨日はシューマンのピアノ協奏曲はウルトラセブンの最終回に使われていると書きましたが、
ベートーヴェンのピアノソナタ第8番『悲愴』はるろうに剣心で第2楽章が使用されていました。
 志々雄真実との戦いで、由美が志々雄真実の勝利を願い、犠牲になる場面です。
 17番『テンペスト』第3楽章は絶園のテンペストですね。