ベッラのブログ   soprano lirico spinto Bella Cantabile  ♪ ♫

時事問題を中心にブログを書く日々です。
イタリアオペラのソプラノで趣味は読書(歴女のハシクレ)です。日本が大好き。

東京都知事選終わる/ダンヌンツイオの若いころの逸話/奥山篤信氏「藤田嗣治とランス」

2024年07月08日 | 政治

東京都知事選が終った。
・・・気になるのはこれと思う候補者がいないことだった。
各候補者のことはここで書くのをやめようと思っていたが、今の若い特定の人たちは過激な言動をする若手の石丸伸二候補をまつり上げている。先日のブログにも書いた。
この「過激な言動」の候補者は今までもいて、自滅した。名前は書かないがサンセイ党もそうだしN党もそう。その前はやはり過激な暴言を売り物にする集団の候補者がいた。
いつの間にか光を失ってしまった。すぐに国を救えると勘違いしているのか、私はこれらの候補者に対して「ああ、また出たか」というあきらめの境地だ。
ネットがこういうので過熱し、またそれを批判するまともなツイートも多い。
しかしあまりバカが過ぎると疲れるのだ。次点になると思っていた蓮舫候補は以前は過激な言動で失望を味わった人も多い。人を攻めるのは強くても自分が攻められるともろい。
私はかつて田母神候補を応援して、過剰評価の宣伝を信じて寄付までしてしまった。
今回は田母神候補など「あら、いたの?」っていう程度だ。

イタリア在住の声楽家であるミルティリさまが詩人ダンヌンツイオの若いころのお話を書いて下さった。なんだかホッとするユーモアがあって転載を願った。

ガブリエレ・ダンヌンツィオがとても若かった頃のお話。

 ダンヌンツィオは1863~1938年の詩人です。

詩人として有名になりたての頃、ある日、
有名なワイナリーから招待状が届きました。 
コンテストがありますよ。お1人詩を一作、
ワインに関するものをお願いします。
1等の方には100リラを、良いワインをお手に入れるために
お贈りします。
このコンテストに奮って皆さまが出席なさり、
詩を1つ、披露してくださいますように。

ダンヌンツィオ応えて曰く、
ワイナリーさんたち、皆さんが1番良いワインを1ダースほど送ってください。
どのワインが1番か、
1等の方には、良い詩をお贈りします。

ワイナリーから返事はありませんでした(*^_^*)

私は作曲家トスティ、世界最高峰のオペラ歌手カルーゾ、偉大な詩人のダンヌンツイオのトリオが素晴らしいことをお話し、ご紹介した。何度も聴いているがこの曲を聴くたびに心が感動で震える。そして私の大切な友人であるミルティリさまのこと、苦境にあった故三宅博先生の論文をイタリアの新聞社に広めてくださったことなど、懐かしい思い出と感謝の気持ちが高まります。


Vinhos de Veneza? Conheça 2 rótulos feitos na região da cidade italiana ...


私のかつてのブログ記事。

曲はトスティの「暁は光と闇を分かつ」・・・あのダンヌンツイオの詩だ!!
Caruso: L'Alba separa dalla luce I'ombra (digital remastering)



イタリア貴族出身の作家ダンヌンツイオは愛国者で義勇軍を結成し自ら戦闘機に乗り、国土フイウメを奪還しようとする。
レコンキスタ(失地回復)だ。
しかしイタリアは彼に投降を命じる、弱小のイタリアは近隣諸国に配慮したのだった。
ダンヌンツィオは何と自国のイタリア海軍に艦砲射撃され、やむなく投降。しかしあきらめず芸術活動に専念した。
彼は貴族階級出身で身をもってノブレスオブリージュを示したのだった。
ダンヌンツイオの詩に作曲家トスティが素晴らしい歌曲をつけた。

「お前の母なる」というのは祖国を指すという解釈ができる。

私を包んでくれ、おお夜よ、お前の母なる胸に蒼ざめた大地が露に濡れている間に、 さもなくば私の血から暁が生まれ 私の短い夢から永遠の太陽が生まれてほしい
Chiudimi,O Notte,nel tuo sen materno, Mentre la terra pallida s'irrora. Ma che dal sangue mio nasca l'aurora E dal sogno mio breve il sole eterno! 

この曲と詩について後に畏友の奥山篤信さまも強く共感され、さらに多くの知識を得た。
私のかつてのブログは奥山篤信さまのことも書き、今もこの記事を読んでくださっている読者がかなりいらっしゃることをお話した。再度その記事をご紹介します。


日本の知性、奥山篤信氏のエッセイです。(評論家の宮崎正弘氏への文)
貴誌前号に藤田嗣治のことがあり、懐かしい思い出を綴ります。

 僕はこの画家が日本の洋画として個人的に最高の作品を描いたと、あの謎の白色の色が彼のいわば料理のレシピのようなマル秘のものであり、藤田研究の本で謎は解かれたことを読んだ覚えがあります。
 藤田はパリにて絵を描き有名画家との繋がりがあり、帰国しました。
彼こそが日本文化や芸術を理解した上での洋画家でした。泥臭いところもあり浪花節が好きで絵を描きながら口ずさんでいたらしい。

その藤田が従軍絵画家としてあのアッツ島の玉砕など愛国作家として現場に遭遇して絵を描きました。
戦後芸術界から戦犯を出せとのGHQの要請に日本の絵画界は藤田を生贄にしようとしました。
結局は戦犯にならなかったのですが、藤田は卑怯な日本絵画界の仕打ちを絶対に許さないとして日本を永久に去ったのです。

その後、ブラジル南米などを経て、彼はレオナルド藤田を名乗り、最後の安らぎをカトリックに求めランスの大教会で洗礼を受けました。そしてランスに自分の絵画能力を遺憾無く発揮したランスの礼拝堂を建てました。僕はソフィアの大学院で神学を学ぶ中イスラエル聖地巡りの帰路パリによりランスの礼拝堂を見るために行きましたが、予約なしには見学できず(その前に有名なシャンパン財閥の工場があり礼拝堂建設の金主)蜻蛉帰りしました。
その翌年の春、きっちりと予約を入れこの礼拝堂を見ることができました。2014年のことです。丁度前期博士課程神学修士号を得た直後でした。美しいロケーションこじんまりした礼拝堂に感動したものです。(建築と絵画としての印象キリスト教としてではありません)
さて神学を学ぶ中で強烈なフランスの思想家ジョルジュ・バタイユを読んだのはこの頃です。彼もランスの大教会と縁のある元信者であり、確かバタイユの墓もランスだったと記憶します。
彼の有名な著作<ランスの大聖堂>があります。バタイユも嘗ては神学を学びカトリックに精通している。無神論の僕にとってのバタイユ 彼の名言で僕の無神論の正当性のロジックに参考になるもの。
“L'athée ne se soucie pas de Dieu, parce qu'il a décidé une fois pour toutes qu'il n'existait pas.” Georges Bataille
無神論者は神を畏れることはないのだ。一旦自分自身が神など存在しないと決めたのだから。
僕が京都大学教養課程でフランス語を学んだその先生はバタイユ研究の権威 生田耕作先生でした。(あのゲバ棒時代の校庭でいかにもカッコいいフランス語の先生 僕は誇張して京都大学の生田耕作の弟子というとその道の方なら驚きます。苦笑)
 (奥山篤信)



ブログ主・・・天才肌の奥山篤信氏がお書きになったこのエッセイは、ただフランス語を解する、歴史を俯瞰する、という「分野」的なものでなく、総合的な知識の中から湧き出てくるエッセンスが輝いているように思います。
有名なランスの大聖堂は、かの天才作曲家ロッシーニも「ランスの旅」という大掛かりなオペラを書き、それは特別のものとされました。

奥山氏は京都大学の「建築」の御専門で、後に東大の「経済」をご卒業、その直感・学識は到底私などそばにも寄れない超インテリですが、なぜか愉快で天真爛漫、憎めない楽しいお方、しかも欧州の8か国語を自由に操られる。英語の次にフランス語がお得意ということですが、あの「生田耕作」京大名誉教授の直弟子とは、しかもフランス文学科でなく建築学科で、生田教授の門下生ということはずば抜けた存在であったと思います。

生田教授は単なる語学の範囲ではなく哲学的なお考えの生き方をされた方、きっと型破りな奥山氏と気があったことでしょう・・・。
音楽でいえば、リストに教えを受けたヴァーグナー、ロッシーニとは違う作風であったヴェルディが深い影響を受けた、など。目に浮かぶようです。
藤田画伯の無念と怒り、やるせない気持ちが日本を愛しながらも遠ざかった。天才が怒りと諦念を示しながら新しい境地を開く、しかしそれは後世に大きな問題提起をし、不遜な当時の無教養で下劣な状態を今に示すものなのですね。  

ブログのティールーム



ロッシーニ作曲「ランスへの旅」
~心地よい木陰の中で - 黄金の百合よ・・・フランスは立ち上がるだろう・・・
ソプラノはオルガ・ペレチャッコ(イタリアの名ソプラノのマリエッラ・デヴィ―アに師事、ベルカント歌唱は完璧!!)

Olga Peretyatko - Rossini: IL VIAGGIO A REIMS, All'ombra amena, Berlin 2007, High E



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