教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

GONZOの半期決算について

2010-01-05 00:01:04 | オタネタ全般
某氏のblog(※1)にてGONZOの半期分の決算が公開されたというので見にいってみた。

http://www.gdh.co.jp/ir/library/pdf/091228_half.pdf

正直なところおどろいた。
もう決算情報を公開しないものだと思っていた。
1Qの決算短信を出していないからだ。

とはいえ、仮に上場企業だとしたら締めの日から3ヶ月弱もかかっていて遅すぎる。
現在は非上場になってしまったので問題があるわけではないのだが。

それはさておき、中身のほうを見てみようか。




良い情報がある。
なんと、上半期は赤字になっていない。
なし崩し的に大赤字を出していた体質が多少改善された模様だ。

しかし、よくよく見ると実は本質的には黒字化していない。
3億いくらの債務免除をしてもらったおかげで、その分の特別利益を上乗せしたから黒字化したようだ。
これがなかったとしたら赤い。
まあ、前みたいな大赤字ではないのだが。




その3億いくらの債務免除、これがまたナゾだ。
借入金のうちの10%分しか債務免除になっていない。

ふつうは誰でも自分だけ損するのはイヤだ。
だから、債務免除するのだったら債権団の銀行ご一行様が全員で債務免除の負担をするはずだ。
自己資本比率がマイナス150%以上になっているGONZOに対して、だれか1人だけ債務免除してやる意味もないし、全員でネゴして10%分だけ債務免除をする意味もない。

仮にありうるとしたら何かと引き換えに債務免除したのだと思われるが、いったい何と交換したのだろうか。
少なくとも発行済株式総数は増えてはいないのでデッドエクイティースワップではないことだけは確かなのだが、それ以上はさっぱりわからん。
劣後債とかだったら回収の見込みは全く無いので早々にあきらめるのはアリかもしれないなぁ。

わたしは債務免除があった企業のニュースをウォッチしていたためしがないので、一般論として妥当な現象なのかどうかがよくわからんのだが・・・。




「販売費及び一般管理費」という費用が激減している。
これが債務免除以上に黒字化に貢献しているのは間違いない。

細かい定義はおいとくが、平たくいえば給料とか広告費とかがこれ。
売り上げが減っていることからも、前の年度に比べてアニメの本数を減らしたことからも、売るタイトルがどんどん減ってきていると予想することができる。
だから広告をうつ必要性が減ったのもあるが、社員が減ったのもあるが、それでもこれは減りすぎなような気がする。
社員の給料が可哀想なことになっていなければいいのだがと、一口株主ながら心配なところがある。




「テレビ放映した一部の作品について当初予想を大幅に上回るDVD売上等のライツ収益を獲得」
とある。
テレビ放映した作品はとはシャングリ・ラとアラド戦記と咲のどれかのことだ。
この3つだったらどう考えても咲のことだろう。

たしかに咲はビックリするほど評判が良かった。
しかし、その咲をもってしても債務免除がなかったら赤字というのはかなり痛いものがある。

現在は自社製を冠したアニメを作るのをやめている。
これからも引き続きそのライツ収益なるものは減り続ける運命にあるのだ。
今回は赤字を免れたとはいえ、引き続き状況はかなり厳しいと思われる。




咲がビジネス的に大成功だったのは疑いの余地が無い。
では、他の2作品はどうだったのだろうか。

まずシャングリ・ラ。
わたしは全話見たし、個人的には大変おもしろかったと思う。
世間的にも前評判は悪くなかった。
しかしながら、
「しばらく見たけど案外面白くならなかった」
というところが世評だと感じる。
シャングリ・ラは3作品中では最もGONZOらしいアニメだった。
それだけに前評判を生かせなかったのは残念だ。

ではアラド戦記はどうなのか。
株主であるまえにアニオタであるわたしの感覚でいうと、アラド戦記は最初から最後までアニオタからはガン無視されていたと感じる。
そもそもわたしは関心がなかったので注目していなかったのだが、このアニメは話題にのぼることすらほとんど無かった有様なのだ。
わたしの直感はいちばん足をひっぱったのはアラド戦記だと告げるのだ。

何でそうなのかはわからない。
しかし、このアニメには他にはない大きな特徴がある。
韓国のネトゲが原作で、GONZOの韓国子会社であるGK Entertainmentが作っていたということだ。
これは「檀君の呪い」(※2)というジンクスを発動させるのに十分な条件が2つもそろっている。

では現在はどうなのか。
アラド戦記は放送し終わった。
韓国子会社のGK Entertainmentは切り売りした。
韓国のネトゲと関連の深かったゴンゾロッソも切り売りした。

つまるところ、「檀君の呪い」を発動させる条件をすべて回避しているのだ。
そして実際に発動が回避されたから黒字化を達成したとも言えるのだ。

そもそもアラド戦記は作り終えたし、売れる資産は何でも切り売りする方策だし、当面は自前でアニメを作らない方策だし、リストラで従業員数を減らしたいしというので、経営陣的にはGK Entertainmentを切り売りしないはずがない状況ができあがっているのだが。
かけた手間を考えれば大損かもしれない。
とはいえ純資産額とほぼ同等で売れたので、帳簿の上では切り売りでの損は見えてはいない。

さあ、これからは呪いが解けて回復を始めるときだ。




切り売りといえば、VFX部門の切り売りもある。
4月にグラフィニカに売ったものだ。

今までは譲渡資産総額しか公表されていなかったのだが、今回もう少し情報が公開された。
それを見ると、どうやら債務超過の状況での借金も込みで、しかも資産総額の2倍近い額で買ってくれたようだ。
どこまで話を信用してよいものかわからんが、GONZO経営陣は当初からVFX部門は切り売りする予定だった(※3)。
景気がほとんどどん底に近い状況だった4月に売ったことを勘案すれば、けっこういい値段で買ってくれたと考えて良いのではなかろうか。




前回の決算短信では、訴訟になりかねない偶発債務の案件がいろんなところからたくさん来ていた。
しかし、今回のを見たらのこり1個になっている。

どうやって片付けたのかナゾだ。
キャッシュフロー計算書を見てもそれらしい項目はない。
文章でもそれらしき記述は見当たらない。

うまいことカネ払わないで済むような方法でなだめることができたのだろうか。
何はともあれ、モメゴトが片付いているのは良いことだ。




ナゾはそれだけではない。
今回の最大のナゾは別のところにある。

某氏(※1)も指摘していたが、なぜか第3位の筆頭株主にクロレラがいる。
第1位と第2位は両方ともGONZOの役員なので、役員ではないものの中では最大の株主だ。
いままで大株主に名前が連なっていた金融機関がいっせいにいなくなっているので、どっかの大株主の金融機関から立会外取引で買ってきた可能性も大いにありうる。

今のGONZOは銀行に借金返すの待ってもらっている状況にあるため、経営は銀行が実権を握っていると思われるし、実際に銀行が実権を握っていそうな方策を行っている。
だから今さら大株主になる意味はない。
いったいこの人なにがしたいのだろうか。
クロレラは未上場企業でもあるため詳しいことはさっぱりわからん・・・。




じつは今回の黒字化以上に気になることが1つ。

もうGONZOには売るものが残ってない。

アニメの自社ブランドでの製作は止めたし、子会社もたくさん切り売りした。
頼みの綱の咲もそう何四半期も持たないだろう。
既存のコンテンツを生かした何かを始めるか、アフロサムライがバカ当たりして版権収入が増えることを天に祈るかしか方策がない。

前回の決算短信を読んでもうダメかと思った(※4)。
しかしまだGONZOは潰れてはいない。
まだ銀行は潰して余りモノを回収する気はないようだ。

まだ希望はある。
しかしこれからどうするのか。
引き続き動向に注目していきたい。



【※1 某氏のblog】
個人就活ブログ
http://japanimation.blog72.fc2.com/

【※2 檀君の呪い】
GONZOにかかる檀君の呪い
http://blog.goo.ne.jp/beamtetrode350b/d/20091218

【※3 VFX部門の切り売り予定】
GONZO株主総会にいってきた
http://blog.goo.ne.jp/beamtetrode350b/d/20090627

【※4 前回の決算短信】
GONZOは滅びぬ、何度でもよみがえるさ!(その4)
http://blog.goo.ne.jp/beamtetrode350b/d/20090604