ビター☆チョコ

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エリザベスタウン

2005-11-16 | 洋画【あ】行
ドリュ-(オーランド・ブルーム)は,私生活を犠牲にして情熱を傾けた新しいシューズの開発に大失敗。会社に大損害を与え解雇されてしまう。
1週間後にはドリューの大失敗が雑誌に公表される予定だし,恋人のエレン(ジェシカ・ビール)の視線も冷たい。
自殺を考えるほど打ちのめされたドリューの元に,父の突然の死が知らされる。
ドリューは失意のまま,父が亡くなった土地,父の故郷であるケンタッキー州エリザベスタウンに向かう。
その途中で,フライト・アテンダントのクレア(キルスティン・ダンスト)と出会う。
エリザベスタウンに着いたドリューを待っていたのは,親戚や父の旧友たちとの交流だった。


ずっと歴史劇ばかりだったオーリーの初めての現代劇ということで,期待満々。

こうやってストーリーをざっと書いてみると,なにやら深刻そうな感じだが
失意の底から立ち直っていくドリューの姿を,明るくハートウォーミングに描いている。
徹底的にポジティブで行動的なクレア。
父の田舎の人々も,いろいろ問題を抱えていそうではあるが,明るく生きている。
そんな中で過ごすうち,ドリューは仕事で失ったものだけが全てではないことに気がついていくのだ。

お葬式ってホントに不思議なものだと思う。
なかなか会うことのなかった親戚が集まり,近況を語り合い
知らなかった故人の旧友が現れ,思い出話を語り,
今まで自分が知っていた「親」としての顔以外の姿をはじめて知ることになる。
亡くなったことは哀しい。辛い。
でも葬儀までの間には,哀しい状況ではあるけど確かに笑いや高揚感もあるのだ。
そして葬儀が終わってひとりになった時,突然激しい悲しみと寂しさが襲ってくる。。。

ドリューの母(スーザン・サランドン)は亡くなった夫の実家と確執があって,この町とは疎遠になっている。
しかし彼女は葬儀の日,夫の追悼のための集会で二人の出会いから今までのことを語り,人々を笑わせ,最後に夫の好きだった「ムーン・リバー」に合わせてタップダンスを踊り,集まった人々とのわだかまりを解く。
号泣!!

エルトン・ジョンの「父の銃」が流れると
スイッチが入ったみたいに,自然に涙があふれてくる!!

人生山あり谷あり。
絶望と悲しみに沈んだら,全てを捨ててまた新しくやり直そうよ。
そんな風に思える映画だった。

キルスティン・ダンストってちょっと苦手で,なんでオーリーの相手役なんだ!!と思ったが,この役はぴたりと当たり。
いつになく可愛くみえた。
剣や弓矢を持たないオーリーも
サントラもよさそう
唯一の突っ込みどころはドリューが作った自殺マシン。
あれじゃ死ねないよ。
あのマシンを使う勇気があったら,立派に立ち直れるよ ドリュ-。






海を飛ぶ夢

2005-11-03 | 洋画【あ】行
ラモン(バビエル・バルデム)は若い頃に海で事故にあい,その後26年間自宅のベッドの上で過ごしている。
自分では食事をすることも,体の向きを変えることすら出来ない。
彼の世界は窓から見える景色と自分の部屋だけだ。
それでも彼は口にペンをくわえ詩を書き,家族の暖かい介護に支えられ前向きに生きてきた。
そんな彼が,より自分らしく生きるために「尊厳死」を選び,法律では認められていない「尊厳死」の権利を得るために裁判を起こすと言い出す。
彼を支援する団体や弁護士が着々と準備を進めるなか,
ラモンを心から愛し,支えてきた家族の間に動揺が走る。

とても重苦しく難しいテーマの映画なのだけど,不思議と圧迫感は感じなかった。
家族や彼を愛する人々が,尊厳死を認めたくない気持ちはよくわかる。
「死というのは一時的なものではないんだ。もう二度と会えなくなることなんだ。」
無口なラモンの兄の叫び。
訳知り顔でいきなり訪ねてきて,ラモンに生きることの意義を尊大に説く神父。
その言葉をじっと聴いていた義姉のマヌエラが,突然神父に向かって話し出す。
「私はずっと息子のようにラモンを愛し世話をしてきた。あんたはなにもわかってない。あんたはただやかましいだけ!」
愛するものの死は誰だって認めたくない。

しかし,自分らしく生きるために死を選ぼうとするラモンの気持ちも痛いほど伝わってくる。
彼に生き続けることを望むのは,あまりにも酷な彼の人生だ。
答えなんて出せない問題なのだけど
気分転換にと家を出るラモンが乗った車を見送る家族の姿は,
もうラモンの決断を静かに受け止めているようで,観てて涙が止まらなかった。

こんなに重いテーマなのに暗いだけのものにならないのは
ラモンと難病を抱えた弁護士のフリアとの間の,
淡いラブストーリーがあったからかもしれない。
空想の中で空を飛ぶラモン
フリアを抱きしめるラモン
心はこんなにも自由に羽ばたくのにね・・・






アバウト・ア・ボーイ

2005-11-01 | 洋画【あ】行
ウィル(ヒュー・グラント)38歳,独身,無職。
亡き父が残したヒット曲の印税で優雅に暮らしている。
わずらわしい人間関係ももたず,
気が向けば居心地のいい自分だけの「島」からガールハントに出かける毎日。
そんなウィルの前に現れたのが
マーカス(ニコラス・ホルト)12歳,いじめられっこ。
鬱病気味のシングルマザー(トニ・コレット)との2人暮らしに閉塞感を感じてるマーカスは,ウィルの生活にどんどん入り込んでくる。
はじめはそんなマーカスに恐れを抱いていたウィルだが,二人の間にはいつしか奇妙な友情が芽生えてくる。
そんなときウィルが初めて本気で恋をした。
相手はパーティで知り合ったシングルマザーのレイチェル(レイチェル・ワイズ)
レイチェルにマーカスのシングルファーザーだと誤解されたまま
二人の交際が始まるのだが・・・

なんとなく疲れて,誰にも会わずに閉じこもりたくなったときに観たくなる映画。
観終わった後は,「人間は孤独な島」じゃないよね
と思い直して,少し元気になってる私がいる。
家族のような,友達のような,夫婦のような微妙な関係の人々で過ごすクリスマスの夜。
ラストシーンがとっても暖かい。

マーカスが鬱病で自殺癖のある母親のことで悩んでたり
学校でいじめられてたり,よく考えるとかわいそうな話なんだけど
ヒュー・グラントがいつもの調子で,かる~く演じてしまうので
コミカルで暖かいものになっている。
ヒュー・グラントには脇見をせず,ずっとこの路線を走ってもらいたい。

いつも私に優しいこの映画だが,今回はこの場面が発表会間近の私にはきつい。
鬱病の母を慰めようと,学校のロックコンサートで歌うことにしたマーカス。
マーカスの危機を救うためステージに立ったウィルは,ブーイングの嵐をあびる。

「社会的自殺」。。。今の私にはきつすぎる言葉だ。。。






エターナル・サンシャイン

2005-10-29 | 洋画【あ】行
平凡な日々を地味に送るジョエル(ジム・キャリー)
ある日,自分とは全く正反対のクレメンタイン(ケイト・ウインスレット)と知り合い恋に落ちる。
しかし正反対の二人は喧嘩ばかり。
クレメンタインが,二人の思い出を全て記憶から消し去る施術を受けたことを知ったジョエルは驚き,戸惑う。
そしてその事実に耐えられないジョエルは,自分もクレメンタインとの記憶を消してしまうことを決心するのだが・・・

全て忘れてしまいたいような,辛い恋愛をしたことのある人なら,共感できたり感動したりするんだろうな・・と思う。
いきなり恋人が,自分との思い出を全て消してしまったことを知ったジョエルのショックは想像できる。自分も記憶消しちゃおう!となっても無理もない。
でも,今ひとつわかんないのが最初に記憶を消したクレメンタイン。
記憶を消したくなるほど,ひどい男でも最低の恋愛でもなかったんじゃないの?

そもそも人間の記憶ってわりといい加減だと思う。
同じ時間を共有してた人と思い出話をしても食い違ってたり,
自分の都合のいいように無意識に脚色して,それがりっぱに記憶として残ってたりする。
辛い思い出も無理に消さなくても,時間をかけてゆっくり記憶の底に沈んでいく。
「記憶を消しても,求め合う気持ちは消せない」よね。クレメンタイン&ジョエル。
もう一度,時間をあけて観てみたい映画 かな?

主演のジム・キャリーとケイト・ウインスレットは今までのイメージとはまるで違う役柄で,新鮮な驚き!
ジム・キャリーってこんな顔だったのかとしみじみみる。
こんな地味な役のジム・キャリーの方が素敵なんじゃないかな?
それからもう一人。
フロド~~~。あんなに泣かされたのに~~。なんでこんな役を~~。
ロード・オブ・ザ・リング後のイライジャ・ウッドの未来にちょっと不安。