安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

アート・ブレイキー「JUST COOLIN'」と日経新聞記事「レコード フィジカルの復権」の話題

2020-12-31 16:31:51 | ベース・ドラムス
皆さま、今年一年お世話になりました。本稿が2020年の最終です。2021年も拙ブログをご覧いただけたら幸いです。よいお年をお迎えください。azumino
 
12月27日(日)の日経新聞に「レコード フィジカルの復権」という記事が掲載されました。2019年の国内のレコード販売枚数は122万枚で、2010年の10倍以上に増えたそうです。「フィジカル」とは、レコードなど実物があり、手に取ることのできる音楽メディアのことを指し、デジタル配信と区別するのに使われるようです。レコードで購入した作品。

ART BLAKEY (アート・ブレイキー)
JUST COOLIN' (BLUE NOTE 1959年録音)

   

アート・ブレイキーのこのアルバムが録音から60年以上経った本年(2020年)発売されましたが、内容がアート・ブレイキー全盛期の全曲未発表で、しかもメンバーにハンク・モブレー(ts)が入っているので、予約してレコードを買いました。

メンバーは、リー・モーガン(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ボビー・ティモンズ(p)、ジミー・メリット(b)、アート・ブレイキー(ds)。録音日は1959年3月8日で、1958年10月30日録音の「Moanin'」から4ヶ月後の録音です。モブレーは、音楽監督のベニー・ゴルソン(ts)の辞任に伴い参加したもの。

曲目は次のとおり。

1  Hipsippy Blues (Hank Mobley)
2  Close Your Eyes (Bernice Petlere)
3  Jimerick (Unknown Composer)
4  Quick Trick (Bobby Timmons)
5  M&M (Hank Mobley)
6  Just Coolin' (Hnak Mobley)
ハンク・モブレー作の3曲と「Close Your Eyes」は、本作と同じメンバーでジャズクラブ「バードランド」に出演した際の演奏が、「At The Jazz Corner Of The World」(Blue Note)に収録されています。 

録音から60年経ってからの発表ですが、よくぞこれを出してくれたと驚きました。とにかく、リー・モーガン(tp)の演奏が聴きもので、速いフレーズが次々と出て、しかもそれがよくつながっていて、ジャズのアドリブの面白さを存分に味わうことができます。極めつけは「Jimerick」における彼のソロです。モブレーは、新曲を3曲提供し、ティモンズ(p)もファンキーフレーズを弾いていて、大貢献しています。

「Just Coolin'」を安曇野市の自宅で聴いているところです。

【2020年12月27日(日)付日本経済新聞の記事】

レコード復権の記事が載っていました。

フィジカル・メディアの復権と書いてあります。「フィジカル」は、ダウンロードではなく物として提供される媒体(ここではレコード)のことを指して呼ばれているようです。

ジャズ喫茶の「ragtime」の取材記事。参考:拙ブログのragtime(ラグタイム)の記事へのリンク

   

手間をかけて聴くのがよいらしく、若い方もレコードを買い求めることがあるようです。また、飾り用としてもレコードが購入されているようです。

   

レコード製作の現場の取材もありました。

 


RAGTIME (ジャズ喫茶 東京都世田谷区千歳烏山)

2019-02-27 20:05:01 | ジャズ喫茶

先日、東京へ出かけたので、京王電鉄の千歳烏山駅の近くにあるジャズ喫茶「RAGTIME」を訪れました。こちらは、1978年開店の40年の歴史のあるお店で、ビルの3階になりますが、ドアを開けるとまさにそこは昭和の時代でした。

店内は照明がやや暗めで落ち着けて、スピーカーのJBL4343Bからは、大き過ぎず小さ過ぎずの適度な音量でジャズが流れていて、居心地がよく、ジャズ喫茶全盛時代に戻った気分になりました。また訪れてこの空間でジャズに浸りたいと思いながらお店を後にしました。

京王線の千歳烏山駅西口を出るとすぐ目の前です。

2階は不動産屋さんで、そのビルの3階がRAGTIMEになります。

看板。

黒板にお店のメニューがありました。ケーキセットにしようと思いながら、階段を上ります。

まず2階へ。

お店の名前が浮き出ている、電光掲示板の前で左折。

2階から3階への階段。

座った席からカウンター方向を撮っています。先客が一人いらっしゃいました。

ドアの方に向かってテーブル席を撮っています。

スピーカーは、JBL4343B。大きくて存在感あります。

オーディオ装置はカウンターの中にあります。アンプ:Marantz 250M、プレーヤー:Micro DD8, Technics SL 1200MK5。レコードは約4,000枚、CDは約200枚あります。

ケーキセットをいただきました。

ジョー・サンプルのアルバムに続き、ジョン・コルトレーンの「Ballads」がかかりました。余裕のある音で、コルトレーンのテナーサックスを聴くことができました。

続いては、ジョージ・ケイブルスの「Old Wine, New Bottle」です。これも好きなアルバムなので、じっくりと耳を傾けました。

【RAGTIME】

住所: 東京都世田谷区南烏山5丁目17−13 装和不動産ビル3F
電話: 03-3309-1460
営業時間:午後3時~午前2時  休業日:第2火曜日、年末年始
ホームページ:ragtime1978


cafe RAG TIME(カフェ ラグタイム) (ジャズ喫茶 東京都千代田区富士見)

2018-12-01 20:25:28 | ジャズ喫茶

東京で勤務した時には地下鉄で通勤していましたが、飯田橋駅でたびたび途中下車して、買物や食事を行っていました。その立ち寄り先の一つが、飯田橋富士見にあるジャズの聴けるお店「RAG TIME」です。同店は1986年のオープンですが、店内はそれ以来全く変えておらず、昭和の時代のよき喫茶店という趣です。

カウンター内にある小さなスピーカーからジャズが流れていて、ウェストコースト系のものがかかっていました。ピアノも置かれていて、現在は休止しているようですが、ライブも毎週開催されていました。珈琲の味も覚えのあるもので、ホッとしたひと時を過ごすことができました。 

   

入口付近。飲食店が立て込んでいますが、樽がおいてあるのでわかります。

   

地下一階になります。

入ってすぐ左手にあるピアノ。

カウンターの手前にはソファ席があります。

タテに長いお店ですが、真ん中あたりから奥の方を眺めたところ。

カウンターに古いレジスターが置いてあります。

カウンター席

スピーカーは、BOSEのものを使用。

壁につけられた「RAG TIME」のロゴがかっこよいです。

珈琲と本日のケーキを注文。

ほどよい濃さのブレンドコーヒー。

本日のケーキは、焼きチーズケーキです。形からは想像できませんが、食べごたえがありました。

テーブル。

壁には絵もかかっています。オープン以来変わりのないお店のたたずまいです。

お店は、写真右手の中間くらいになります。お店を出てから振り返って撮りました。

【cafe RAG TIME(カフェ ラグタイム)】

住所:東京都千代田区富士見2-2-11 富士見ヨシダビルB1(半地下)
電話:.03-3221-0938
ホームページ:ragtime


ザ・ダイアモンド・ファイヴ MONTMARTRE BLUES

2018-08-15 20:09:29 | ピアノ

お盆休みに原田マハ著「ゴッホのあしあと」(幻冬舎新書)を読みました。ゴッホの巡り歩いた土地を訪れ、生涯を辿り、重要作品にも触れた新書版ながら充実した内容です。浮世絵からの影響もあって、ゴッホの絵に関心を持つ日本人は多いかもしれませんが、僕もその一人なので興味深く読みました。ゴッホはオランダの出身ですが、フランスで活動しパリにも住んでいました。オランダのグループが「Monmartre Blues」(モンマルトル・ブルース)を演奏しているアルバムを聴きます。

THE DIAMOND FIVE (ザ・ダイアモンド・ファイヴ)
MONTMARTRE BLUES (Sonorama 1960~63年録音)

   

オランダのハード・バップ期のグループである、The Diamond Fiveの1960年から63年にかけての未発表音源を集めたCDです。このグループについては、フォンタナ・レーベルの「The Brilliant」が再発されちょっとした話題にもなったのので、拙ブログでは、2008年1月14日付で取り上げました。関心があれば、その記事BRILLIANT!も読んでみてください。

メンバーは、シーズ・スリンガー(p)、シーズ・スモール(tp,vtb)、ハリー・ヴァーベク(ts)、ジャック・スコールス(b)、ジョン・エンゲルス(ds)。シーズ・スリンガー、ハリー・ヴァーベクは、それぞれリーダー作がLimetreeやTimelessレーベルにあり、それらもハードバップファン向けで、拙ブログでも取り上げています。

曲は、メンバーのシーズ・スモール作が「The beauty of The Ball」、「Parlez Moi De Velous」と「Boddy Tale」の3曲、Cor Temaireという人の書いた「Royal Dream」、あとは有名曲で、B・ゴルソンの「Fair Weather」、I・ヴァ―リンの「Alexander's Ragtime Band」、O・ペティフォードの「Montmartre Blues」、J・マンスの「Jubilation」、S・ロリンズの「Oleo」、H・シルヴァーの「Sister Sadie」の全10曲。米国有名ミュージシャンが作った曲が多く、当時の選曲の傾向が伺えるようです。

The Diamond Fiveの特色の一つは、スコールス(b)とエンゲルス(ds)が小気味よいリズムを送り出しているところですが、そのリズムに乗って「The Beauty of The Ball」や「Alexander' Ragtime band」では、乗りの良い楽しい演奏が繰り広げられています。「Fair Weather」では、スモール(tp)が美しいトーンで、アート・ファーマー張りのソロをとっていて、この人はもっと知られてもおかしくありません。「Montmartre Blues」におけるヴァーベク(ts)のソロはブルージーさもたたえていて聴きごたえがあります。「Oleo」や「Sister Sadie」も快活な演奏で、音源が残されていたことに感謝。

【The Diamond Fiveのステージ】

【原田マハ著「ゴッホのあしあと」(幻冬舎新書)】

   

表紙。

   

ゴッホの足跡を追って、原田さんがあちこち尋ね歩いています。パリでは、テオとヴィンセント(ゴッホ)が2年間住んでいたアパートを訪れています。その界隈はモンマルトルの街にあたります。

   

ゴッホがアルルに住んでいた時に書いた「夜のカフェテラス」(1,888年)。原田さんは、この絵に「寂しさ」を感じています。

   

サン=レミ修道院で描いた「星月夜」。空がセーヌ川に見立てて描かれたという新しい解釈を著者はしています。確かに言われてみると、川のように見えてきます。


ハーブ・エリス THANK YOU CHARLIE CHRISTIAN

2018-07-08 19:41:14 | ギター

先日、群馬県前橋市のジャズ喫茶「木馬」に行った際に、市内のコンビニで『高崎・前橋本」という本を購入しました。高崎には、群馬交響楽団の演奏会を聴くために出かけますが、その際の夕食のお店探しに役に立ちそうです。また、高崎や前橋のジャズ喫茶を訪れることも多く、街にも関心をもっているので、その面でもこの本は使えそうです。使えるギタリストの作品。

HERB ELLIS (ハーブ・エリス)
THANK YOU, CHARLIE CHRISTIAN (Verve 1960年録音) 

   

ギタリストのハーブ・エリスは、1953年11月にバーニー・ケッセルの後任としてオスカー・ピーターソン・トリオの一員となり、1959年末にエド・シグペン(ds)に代わるまで行動を共にし、その間にヴァーヴ・レコードに多くの録音を残しています。彼自身のリーダー作は、ヴァーヴに5枚ありますが、これは、多分最も有名なものです。

メンバーは、ハーブ・エリス(g)、フランク・ストラッツェリ(p)、チャック・バーグホーファー(b)、ハリー・ババシン(cello)、ケニー・ヒューム(ds)。地味なメンバーですが、実力のある人を揃えたようです。チェロを加えていますが、アンサンブルの面白さを狙ったようです。

曲は、エリスの自作が「Pickley Wickley」、「I Told You I Loved You, Now Get Out」、「Cook One」、「Karin」、「Cerry Kijafa」、「Thank You, Charlie Christian」、「Everything's Pat」、「Workin' With The Truth」の8曲。それに、アーヴィング・バーリンの「Alexander's Ragtime Band」、ボビー・トゥループ作「Lemon Twist」の全10曲。エリスの自作は、自分で演奏するためもあってか、ギター向けの佳曲です。

ハーブ・エリス(g)のスイングするご機嫌な演奏が聴けます。「Pickley Wickley」は、ほのぼのとし、黒人霊歌を思い起こさせる曲想で快調な滑り出し、最後の「Workin' With The Truth」は、スローなフォークソング調の曲で、エリスの美しいトレモロが入るしみじみとした素晴らしい演奏が聴けます。白眉は、ジャズ・ギターのパイオニア「チャーリー・クリスチャン」に捧げた「Thank You, Charlie Christian」だと思いますが、グルーヴィーなエリス、高音を用いたストラッツェリ(p)のユニークなソロ、ババシンのチェロと、聴きごたえがあります。 

【高崎・前橋本】

   

表紙。

   

目次。グルメばかりでなく、農業やアート、音楽のことなどに触れていて、好感がもてます。

   

さっそく、高崎で行ってみたい洋食屋さんを見つけました。「香味亭」だそうです。

   

こちらは、うどんの店。「まさか」という店名も面白い。

   

萩原朔太郎に所縁の前橋の街を紹介しています。

前橋に開店したブックバーの紹介。一度寄ってみたいです。

     

赤城山へのハイキングの記事もありました。